見出し画像

インターネットベンチプレス

※今回はコラムというか思ったことを書いただけです。 

突然ですが、皆さんベンチプレスで肩肘を痛めたことはありますか?僕は大胸筋が軽い肉離れ?をしたことならありますが、現在は元気ですし、肩肘は何ごともなくヘルシーです。

 肩肘を痛めながらベンチプレスを続ける方、痛めてしまったせいで記録が伸びず競技から離れてしまった方、時間をかけてケアをしながらベンチプレスをしている方、ベンチプレスはしないでボディメイクをしている方など様々な境遇があると思います。

 競技者の皆さんは、ジムに所属してある程度フォームを見てもらったり、見て盗んだりしながら所謂パワーフォームを会得して試合に望んでいるかと思われます。しかし、個人で練習している方や選手もいらっしゃると思います。そういう方はフォームがめちゃくちゃのまま練習を続けている場合もありますが、最近多いと感じるのはネットや動画サイト、SNS等で発信される情報を元にフォームや練習方法を学んでトレーニングを積んでいる方々です。

 そのため、所属が個人の選手でもフォームが教わっているかのようにとてもキレイな所謂パワーフォームを会得できている事が多く見られます。それでも勿論素晴らしいことだと思いますが、そればかりでは若干の不安を感じる事があります。

 それはどういうことかというのを説明したいと思います。まず、ネットやSNSで発信されて多く見られるフォームのキューイング(ポイント、コツのようなものと捉えてます)を順不同でまとめてみます。

・肩甲骨を下方に動かす。もしくは寄せて下げる。
・顎を引く、首を伸ばすように肩を下げる。
・可動域を最小するために人差し指を81cmラインに持ってくる。
・必要であれば手を逆ハの字にして乗せる。
・下ろしの際、胸で迎えに行き、そこから下ろす(所謂二段階フォーム)。

 上半身に限ればこんなものでしょうか。この中で特にそのまま採用するのはマズイかもなと思ったのは「人差し指81cmライン」と「逆ハの字グリップ」ですね。

 これらに関しては昔から言われてる基本では?と思われた方もいるかもしれません。そうなのです。これらは昔から言われている最早セオリーというか「パワーリフターならグリップは人差し指81cm、ハの字切る」というのが常識になりつつあります。では何故これらが不安材料なのでしょうか。

 理由は先程のキューイングの中にある、揺るがない基本でもある「肩甲骨を下方に動かす。もしくは寄せて下げる。」という部分にあります。まず、グリップ位置を広くし、ハの字を切るように握る動きを単体ですると、前腕が回内(内側にねじる)状態となり、それに伴って肩関節も内旋(同様に内側にねじれる)してきます。対して、肩甲骨を下方に下げる動きだけだと肩関節が外旋(外にねじれる)方向に動きます。これらの動きを同時にやると拮抗した動作同士のぶつかり合いになるので、どこかが雑巾を絞るようにねじれてきます。それが概ね肘か肩になります。今パソコン・スマホを見ていて座っている状態で且つバーを持っていない状態だとそこまでキツさを感じないかと思いますが、バーを持っている状態で、更に重量が乗ってくると手の部分が固定され、ベンチ台に乗っている背中も固定されている=むしろ外旋方向に拮抗しようとするので「ねじれ」が強くなります。

 でもそれは仕方のないことでは?そういうもんでしょ、という考えもあるかもしれません。確かに肩関節や肘関節、前腕の柔軟性や筋力などをケアをしていればクリアできる問題かもしれません。実際トッププレッサー達は前腕などのケアを重視していることが多いです。だけどそれで解決出来る人はどれだけいるでしょうか?トレーニングを積んでいる方々であれば、スクワットやデッドリフトも行ったことがあるかと思います。同じBIG3ですが、スクワットやデッドリフトでも身体に合わないのであればやらなくても良いという話もSNSや動画で見かけたりします。スクワットをフルボトムでしゃがむ適正の無い方や、ナローデッドリフトに向かない、逆に足幅をイッパイに開いたスモーデッドリフトに適正が無い方もいると思います。しかし、それはベンチプレスに関しても同じことが言えるのではないかと思います。いくら柔軟性を良くしたりしてワイドフォームに適応しようとしても適応しきれない方も必ずいるはずです。そういう方が何も考えず真似をすると怪我をします。今までもワイドフォームが広まり続けた理由は「生存バイアス」かなと思います。ワイドフォームに適応し、それで記録が伸びてきた人がいて結果を出した人の声が大きくなり、広まっていってると考えています。むしろトッププレッサーの中でも怪我をしながらでも競技をしている選手もいます。

 もちろん、今までで話した要素では足りなさすぎるくらいです。ベンチプレスはBIG3の中ではかなり繊細な種目です。身体的特性や筋力のバランス、公式ベンチプレス台との相性、最近流行りの4スタンス理論などもっと細かい要素が適正に絡んでくると思います。千差万別の人体に合うただ1つのフォームというのはおそらく存在しません。だからこそ、安易に真似するのはやめたほうが良いと思います。じゃあどうしたら良いんだと思うでしょうけど、まずは真似してみることは間違いではありません。ただ故障しそうになる感じがするのであれば、それは適応するための要素が何か足りないことを意味していると思うので、無理に続けてはいけません。ケアを見直したり、フォームの再構築が必要と考えます。手幅を狭くするなり、ハの字を切るのやめたり、一番いいのは指導者を付けて指導してもらうことだと思います。パワーリフティングの競技者でないのであれば、無理にベンチプレスに固執することも無いのかなと思います。確かにBIG3で得られるものは大きいですが、怪我をしては意味がありません。本などで学び、頭を使い、代替出来る種目や方法を考えるべきだと思います。


それでは聞いてください。
魔法の言葉 「知らんけど」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?