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ファインダー越しの世界 冬

こんにちは。アントラーズオフィシャルカメラマンの櫻井由美です。

昨シーズンの秋も収穫の秋とならず…。昨年末は長きに渡ってアントラーズを支えてくれた戦友のようなスタッフたちとの別れもあり、個人的にも辛いオフシーズンとなりました。言葉を紡ぐことがなかなかできないような状況だったのですが、今回はクラブを離れることになった3人の選手について書きたいと思います。

明治安田生命J1リーグ第32節 ジュビロ磐田戦 先制点後のゴールパフォーマンス(2022/10/8)

「産まれました!」

磐田戦の前日、移動中の新幹線で三竿選手から嬉しい連絡をもらいました。聞いていた予定日よりも早い誕生でびっくりしたのですが、三竿選手の文面からは幸せいっぱいのパパ感が出ていて微笑ましかったです。

試合当日、とにかく先制ゴールを決めて勝てるようにと祈っていたところ、開始早々に樋口選手の素晴らしいシュートが決まり、先制!ただ、樋口選手は私とは反対方向に走っていったので、「あ〜残念」と思っていたのも束の間、樋口選手が優磨選手に抱きつきながらも、「あっちだあっち!」みたいなポーズをしたのを合図に、次から次へと選手がこちらに走って来てゆりかごダンスを始めました。さらに、優磨選手から「待って!」の声が届き、「?」と思っていたら、GKの早川選手、そしてピトゥカ選手も画面に入り、なんと総勢11人でゆりかごダンスをすることに。11人全員が横一列に並ぶので画角がギリギリで焦りましたが、最終的にはヤマハスタジアムの壁にくっついて撮影していました。

磐田ベンチに向かって「ゆりかご」をやるような形になってしまったことは大変失礼だったと思うので、この場をお借りして磐田の皆さまにはお詫びいたします。

在籍した7年間、チームをたくさん助けてくださった三竿選手の記念日に、みんなでお祝いできてよかったです。三竿選手、7年間本当にありがとうございました。アントラーズのために戦ってくれた姿、一生忘れないです。

明治安田生命J1リーグ第25節 アビスパ福岡戦 試合後のエヴェラウド選手(2022/8/14)

「エヴェ、ナイスゴール!」

声をかけてシャッターを押そうとしたら、今までに見たことが無いような満面の笑みでレンズに近づいてくるエヴェラウド選手。

「今日はどうしちゃったのだろう?」と思い、片言のポルトガル語で聞いてみたら「キョウ、ブラジル、パパDAY。ピエトロ&マテオ、プレゼントゴールネ!!!」と教えてくれました。日本とは異なり、ブラジルの「父の日」は8月の第2日曜日なんですね。2人の息子さんのために、父の日にゴールを決められたことがエヴェパパは嬉しかったようです。

お子さん思いの良きパパらしい、ほのぼのとしたシーンでした。大好きなご家族の近くでこれからもかっこいいパパでいてください!

サポーターの皆さんに見せる心優しいあなたの姿勢が、私は大好きでした。

Eve, Muito Obrigada!!!

クラブハウス 10月のとある練習後

クラブハウスでの練習を一通り撮り終え、「帰ろうかな?」と思いグラウンドを歩いていたら、1足の履き込まれたNIKEのスパイクが目に留まりました。「誰のだろう?」と、思わずシャッターを押していたら、「もう大丈夫ですか?」と撮り終わったタイミングで背後から声がしました。振り返ると、そこにはスパイクを脱いでクールダウンを終えた和泉選手がいました。

「これ和泉くんのスパイク?」と聞くと「そうです。履きこんでいるから…」と少し恥ずかしそうに笑っていた和泉選手。たまたま横にいた広瀬選手も笑いながら「すごいよね」と一言。

和泉選手は自分の周りの人や物、すべてをとても大切にする人なんだ…と思い、ちょっと感動。 

不平不満を一切言わず、チームのために献身的にプレーする姿にずっと心打たれてきました。和泉選手と同じチームで仕事ができた3年間は、大きな財産となりました。和泉選手、ありがとうございました。

最後に。

この写真は2018年、イランの地で撮影したものです。アジア制覇を決めた3日前に撮影しました。

クラブ悲願のアジア制覇がかかった大一番の前にみんなで撮影した集合写真なのですが、ファインダー越しに見たみんなの精悍な表情と、チームの団結力が強く感じられて…気に入っている1枚です。

もう一度、この時のような空気感を感じながら優勝したい。これが今の、切実なる願いです。

2023年もどうぞよろしくお願いします。






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