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還暦不行届 第十七回 自転車

もうしばらく自転車に乗っていないな、と考えてみたら
10年以上乗っていないことに気がついた。

自転車と水泳というのは一度できるようになったら
どんなに期間が空いても体が忘れない「手続き記憶」というものだから
乗ってみれば大丈夫らしい、というような話を
ドライブ中に監督と話していた。

「モヨは何歳で自転車乗れるようになったの?」
と、聞かれたので小学校1年生の時に自転車を買ってもらって
しばらく補助輪付きで乗り回していたけど
2年生くらいまでには補助輪を取った。
という話をした。

何度も転んで泣きながら近所の公園で練習していたのを
思い出すが、ちょうどレンギョウの黄色い花が咲いていたので
まだ春先の少し寒い時期だったような気がする。

私は早生まれなのでなんでも人よりできるようになるのが遅かった。
子供の頃の一年は大きいので本当ならそこまで焦らなくてもいいのだけど
自転車も周りの子達がみんな乗れるようになっていくのをみて
遅れを取ってはいけないと頑張って乗れるようになった。

というような話の流れからふと監督はどうだったの?
と聞いてみた。

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1,807字

安野モヨコ&庵野秀明夫婦のディープな日常を綴ったエッセイ漫画「監督不行届」の文章版である『還暦不行届』の、現在連載中のマンガ「後ハッピーマ…

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