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シューズを洗う

この年末年始、初めてシューズを丸洗いした。

これまでシューズを丸洗いするという発想が全くなかった。何ヶ月も履き続けたシューズは、異様な臭いを発するようになり、洗ったばかりの靴下も、臭いシューズを履けば即悪臭を放つ。仕事中に足元から臭いが漂ってきて、不快な気分になったり。

消臭スプレーを試したことがある。なんとなく臭いが抑えられた気がするが、長続きしない。ていうかスプレーの臭いも混じることで、短期間のうちにさらに臭くなる。臭いの元を除去せず、上から何か吹きつけているだけなのだから当然のような気がする。

銅に殺菌作用があるので、10円玉を靴に入れると消臭効果があるという話もよく聞く。しかしシューズに10円玉100枚を入れて1ヶ月放置しても、全く臭いが取れなかった。とんでもないガセ情報である。

なにかの拍子に、洗っちゃえばいいのでは?と思い至った。

履き心地をとても気に入っているが、もはや臭すぎてQOLを下げさえしているシューズを、丸洗いすることで臭いを元から除去し、気持ちよく歩き出すためのアイテムとして蘇らせるのだ。

インソールを抜き出し、鼻先に持ってきてにおう。くせぇ。いやしかし、これワイドハイタープロとかかけて、洗濯ネットに入れて洗濯機で洗っちゃえそうだなと思う。インソールを抜いたシューズの中もにおう。やはりこっちもくせぇ。しかし、お湯で丸洗いすれば臭いの元から除去できるはず。調べたら中性洗剤で手洗いできそうなので、100均でシューズがちょうど収まりそうな容器を買い、そこにぬるま湯を入れて、NANOXを入れてじゃぶじゃぶ。今までシューズ丸洗いに思い至らなかったのは、ずぶ濡れにすることに対する拒絶反応だったのかもと、洗いながら気づいた。いざ全体を水に漬けてしまうと、乾かすだけじゃんと思える。アウトソールの泥とかもあるだろうけど、お湯がどんどん黒くなってきて、汚れが取れているのがわかった。気持ちいい。お湯を入れ替えて2、3回ゆすいで洗剤を落とす。ずぶ濡れになったシューズは簡単には乾かない。これも100均で買ってきた洗濯ネットに逆さまに入れて、洗濯バサミで物干し竿に吊り下げた。晴れた日に2日も干しているとカラッカラに乾いた。

さて、乾き切ったらインソールを挿入し、完成です。

丸洗いしたシューズの匂いは、洗剤で洗ったので、完全に洗濯物の匂いになった。シューズが洗濯物の匂いとは新体験だわ!履いてみると、履き心地なども変わっておらず、シューズ丸洗いは成功に終わったと確信した。これで2、3回洗って履き潰すまで履けるね。

シューズを履かない日はないだろう。履かない日がないだけではなく、シューズは「よーし出かけるぞ」という気持ちと密接につながっている。新しいことを始めるメタファーとも思える大事なアイテムだ。そんなアイテムを、感謝しながら手で洗い、また気持ちよく歩き出す。シューズを洗う営みは、生活を大切にしているかのような、神聖な気持ちになれる時間でもあった。

じゃぶじゃぶ。

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