あの音色の手前に僕はいた。 (途中)

いつも通りの音が聞こえる、変わらないギターの音色とハーモニカ。
その男女のセッションは変わらず僕を夢中にさせる音だった。
そのキラキラしている二人の目から視線をそらした…

それはいつもの公園の中の噴水だった。
そのいつもの噴水の前にはギターを奏でる女性がいた
そのギターを奏でるその光景に思わず息を飲んだ。
あまりにもきれいだったからだ。いや、僕のタイプなのかもしれない。
それは人魚のように二度と見られないくらい美しい。
lalala…と口ずさみながらきれいなギターの音を奏でている
その姿に見惚れているといつの間にか彼女はギターを弾き終え、
彼女と目があった。
彼女は僕にニコっと微笑み、僕を手招きした。
そして彼女は僕にこう言った
「君、昨日向こうの歩道橋で外の風景見ながら”曲”口ずさんでいたよね。」
「その姿見て、今ギターこうして弾いているの」
なぜ僕とわかったのだろう。
僕は毎日あの歩道橋を通り、たまに彼女の言う通り”曲”を口ずさんでいた。
「なんで知ってるの…」
「君の声近くで聞けた!思ったよりいい声しているね!」
彼女は悪気なく言っているのがすごくわかる
だって目がキラキラ光っているから。
彼女の目はこの奥の道にある海のようにキラキラしていた

彼女は璃音(りお)という名前だと言う
「和音(かずね)くんはなんであの歩道橋で歌を歌っているの?」
「ていうか、あの歩道橋から僕の声聞こえる?そんなに声大きいかな?」
「違くはないけれど意外と声聞こえているよ、
私はここの公園から和音くんの歌聞いているんじゃなくて、
歩道橋の下!の信号待っているときに聞いてた。
というか、聞こえてた。なんだけどね、笑」
歩道橋の下の信号からでも聞こえる声なのが恥ずかしくて
彼女のずっとキラキラしている目から思わず視線をそらした。

彼女は僕にこう聞いたのだ。
「ねえ、和音くん、私とユニット組んで!」
もちろん僕は彼女の言葉に承諾した。

僕は彼女とその日連絡先を交換し、
「明日またこの噴水前で会いたいな。」とLINEで告げられた。
「昨日ぶりだね…、璃音さん。」「なんかその呼び方嫌だ、笑」
と僕らは笑い合いながらそんな言葉の掛け合いをする。
ちなみに僕もギターを弾くことができる。
「じゃあ、作詞しない?私達の曲!」
もちろんその言葉にも承諾した。
「んー、ここは「あの空に願いをかけ、僕らは願った」とかどう?」
「なんか、私達の曲みたいだね。」と彼女は微笑んだ。
そして彼女の作詞センスに圧倒されながらも
僕らが出会ったあの噴水前で僕らは日が落ちるまで曲を作り続けた。

「♪ あの世界に願いをかけ、僕らは願った
君と星を見れる時間まで入れますように〜…」
僕と彼女はギターを弾きながらありのままに歌い弾き続けた。

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