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発酵文化人類学と糠漬けについて

以前何かの本で人とショウジョウバエの遺伝子はほぼ同じという事実を知った。その上でなぜ人間はハエに比べ複雑な体を維持できるのかというと、体内の微生物に食べ物の消化や、必要な栄養素の生成など様々な役割をアウトソースしているからだという。

そうすると、何でもかんでも殺菌消毒しようといった昨今の動きが如何に身体の本来の仕組みに逆行しているかが分かるけれども、ではその反対と言いますか、体内の微生物を労わる行為とは何だろうかと考えてみたくなる。

そこで色々調べていると、人と微生物を繋ぐキーワードは「発酵」であることが分かり、小倉ヒラク先生の「発酵文化人類学(https://amzn.to/3ABSq7s)」読んでから自分も発酵を身近に感じて体内の微生物を労りたい!(腸内環境の改善とも言い換えることができる)という気持ちからまずは糠漬けを始めてみることにした。

とはいえ管理に手間が掛かったりする噂を何となく耳にしていたり、そもそも糠漬け自体が口に合わない場合はどうしようもないので検証段階を経て本格的に継続を目指すことにした。

まず第一段階としては出来合いのものを食べてみる。確かご飯がススムくんなどで有名なPickles社のものだったと思うけど、爽やかな酸味(これが発酵の力?)と程よい塩味が絶妙に箸休めになり、さらに自然と身体が求めて再び食べたくなる感じがしたのでこれは是非とも自分でも漬けてみたいと思えた。

次に、まずは本格的な容器など買う前に手頃なものから試してみようと、近所のイトーヨーカドーで売ってあったマルコメの糠漬けセットを手に入れた。袋の底のマチが広いので独立して立つ上に、チャックも付いているので特に容器を用意しなくてもそのまま漬けられる。そこで2本ほどきゅうりを漬けてみた。

まだ糠が新しいうちは漬かるのも早いので15〜18時間ぐらいで十分なのだけど、こんなに簡単なのにここまで美味しくなるのかというレベルで上手く仕上がった。きゅうり独特の青臭さは消え、ちょうど良い柔らかさに。そしてまるでフルーツのような爽やかな香りと程良い塩味に感動した。

これは続きそうだと思ったので良い容器が欲しいと思い色々調べていると、いなかず商店の「すぎドコ」にたどり着いた。見た目も良く、匂いも漏れず、冷蔵庫に入れるにはサイズもちょうど良く、さらに漬けると野菜から水が抜けて糠が水っぽくなる問題に対してもある程度水を発散させてくれるという優れものなのでもし本格的に糠漬けを続けたい方には是非とも勧めたいと思う。

まだまだ魅力はたくさんある。例えばどんなものでも(一定相性はあるけど)漬けると美味しくなるところ。変わり種でいうとヤングコーンだとか茗荷、夏だとズッキーニあたりがヒットしたけれど、仕上がるまでのような味になるか分からないところがゲーム性があっていい。ゲーム性でいうと、どのタイミングで漬けを終わらせるかが具材やその切り方や糠の状態で絶妙に変わってくるのでその駆け引きも面白い。

あと、使いきれなくて萎びてしまった野菜も糠床に突っ込めばむしろ漬かりやすい状態になっているので捨てずに楽しめるところ(それと野菜のお勤め品コーナーが宝の山に見えるようになる)、保存がある程度効くので野菜が少ない茶色い食卓になったときに一品差し込むだけで健康的なメニューに早変わりして罪悪感が薄まる点も気に入っている。(それにしても茶色い食べ物は何でも美味しい)

ということでなんとも取り止めもない文章になったけれど、少しでも糠漬けに興味を持つきっかけになったのであればとても嬉しい。



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