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総国分寺、東大寺の復権

尊勝院:華厳宗
東南院(現 本坊):三論宗
真言院:真言宗
唐禅院:天台宗
知足院:法相宗
戒壇院:律宗
勧進所(旧 龍松院):浄土宗

 ここに挙げた寺院は、東大寺の末寺でその寺域内にありながら、それぞれ特定の宗派を標榜していた塔頭である。僧はこれらの塔頭を巡って複数の宗派の教学を修めるのが常であった。ところが明治政府は、全ての寺院に対し単一の宗派に属することを強制したことから、華厳経の教主を本尊に戴く東大寺は華厳宗の大本山となり、檀家を持たないことから法人としては極めて小規模な団体に甘んじているわけであるが、本来は八宗兼学の寺院であり、華厳宗はもちろん寺内において有力な勢力で三論宗、真言宗と並んで多数の別当を輩出してきたものの、あくまでその本所は東大寺自体ではなくその一部を構成する尊勝院であった。

 東大寺に八宗兼学の寺院へと立ち還って頂くために、現在は全て華厳宗の末寺となっているこれらの塔頭をもとの宗派の末寺に戻し、東大寺内に各宗派の出先機関があるような構造にすべきである。上記に名前の挙がっていないような鎌倉仏教宗派にも、是非東大寺の寺域内に自宗派の塔頭を建立して頂きたい。そして願わくば、別当職はこれらの宗派の協議による指名に基づいて天皇が任命するかたちとし、その別当のもとこれらの宗派が共同で、東大寺内の年中行事を行うようになって頂きたい。東大寺別当職を、檀家を持つ巨大教団の上に立って日本大乗仏教を統括するような役職として頂きたい。

八宗兼学の総国分寺、
天皇直轄の筆頭官寺、
大乗仏教学の総合大学、
仏教修法の総合病院、

延暦寺や興福寺のように強訴に頼ることなく王権を支え、
そして二度の焼失を経ても勧進による民意での再建を果たすほど信仰を集め続けてきた、まさに日本仏教の象徴

東大寺の復活を待っている。

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