まだ携帯電話が珍しかった時代のハナシ

夜中までのアルバイトを終えて
仲間と明け方まで飲み明かし
朝日の昇る中
いい気分で帰宅
シャワーを浴びで一服していると
早朝なのに携帯電話に着信アリ

しかも２〜３件
近所の友人からだ！

何事かと折り返すと
「もしもし？
　何で家にいなかった？」
と落ち込んでる言葉
「バイト行って
　さっきまで飲んでたんだよねー」
と答えると

「いま
　俺は便座の上で
　ウンコ漏らしてる…」

ん？
意味がわからない

彼が淡々と語る内容は
こうだった

夜中の工事仕事が終わり
始発で帰宅
途中で猛烈な便意が！
駅で済ませればよかったが
タイミングを逃して帰宅
駅からの途中で
便意の波がやってきたそうです

自宅までは到底もちそうにない
そうだ！
帰り道のアイツの家で
早朝で悪いけどトイレ借りるしか無い！
と思い携帯電話をかけるも
アレ？
あいつ電話に出ない…
とりあえず家に寄るしか無い！
という状況

で
アパートまで来て
ノックしてもドアをガチャガチャしても
出てこない
ダメだ…
アイツいねぇ！

というわけで
失意の中
全集中して自宅まで帰宅

後に聞いたところによると
砂漠を彷徨うような幻覚を
途中で見たそうです

何度も襲いかかる便意の津波
何度も挫けそうになりながら
一歩一歩自宅へ進む

自宅のアパートが見えた時
最後の電柱で
気を許すと負ける！
そう言い聞かせて
半泣きになりながら
産まれたての子鹿のように
プルプル震えながら
自宅に到着したそうです

おれは勝った！
勝利の余韻に浸る暇もなく
仕事の安全靴を脱ぐ余裕は無し！
土足でトイレへ直行

完全勝利！
と
自分の胆力に感動したそうです

さて勝利を味わおうと
ズボンを下ろそうとすると
ズボンが下ろせない

仕事用に
雨ガッパのズボン履いてました

しかも

【紐が固結び】

焦るテンパる震える
どうしても紐がほどけない
無理やり脱ごうとしてもダメ
引きちぎるコトもできない
脳内には踏切の音が
カンカン聞こえ始めた

もうダメだ…

友人は諦めると
瞬足で
便座の上に足をかけ
ウンコ座りに？

どうやら
被害を最低限にしたかったらしく
ズボンのケツのところに
ウンコを溜めようとした
努力と知恵の結果らしい

ズボンのケツの所に
たんまり溜まったウンコ
ウンチングスタイルのまま
とりあえずタバコを取り出し
一服しながら

死にてぇ…
と涙ぐんだそうです

そうだ
アイツに電話してみよう
というタイミングで
自分に
電話をかけてきたのでした

「わるいけどハサミ持って
　家まで来てくれねぇ？」
と頼まれましたが
「ぜってーやだよっ！」
と電話を切って
布団に入って眠りを貪りました

夕方ごろに
どうなったかと思って
晩飯でも食べようと誘って
話を聞いてみると

「結局
　固結びがほどけなくて
　リビングまで
　ウンチングスタイルでいって
　ハサミで紐切ったけど
　パンツもズボンも
　捨てたわ…」
とのコト

ただ
ウンチング状態が長かったせいか
お尻とふくらはぎが
かぶれてしまったようで
しばらく痒かったそうです

へぇー
ウンチって
かぶれるのか！

便器までの距離5cm
便器の上空で
ウンコを漏らした
というハナシ