20240108

 雑音で目が覚めた。今年初めての蝉の声だった。カーテンを開けると羽化したばかりの白い蝉がすぐそばにいた。夏が来た。
 そんな夢を見た。カーテンを開けた。紛れもなく冬であった。夏か冬どちらが好きか、そう聞かれたら必ず夏と答える。私は夏が好きだ。だから落胆した。
 蝉の羽化、それは幼少期地元の盆踊り大会で初めて見た。ノスタルジー。わずかな夢の時間であの頃の夏に思いを馳せている。懐かしさに胸が痛い。夏が来たら毎日この思いをするだろう。耐えられるだろうか。夢が私に夏を暗示した。次来る夏を楽しみに生きようと思う。


 昔懐かしの映像を流す音楽番組がリビングでかかっている。家族が楽しそうにしているこの時間が少し嬉しい。だけど私はこの番組が苦手だ。観客を映さないでほしい。
 80年代といえばもう40年程前になり、観客の高齢者のほとんどは亡くなってしまっていることだろう。当時その観客は死ぬことなんて考えていないだろうし家族もそうだろう。今この映像を"音楽番組"として見ていて、突如亡くなった家族が映し出されたらどんな気持ちだろうか。私は苦しくてたまらない。家族にとって唯一の存在を、私達はただの映像として見ている。髪型、服装で時代を感じている。昭和の人間、歴史として見ている。そしてただの過去になる。それが辛い。多分考えすぎだ。ただ死ぬのが怖い。

 昨日の日記は書けなかった。写真を残す。17:00前の夕焼けが綺麗だった。いつもオレンジ色に焼ける空がすごく赤かった。世界が終わるかと思った。18:00頃には赤黒くなった。雲も分厚く黒かった。海を越えたその先の島で火事が起こっている、そう言われたら信じてしまうほどの景色だった。夕焼けは一瞬で、1番欲しい瞬間の写真はいつも撮れないんだ。

これは焼け焦げる前の空。

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