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My Tinder History #8第一時ビッチ期

◆第一時ビッチ期①

性に目覚めた私は、その喜びとその虚しさ、愚かさを実感します。

少しでも隙を見せてみると、男の人がいとも簡単に態度を変えるのが面白かったのです。

私はTinderで出会った同い年の「のり」とよく夜中に通話をしていました。初めて通話した時、彼は睡眠薬とお酒を一緒に飲んでハイになっていました。

彼は、子どもみたいにコロコロと笑い、いつも年下気質なので人に懐くのも上手な人でした。

わたしも末っ子気質だったので、似たもの同士すぐに仲良くなったのかもしれません。お互いの写真や動画を何枚も送り合いました。

恋愛や就活や、Twitterにあった面白いネタやYouTubeの動画を共有して2人で夜中にゲラゲラ笑いました。

電話を切る時は、私が「まだ話したい」と言うと嬉しそうに困ってみせたり、カップルの喧嘩みたいなごっこ遊びもしました。

その人と一度も会っていませんが、話せば話すほど彼に対し愛着が湧きました。

不謹慎ですがそれをコロナマジックと呼んでいました。他に会う人がいなかったので寂しかった故の現象でしょう。

わたしはある時、別の男性とホテルに行ったのですが不発に終わり、身体の中で芽生えた性欲が解消しきれずにモヤモヤと漂う感覚を覚えました。

いつものように、のりに通話し、その日に何があったか話し、今どんな気分でいるかを伝えました。 

そして、ビデオ通話に切り替え、相手の反応を見ながら服を少しずつ脱いでいきます。

「そんな風に見てなかったから反応に困るよ」と言って、恥ずかしそうにしているのと、その一方では興味を注いでくれているのが面白くて愉快な気分になりました。

その日以降、彼は私への態度が変わったのです。
友達ではなく、女として(もしかしたら雌として)"捕らえてみたい"対象に変わったのでした。

◆第一時ビッチ期②

女もバカな生き物で、身体を許すと心まで許してしまうようになるのです。

まるちゃんは焼き芋のような巨根を持つDick headでした。それに比例しているのか性欲も人並みではありません。

そして、性欲が旺盛な人は技術も持っています。まるちゃんは女がどうすれば気持ち良くなるのか知り得ている人でした。

身長はそれほど高くはありませんでしたが、筋トレやランニングをしているだけあって引き締まっていて厚みのある身体をしていました。

あてもなく歩いていると思ったら石川町のホテル街に辿り着きました。一番豪華そうなホテルを選んだつもりが空調が壊れてうるさいボロホテルでした。

明け方、自転車を片手で押しながら元町商店街を歩いている頃には、もう片方の手はまるちゃんの手を握っているのでした。

横浜駅に新しく映画館が出来たばかりの頃、ドルビーシネマで『ベイビードライバー』が再上映されることになり2人で見に行きました。「普段見ない映画だから、誘ってくれて嬉しかった。」と喜んでもらえたようでした。

その後に上の階にあったモダンメキシコ料理のレストランで言われた言葉をたまに思い出します。

「一緒に旅はしたくないけど、旅先で出会えたら嬉しい」

私のことです。その言葉がしばらく自分を呪うのでした。

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