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深夜のドライブ

 こんにちは、理生(りお)です。
 今日は私が体験した怖い話を投稿したいと思います。

 怖い話が苦手な方は、記事を閉じてください。
 (2,500文字ですので、少々長いです)

 僕が18歳ぐらいの時。
 夏のある日、4人で深夜にドライブをすることになった。

 僕と彼女(C美)、そして僕の友人(B男)とその彼女(D子)。
免許を取ったばかりということもあり、親父から家の白い車を借りて、運転したいというだけで、時間は持て余している僕たちは、特にどこに行くあてもないまま、大阪の街を出た。

 目的地を決めないと、ということで、女性陣の意見を聞いた。
 彼女(C美)と友人の彼女(D子)は、海を見たいと言ったので、南港にでも行くかという話になった。
 深夜といっても、まだ時間帯は、夜の11時。
 僕は、中央大通りを走って南港までたどり着いた。


 11時でも南港には、人がけっこういた。潮風が気持ちよかった。

 おそらく、小一時間ほど、南港の波止場にいただろうか。飽きてきたので、車に戻ることにした。

 エンジンをかけて、次の目的地を探しに車を走らせた。
帰る気持ちも無かったので、適当に車を走らせる。

 ふと、何かを思い出したかのように、友人B男が話しを始めた。
 神戸から北へ向かった山にあるトンネルが心霊スポットらしい、とのことであった。
 バイトの先輩たちが、そのトンネルに夜中に行ったのだが、霊が出るとのことだった。

 僕は、心霊系の話が大好きだったので、友人に言われるまま、車をそのトンネルに向かった走らせた。

 友人の彼女D子は、「怖いのでやめよ」、と後部座席から言ってきた。
「うち、なんかそうゆうの感じてしまうねん」とD子は言った。
しかし、僕も友人B男も、それを余計に楽しんでしまって、「大丈夫やって、あの先輩、マジでホラ吹きやから」と言った。
 僕もその先輩のことは知っているから、面白おかしく、いつも小っちゃいことも大きく話をする人だから、「どうせ嘘やろ」と思っていた。

 道中、「ここやったかな」と言って迷いながら、トンネルに近づいていく。
 すると、D子の様子がだんだんと、「ちょっ、ほんまやめよ」と怒った感じになってきた。
 でも、ここまで来て、何も見ずに帰るわけにもいかんしなーと思いながら、そのトンネルまでやってきた。

 たしか、坂道を登りながら、突き当りを左に曲がったら、そのトンネルが出てきたと思う。
 道は舗装されているし、灯りもある。とても新しいトンネルに思えた。
 だから、僕は「めっちゃ綺麗やん。全然、怖さがないわ」と、トンネルを見た時に思った。

 しかし、D子は後部座席で下を見ながら、小刻みに震えているようだった。僕の彼女のC美も「ほんま、やめといたら。D子ちゃん、気分悪そうやし」と横でD子の肩を持ちながら、僕に言った。

 トンネルに入る前の道に車を停めた。
「どうする?」と僕は、B男に聞いた。「ここで、帰られへんやろ。D子はちょっと車に酔っただけやって」と言った。
 いつものB男であれば、D子の体調を真っ先考えて、やめようと言うやつである。かなり優しい奴なので、なぜそこまでトンネルをくぐりたがるのか、ちょっと違和感を感じた。

 すこし考えるフリをして、「やめとくか」と僕はB男に言った。すると、すぐに「お前、ビビりかよ!」とB男は僕にけしかけてくる。

 やっぱり、おかしい!!
 僕は、直感的にそう感じた。

「お前が車走らせへんかったら、オレ歩いてトンネル渡るわ」とまで、言いだした。
 これは、「本当に危険だ!」と僕は思った。その時、僕は冷や汗がどっと溢れた。

 その瞬間、後部座席から「ゥキャー」という低いようで甲高い声が車内に響いた。D子が頭を抱えながら、発しているようだった。
 C美が「早く、早く、車走らせて」と私に言ってきた。

 僕はバックにギアを入れて、サイドミラーをちらっと見てから、急速発進した。
 必死だったので、その時は全く気にしていなかったのだが、サイドミラーにはトンネルに男性のような気がする黒い人影がこちらを向いて立っていたと思う。

 Uターンをして、もと来た道に急いで戻った。B男は、横で「何してんねん。トンネル行こうや」と言い続けている。D子は、「あっ、あっ、あっ…」と言っているし、C美は「ほんま怖いー」と泣いているし、車内はカオスな状態だった。

 坂道を降りてから、最初に出てきたコンビニに車を停めた。少し休憩したかったからだ。

「D子ちゃん、大丈夫?」僕は、後ろを向いて聞いた。C美から「D子ちゃん、寝ちゃったみたい」と言った。
 B男は落ち着きを取り戻したみたいで、「ちょっとタバコ吸ってくるわ」と言って、外に出た。

「だから、やめようって言ったのに」と僕はC美にこっぴどく叱られた。

 車内におれなくなったので、僕もドアを開けて外に出ることにした。
コンビニの光が、僕の車を照らしていた。
 そして、ふと何気にボンネットを見た。


「うわっ!マジか…」
 白いボンネットに手形が1つ付いていた。
 時間は、4時頃だったと思う。


後日談

 あの後、B男、D子、C美をそれぞれ家まで送って、ボンネットについた手形はふき取ったのだが、D子が後部座席で失禁してしまっていて、親父から、こっぴどく怒られた。
 この1件で、B男とD子は別れてしまった。

 でも、もし、あの時トンネルを渡っていたらと思うと、いまだに怖くなる。

 D子はかなり霊感が強い子だったようだ。南港に行った時に、D子のテンションがかなり高かった。そして、B男が呼ばれるように、トンネルに行こうと言い出した。
 これは憶測でしかないのだが、私は南港からすでにD子が何かから引き寄せられるように憑かれていたのではないかと思っている。
 なぜなら、そのトンネルのことはいまだに記憶にしっかり残っているのに、そのトンネルへの道順や帰りはどうやって帰ったのか、僕は全く覚えていないからだ。

 今もそのトンネルは、はたして実在するのだろうか…

<了>




スズムラさんの賑やかし帯を見て、思い出したので記事にしました。
拝借させていただきました🙇
誠にありがとうございます😌✨

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