9/26 Yumi Zouma来日公演レポート

場所は恵比寿リキッドルーム。LCDサウンドシステムがかかる会場は、まだ人はまばらだった。同日2公演のうちの2回目だったので、数時間前にこの会場で既にひと盛り上がりしたことを思い、その熱狂の余韻を探した。開演直前ともなると会場はほぼ満員となり、ステージ上の花で飾られたマイクスタンドが不規則に光り始め、暗転。
ボーカルのクリスティはゆったりとした白のワンピースを着ていて妖精のようだった。ギターのジョシュが「マジアリガト」と挨拶(この日は何度もこの言葉を繰り返していた)。SEが始まり1曲目は"Southwark"。ドリーミーなシンセとタイトなドラムが作り出すグルーヴはまさにYumi Zoumaサウンド。しかし音源よりも熱の入った演奏、きっちりしているかと思いきや実は奔放なギタープレイに驚きと喜びが湧き上がる。そのまま最新アルバムのオープニングトラック”Give it Hell”へ。クリスティの程よく掠れた声はライヴでも魅力たっぷりで、低音も高音も安定感があった。その後”Truer Than Ever”、”Powder Blue / Cascine Park”といったドリーミーかつ踊れるナンバーが続き、3rdアルバムのリードトラック”Right Track / Wrong Man”のイントロのコーラスが始まると、会場はまた一段階ボルテージが上がり、多くの観客がスマホで動画を撮り始めた。
”Where The Light Used To Lay"、"December"など新旧織り交ぜて少し落ち着いた、しかし観客の体を揺らし続けるような曲が続く。再び会場が熱気を強めたのはバンド屈指のキラーチューン”Depths(Pt.1)”だった。この曲は個人的にも思い入れが強く、ここで改めて幸せを噛み締めていた。続く”In The Eyes Of Our Love”はYumi Zoumaの楽曲の中でも珍しいアップテンポなポップソング。クリスティはサビのフレーズで手を振り上げて歌い、呼応するように会場の盛り上がりも最高潮に。本編最後の”In Camera”ではジョシュがスピーカの上によじ登り熱いギターソロを披露。ハウリングさせたギターを放置してそのままステージを去るといったロック作法に則ったパフォーマンスに好感度がさらに上がった。
アンコールでは最新アルバムの白眉とも言える”Mona Lisa”、最初期のレパートリーから”The Brae”を演奏。ワンピースの裾を優雅に揺らしながら歌うクリスティが印象的だった。

総じて印象に残ったのはやっぱりボーカルの声の強さだろうか。強いといってもソウルフルなのではなくて、雰囲気を醸し出す強さ。女性にしては低いキーの曲(”Mona Lisa”など)も多いのだが、とても聴き取りやすく、しかも高音も優しい響きで、その声を使いこなす歌唱はYumi Zoumaサウンドの核になっている。天性のドリーミーな歌声と意外とも言えるパワフルな演奏。Yumi Zoumaはライヴバンドなのだと実感した。

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