見出し画像

インターネットの3D化について考える その2

前回の予告通り、本日はレディ・プレイヤー1を鑑賞した。
主に作中で登場するオアシスというシステムを観察するためである。

オアシスはVR(バーチャルリアリティー)を中心に据えたものであり、サマーウォーズのOZとは利用する機器が異なる。
描写としては更に時代が進んだものとして認識できるだろう。



オアシスの概要

以下の通り(作品は2045年が舞台)

・形態:多人数同時参加型オンラインゲームからスタートした巨大仮想空間で、宇宙空間のようにいくつも「惑星」が存在しており、それぞれの星にそれ専用施設が敷設されている。(⇨学校専用の星なら学校のみが存在する等)
・時代環境:エネルギー危機、異常気象、飢餓、貧困、疫病、戦争により社会は荒廃している(主人公はトレーラーハウスを縦に重ねた簡易的な居住スペースで暮らしている)
・必要機器:VRHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、OASIS接続用コンソール、触覚を意識できるグローブやスーツなどを着ければよりリアルな感覚を味わうことができる
・通貨:OASIS独自の通貨で取引されており、既に現実の紙幣より信用が得られている
・アバター:アカウントは通常匿名で使用されるが、学校などの公的機関のみ実名の登録がなされたり、アバターの姿も現実に近いものなど制限がある模様
・できること:買い物、旅行体験、学校での授業参加、ビジネス全般、スポーツ、対戦ゲーム、宗教施設の礼拝等

シンギュラリティが訪れるとされているのが2045年、作中AIについての言及は特にされてないが、「現実で出来なくてもOASISなら」と言う思いを叶えてくれる夢の世界を提供していると言えるだろう。



実際こんなことできるの?

まずこのOASISは1社(グレガリアス・シミュレーション・システムズ)によって運営されている。

リアルのインターネット以上の利用のされ方を見るとかなり大掛かりな設計が必要であり、天才的な頭脳を持ち合わせた開発者じゃないとこの世界を生み出すのは無理だと思う。(⇨リアルのインターネットはどこか一つの会社によって運営がされている訳ではない)

※参考

さらに作中ではライバル企業に敵対的買収を何度も仕掛けられており、その経営権を巡って策謀が巡らされるなどあまり平和的な状況にあるとは言えない。(苦笑)

一事業者としてこのシステムを開発運営するのは困難極めるだろう。



それではユーザーサイドではどんな問題があり得そうだろうか?
技術的な部分はまだ実現不可能と思われるものが多いのでそこに触れても想像の域を出ないが、利用上の問題点は今の時点でもいくつか指摘できる。

①強い匿名性
②依存性
③利用機器のスペック

①OASISは強い匿名性に守られたシステムとなっている。
このシステムでは、ユーザーは自分の本名や顔を隠し、仮想のアバターやニックネームで活動することができる。

そしておじさんは自ら美少女となり、その可愛さを追求するようになりがち(笑)

我々の社会は直接会うことで構築し合っており、基本的に全く姿を見せずに関係を続けているわけではない。つまり、我々は相手の表情や声、しぐさなどから感情や性格を読み取り、信頼や親近感を築くことができる。

場合によっては、姿を見せない、名前を明かさないと言うことは信頼性に欠ける行為と見做される見方もあるだろう。例えば、ビジネスや政治の場面では、相手の正体や背景を知ることが重要であり、匿名性は不誠実さや不透明さの印象を与えかねない。

仮に匿名性の関係のみで完結できる社会が世間一般で受け入れられるには、それなりに長い時間が必要となりそうである。



②は依存性の問題。

この問題では、ユーザーはOASISの仮想世界に没頭しすぎて、現実の生活や人間関係をおろそかにしてしまう恐れがある。

現実よりも魅力があればあるほど、現実へ戻ることが困難となってしまう。
つまり、ユーザーはOASISで自分の理想や夢を叶えたり、楽しみや刺激を求めたりすることで、現実の問題や苦痛から逃避する傾向が強くなるかもしれない。

他にも、長時間の画面操作や座りっぱなしは目や体に負担をかけるだけでなく、睡眠不足や食事不摂生なども引き起こす可能性がある。

映画のオチが「やっぱり現実も大事だよね」という無難な答えに収まったあたり、ストーリーはそういった懸念を考慮して作られたと考えられる。



③は利用機器自体のスペックの問題。

こちらは以前書いたことと同じだが、マシンのスペックが重要となっている。

ユーザーがOASISを快適に楽しむためには高性能なヘッドマウントディスプレイ(HMD)やコントローラーなどの機器が必要となるが、それらは高価であり、すべての人が手に入れることができるとは限らない。

OASISでは、仮想世界のグラフィックスや音響、操作感覚などが現実に近いほど没入感や満足度が高まるため、マシンの性能はユーザー体験に大きく影響する。

現実のHMDは、まだ映画で描かれたようなOASIS内のリアルな描写を再現することはできない。

主人公の使っている機器が決して高価なものではないにも拘らず、映画で描かれるようなあの描写が可能だと推測すると、あのレベルのものが我々の現実で一般的に普及するまではまだまだ時間が掛かりそうだ。



OASISはインターネットを使ってコミュニケーションをしているのが好きな人なら、まさに夢のバーチャルなユートピアと言えるだろう。

利用者として考えるなら、これをメタバースの理想のモデルとして考えるのは確かに悪く無いかもしれない。

ただ同時に、技術的なことや倫理面、健康等まだまだ乗り越えなければならないハードルは高そうである。

次回は、現時点でのメタバースの現状と問題点、そしてその未来について考えていきたい。


※追記(2023/03/04)

おーいいね、こういうの

https://twitter.com/piero_fioretti/status/1625082446168440834?s=20

これは作られたデータがCGなのか何なのかよくわからないけど、まずは見た目が大事。

例えばの話、こうやってAIとか便利になるものどんどん使ってホームページが立体化されていけば、インターネットに繋ぐときアバターを使う意味も出てくるし、VRのディスプレイ被る意味も出てくると思うんよ。

自分も頑張る。

何らかのアクションをいただけると、一人で記事を書いてるわけではないのだと感じられ、嬉しくて小躍りしちゃいます。