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パピーミル キトンミル

一般的にペットを迎えようと思うと、まず初めに思い浮かぶのはペットショップだと思います。ショーケースに並ぶ愛らしい犬猫たち、こういった光景も見慣れたものでしょう。その犬猫たちはどこから来ているのでしょうか?

ブリーダー(繁殖業者)⇨オークション⇨ペットショップという流通過程があるというのは以前の記事でもお話ししていますが、今回はその中でも悪質な繁殖業者について書いていきます。

①パピーミル(キトンミル)

パピーミル(キトンミル)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
パピー=子犬、キトン=子猫、ミル=工場 …子犬子猫を生産する工場という意味を持ちます。繁殖業者のことをブリーダーと言いますが、中には悪質な業者がいて犬猫をお金(を稼ぐ道具)としか考えていない人たちがいます。そこでは動物福祉を顧みない繁殖や飼育管理が行われていて、利益追求のためその時々に流行っている犬種を扱い犬種の特性などは理解しないままお金のために無理な繁殖を行なっています。
多くの繁殖犬は劣悪な環境でほとんどの時間をケージに閉じ込められ過ごします。ろくに散歩へも連れていってもらえないため糞尿塗れ、骨が曲がってしまう子もいます。

私は少し前までペットショップ傘下の自称愛護団体で働いていました。
その団体については「保護ビジネス」を今後詳しく取り上げる予定なのでここではパピーミルから受入依頼がありシェルターにきた犬猫たちについて実際に見た話しをします。

②酷い状態で団体に連れて来られる犬猫たち

まず私が驚いたことは、7、8歳(シニアと呼ばれますがまだまだ若いですよね)程度なのに重度の歯周病を患っている子がすごく多いということ。歯が2、3本しか残っていなかったり残っていたとしてもセメントのような歯石がべっとりと張り付いています。その中でも、おそらく歯周病から下顎がダメになってしまい下顎がない状態で団体にきたトイプードルにはすごくショックを受けました。その子はモップのようになるまで毛玉を放置され、糞尿がついたままお風呂にも入れてもらえなかったのでしょう、酷い異臭がしていました。
その他にも恐らく狭いケージから出してもらえなかったのか床ずれが酷い子がたくさんいました。疥癬というダニが原因の皮膚病のまま団体に来る子、人の下で飼育されていたはずなのに全く人馴れしていない子、怯えている子もいました。また妊娠しているという報告は一切ブリーダーからなく、受け入れ作業時の生体チェックの際に妊娠が発覚しそれから2日後に出産した柴犬もいました。繁殖のプロであるはずのブリーダーが妊娠に気づかないなんて絶対に有り得ません。どれだけ命を杜撰に扱っているかが分かると思います。
人間の管理下で繁殖を行なっていればその個体の生年月日ははっきりと分かっているはずです。血統書の発行もしているのですから。ですが一部ブリーダーからくる繁殖引退犬猫には「推定○歳」というような状態でくる子がたくさんいました。どういう管理をしていれば推定年齢になってしまうのでしょうか。または、法改正で繁殖犬猫の引退年齢が決まり、その年齢を大幅に超えてしまっていて隠蔽のために敢えて濁しているのか。どちらにせよ問題のある業者であることに違いありません。

さらに、こういった悪質な繁殖業者は、子犬を産むことができなくなった母犬や老犬を今までは保健所や動物愛護センターへ連れ込むなどしていました。それも法改正でできなくなってしまったため、ペットショップ傘下の自称保護団体や’’犬猫の引取り屋’’へ引き取りの依頼をしたり、考えたくは有りませんが遺棄されている可能性もゼロとは言えません。殺処分は行政が行なっている表の殺害数でしかなく、闇の中で誰にも知られず消される命もあるのです。
10年ほど前に見た記事では、子どもを産むことができなくなった犬猫をゴミ袋にいれ冷凍庫へ閉じ込め殺していたというショックなものもありました。本当に、同じ人間がやっている、しかもそういうことができる人間が複数いるということが理解できませんし、とても苦しくなります。
悪意ある人間のためにこういった扱いを受けている生き物たちは、私たちとなんの違いもない同じ’’いのち’’なのです。毎度のことのように言いますが、人と1番近い存在であるはずの犬猫ですらこの扱いです。エキゾチックアニマルや魚類など更に小さい生き物たちの扱いはもっともっと酷いと聞きます。

③私たちにできること

このような悲惨な現状を変えていくには、どうしても私たち’’消費者’’の意識が変わることが必要です。
私たちに、産んでくれた母親がいて兄弟や親族がいるように、迎えた犬猫たちにも大切な家族がいます。この子の親兄弟はどうしているだろう?この子は劣悪な環境で生まれたのではないか?と、少しでいいので考えてみてください。心無い人間のせいで苦しむ命は一つとしてあってはいけません。
悪質な繁殖業者から買う、またそういった業者から仕入れているペットショップから買うことはその全てを容認し運営を支援していることになります。

どうか、日本のペット産業の悲惨な現実を知る人が増え、変えていくための大きな力となりますように。全てのいのちあるものが、今より少しずつでも生きやすい世界になりますように。


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