見出し画像

外からは見えないまちの真実

2021年からコロナと睨めっこしながらオープンしてきた、アノウラボの2つの活動拠点。おかげさまで少しずつ認知も広がり、安濃町内・津市内だけでなく市外・県外から来てくださる方も増えてきました。

お越し頂いた方とのたわいもない話の中から、町内の新たな情報を頂くこともあります。今日はその中でも最近印象的だった話を。個人情報もあるので少し編集&全てはお伝えできませんが、概ねこんなお話でした。

ある空き家の話

両親が住んでいた家が町内にあり、ご本人は現在町外に住んでいます。
両親が亡くなったあと空き家になってしまったがご本人が他市町で定住してしまっているため、一時は売りに出そうと考えたが断念。家がある地区の住民から売りに出すことを反対されてしまったそうです。
そのため墓参り等で年に数回は必ず家を訪れ、見回りだけでなく窓を開けて空気を入れ替えたり等を続けていました。
ある日、これまでのように家を見に行くと、窓ガラスが割られているのを発見。明らかに誰かが侵入した形跡があり、怖くなって警察に通報したそうです。
自分達の生活もあるので安濃町に戻ることもできず、周囲に反対されているので売ることもできない。現在は近くに住む親戚にお願いして空き家の訪問の頻度を上げることでどうにか一旦落ち着いた、とのお話でした。
何かお手伝いできることがあればいつでも声かけてください、とお伝えしましたが、何ともいたたまれない気持ちになりました。

空き家と人口推移

空き家は安濃町だけの問題ではなく、全国的に増え続けています。
総務省調査によると全国の空き家数は約848万9000戸(2018年)で、全住宅のの13.6%が空き家という状況になっています。
2030年頃にはその数が2000万戸を超えるという予測もあり、それが現実になってしまうとなんと全住宅の3戸に1戸が空き家というなんとも恐ろしい状況になってしまいます。
空き家が増えているということは、その地域に住む人が減っているということ。安濃町でも、地区によっては幼稚園がなくなってしまったり小学校統合の話が出ていたりもします。学校がなくなることは地域にとって大きなダメージだし残したい気持ちもよく分かるけど、生徒が少数にも関わらず数百人が使える建物(学校)を維持管理していくのは正直現実的ではないのも事実。
安濃町というまちだけの規模ならまだやりようがある気もしますが、現在は合併し「津市」の中のエリアのひとつでしかないため、津市の中の安濃町の中のひとつの地区のためだけに、行政が細やかに対応していくのが難しいことも理解できます。
更には、安濃町の人口推移は上記とは明らかに異なる状況も起きています。空き家は確実に増え続けているのに、安濃町全体で見てみるとその割合に見合うほど住民が減っていないんです。

まちに住むということ

昔から住民が住むエリアや数十年前にできた住宅団地などは明らかに空き家が増え続けているし、その中には長年放置されてる感のあるところがいくつもあります。
その一方で、これまで田畑だったところに10数件程度の新築住宅が立ち並ぶエリアが町内にいくつもできていて、そこには若い世代が移り住んでいるという状況もあります。
新たに家を建てること自体を否定するつもりは一切ありませんし、移り住む環境として安濃町が望まれたり選ばれたりしているのであれば、住民のひとりとして嬉しいことでもあります。でも明らかにそのバランスは良くないし、まちのインフラの変動は既に起きてしまっています。
私の住むエリアでは、路線バスが廃線になってしまいました。高齢者や学生などにとっては重要なインフラだけど、バスは民間運営なので損益を考えれば致し方ないです。
町内や近くにあった銀行の支店も全てなくなり、銀行で必要な手続き等をしようと思ってもわざわざ車で10数分は走らないと行けません。更に人口減少が進むと、スーパーや病院などの撤退や廃業などもあるかもしれません。
もしそうなってしまった時、私達は変わらず「安濃町は住みやすいまち」と言えるのでしょうか?

別の視点では、ある日、田畑だったところに太陽光パネルが設置されてしまったり、今回のように空き家に泥棒が来てしまったり、放置された庭や田畑にスズメバチやイノシシなどが棲家や餌場として侵入してきたり。これらはほんの一部の例ですが、それが周辺に住む人達にとって「これまでにはなかった」被害や苦しみを生み、住みづらさや転居などにつながることも十分あり得ます。

まちのコンシェルジュの存在

アノウラボの活動をはじめる当初、行政の方へ「まちのコンシェルジュ」機能の重要性やその在り方について提案したことがあります。提案自体は承認してもらっているようですが、いまだその実現には至っていません。
詳細はまた別の機会に紹介しますが、簡単に言うと「現在住んでいる方々」と「これから住む・住みたいと思っている方々」をうまく結びつけたり、インフラを含む周辺環境も含めた多方面からのアプローチやアイデアを、行政主導ではなく民間主導で行政や地域住民とも協力しあいながら「面」として広げていく。そんな構想です。
今はまだアイデア状態ですが、もしコンシェルジュを担えるのなら具体的に試してみたいことは沢山あります。現在の活動拠点もその構想と組み合わせていくことができれば、今よりもっと楽しくワクワクするような場になるはずです。

10年後を見据えたアノウラボの取組、10年という区切りを考えると残りあと8年になりました。次の段階へ進めていくために、活動拠点のあり方も今後変わってくるかもしれません。
安濃町に行ってみたい・安濃町に関わりたい・安濃町に住んでみたい
そう思えるようなまちをみんなでつくろう!とはじめたアノウラボ。これから私達に何ができるのか・私達の住むまちに今後どんなことが起きるのか、未知数な部分も課題山積な部分もあるけれど、できるところから少しずつ具体的なアクションにつなげていければと思っています。

もしご興味があれば、また町内で困っていることがあれば、どこまでお役に立てるか分かりませんがぜひ一度詳しく聞かせてください。

anoulabo@gmail.com(担当:森谷まで)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?