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信州をめぐる冒険 1日目

 2020.10.27 Tue.
 1日目――吾妻線に乗りたい。

旅の予定

0659 大井町駅   →(京浜東北線)→0716 東京駅
0748 東京駅    →(上越新幹線)→0838 高崎駅
0853 高崎駅    → (吾妻線) →1041 大前駅
1102 大前駅    → (吾妻線) →1130 川原湯温泉駅
1200 川原湯温泉駅 → (吾妻線) →1205 長野原草津口駅
1210 長野原草津口駅→ (JRバス) →1235 草津温泉バスターミナル
(一泊)

大前行

 旅人の朝は早い。と言いたいところだが、今回の旅はそんなに早くない。なにせ7時16分に東京駅に着く電車に乗ってスタートするのだから。いつもなら、5時半の、駅弁屋の開店を店の前で待っているもの。

0659 大井町駅   →(京浜東北線)→0716 東京駅

 たぶん、これのひとつかふたつあとの電車に乗った。時間に余裕を持って計画を立てているので問題なし。東京駅についたら、朝ごはんを買って上越新幹線のホームへ。(DO IT!

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 乗るのはE4系。初だ。オール2階建て、でかい。迫力がある。引退も近いと言われていたけど、去年の台風で新幹線がいくつもダメになったので、引退はしばらく延期になりそうだとか。悲しいやら嬉しいやら。

0748 東京駅    →(上越新幹線)→0838 高崎駅

 朝ごはんは、やわらかヒレカツサンド。

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 コーヒーが飲みたかったのでサンドイッチにした。お肉はやわらかくておいしかったけど、野菜がなさすぎる。そんな日もある。
 E4系。あえての1階に乗ったのだけれど、これはこれでよいすね。貴重な体験。2階席は東海道線のグリーン車で乗ったことがあったので1階席は初めてだった。目線がホームと同じ高さなんだ。人の足元がよく見える。変なの。
 高崎駅に着いたけれど、乗り換えるだけで、外には出ない。

0853 高崎駅    → (吾妻線) →1041 大前駅

 そして吾妻線へ。

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 高崎を出るとすぐに田舎町になる。よい。高崎の駅はでかくて都会なのに。急に変わる。地方都市ではよくあること。
 吾妻線は以前から乗りたいと思っていた。なぜかは知らない。そしてせっかく乗ったのだから、やはり終点まで行かねばならぬ。行きたい。

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 ところで、この車両の形、すごい。トイレの横だけこっち向いている。たぶん、右手の優先席のところはボックスシートだったのを改造したのだろう。と勝手に想像する。それにしても奇妙だ。

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 大前駅。誰も降りない。僕一人である。密もなにもない。降りないというか、みんな一つ手前の万座・鹿沢口駅で降りた。そこから温泉とか行けるし、『・』がついている珍しい駅名だからな。でもせっかくなら終点まで、と思わないのかしら。まあ、一日5本しか電車ないからね。一つ手前の万座・鹿沢口行は結構あるのに。

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 ホームには、道祖神。そして標高アピール。

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 見てください。この、自然がいっぱいの駅。やはり群馬県は自然がいっぱいあって素敵だなぁ。

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 駅前。川はいいよね。

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 川には橋が架かっていた。しかも最近できたばかりで、古いのも残っていた。これから取り壊すのかな。寂しいなぁ。

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 新しい橋の写真なかった……。右に写っているのがそうです。古いのは昭和33年竣工だから、62年前か?
 ホームで写真撮って駅前の橋見ただけになった。少し遠くまで行く時間はなかった。嬬恋村といえば、キャベツやほうれん草の産地ですね。かぐや姫と吉田拓郎がライブしたつま恋は静岡県ですね。
 車掌さんから次のきっぷを買う。

不動大橋

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 きれいな景色の中を列車は戻る。

1102 大前駅    → (吾妻線) →1130 川原湯温泉駅

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 川原湯温泉駅である。八ッ場ダムの建設の影響で、場所が移動してしまった。きれいな駅舎である。駅前もかなりきれいで、レジャー施設も整備されていてかなり力が入っていることがわかる。そこから歩いて10分ほどして、不動大橋へ。この橋も、ダム建設の影響で、下は全部沈むから、上の道路を整備して橋を渡そうという結果できたものだ。そして橋の上から、この下の村が沈んでしまうんだろうなと思うんだろうなと思っていた。

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 もう沈んどるやんけ! 知ってたけど。今年の4月にダムの利用が始まったらしい。かつては反対意見が多くて、工事を中止するだ再開するだと話題になっていたダムだ。ちなみに上の写真の奥に見える橋の向こうがダムだ。このダムのおかげで、台風の被害を少なくできたりとかあるらしい。ちゃんと調べてないからよくわからん。でも、新しく橋ができて、湖ができて、観光という点では人を呼べる。治水や発電だけじゃなくてそういう利点もある。しかし、いい点だけではなく、やはり、ダムを建設すると、コスト的な問題もあるが、なにより、そこに住んでいる人々に問題が生じる。ずっとそこに住んでいたのに、立ち退いてもらうよう言われても困る。そういう住宅の支援とかは政府はするのだろうか。これがわからない。ずっと住んでいた家が村が沈んでしまう。悲しいね。家だけじゃない。川原湯温泉駅もそうだけど、複数の駅が場所を変えて、線路も違うルートに切り替わった。そのおかげで、日本一短いトンネルと名高かった樽沢トンネルの営業利用がなくなってしまった。ショック。そういう貴重なものが失われる(樽沢トンネルは沈んでいないので訪れることはできる。しかもアトラクション施設として利用されているようだ)のはつらい。しかたないね。人類は新しいものを手に入れて古いものを捨てていくのだから。なにかの利益の裏には損益もあるのだと思わないといけない。新幹線は速いけど、夜行列車がなくなって旅情が形を変えていく。高速道路は便利だけど、景観が失われていく。しかし、それによって新しい景色を見ることができる。寂しさの裏に喜びを感じ、喜びの裏に寂しさを感じながら旅をするのである。終点の1日5本しかない駅でも利用者がいるから走っているのだ。ありがたみを感じないといけない。廃止になってしまったら知らない景色に変わってしまうかもしれないのだから。ダムの底はもう見えないけど、今見える新しい湖を楽しんでいけたらいい。次の世代のためにも。昔、底に村があったことを、駅と温泉街があったことを伝えていくのが我々の現代を生きる人間の仕事なんじゃないかな。観光で訪れて、資料館とかで学ぶだけでもいい。変わりゆくものを忘れない。変わってしまうことを忘れない。旅人は今を見ているけど、それと同時に過去も未来も見ているのだ。観光なのだ。光を観ている。過去の栄光も未来への希望の光も。

 さて、話は変わって、橋。この不動大橋を見にきたのだ、が、時間がなくて全然見れなかったぜ。しかももっと橋全体を見れる角度があると思っていたらそんなものなかった。時間があれば場所変えて見て写真撮って興奮するのに。僕は川が好きだと思っていたけれど、橋が好きなんじゃないかと思う時があって、どっちも好きなんだけど、要するに橋もよい。

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 橋の全景はとかはググってくれという感じだ。橋は上からじゃなくて下からあるいは離れて見るものなのだ。橋の上に行っても、大きさやそこから見える景色はわかるけど、全体的な構造とかはわからない。
 そしてこの不動大橋は、構造が気になって行ったのだ。最初写真で見たとき、あ、これ、エクストラドーズド橋じゃね? と思って調べたら案の定エクストラドーズド橋だった。しかも、世界初の、鋼・コンクリート複合トラスのエクストラドーズド橋だという。なるほど。
 さっぱりわからん。と言いたいところだが、わかる。よくわかる。
 鋼・コンクリート複合トラスというのは、文字通り、鋼とコンクリート(PC:プレストレストコンクリート)を使ったトラス構造のことだ。上下の板にコンクリートを使って、その間を鋼でトラス構造を作っている。(参考

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 トラスというのは、三角の組み合わせで、鉄道の橋によく使われるあれだ。三角だから力を分散しやすい。耐震工事とかで、建物の外壁に斜めに柱を入れて強化しているあれと同じだ。
 PC:プレストレストコンクリートというのは、橋や枕木でよく使われるものだ。コンクリートは押す力(圧縮力)には強いが、引っ張る力(引張力)には弱く、すぐに壊れてしまうという特徴がある。道路や線路など、その上を車や列車が走る(①)と、上から加わった力は左右に流れていく(②)。この向きに力が働くとコンクリートは壊れやすい(③)。

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 その弱点を克服するために、鉄筋を入れて補強したのが鉄筋コンクリート(RC)。そして、PCは、プレストレストコンクリートで、プレストレス――つまり予め緊張を与えておくのだ。これは一般にピアノ線を入れるんだけど、それによって、内向きに力を加えておき、引張力を相殺あるいは弱めることができる。
 そして、この不動大橋は、トラスの上にPCがあってその上に道路があるわけだが、そこから見える柱から伸びているケーブルが、さらに、内側に力を発生させているのだ。それによってより壊れにくくしている。
 エクストラドーズド橋は一見、斜張橋と似ているが、斜張橋は上から引っ張り上げるのがメインなのに対し、エクストラドーズド橋は橋桁を丈夫にすることがメインなので、橋の種類としては斜張橋ではなく桁橋の一種に分類されるそうだ。あと、見た目的には斜張橋より塔を低くできる。経済的にも優れているようだ。
 橋は面白いなぁ。
 本当はもっと横から、トラスの構造とか塔の構造とか分かる写真が取りたかったけど、それはまた今度。

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 唯一この写真がある。もっと近くで見たいぞ。
 そして八ッ場ダムのところも見たいから、時間を見つけてまた来ようと思った。レンタカーがいいかな。駅前のキャンプ場でレンタサイクルだけはできるのかな、駅から徒歩でもいいけど。

 次は草津に向かった。

草津温泉

1200 川原湯温泉駅 → (吾妻線) →1205 長野原草津口駅
1210 長野原草津口駅→ (JRバス) →1235 草津温泉バスターミナル

 まず、ホテルに荷物を預けて、外に出た。とりあえず昼飯だ。

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 まいたけ天ざるそば(1650円) そばきち

 いつもそば食ってるね。
 舞茸がでかくてよかったです。
 そばを食べたあとは、少し歩く(いつも歩いてんじゃん)。西の河原まで。サイの河原というと、三途の川の前で不幸な子どもたちが石を積んでいるあそこすね。

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 これ全部お湯ですよ。まじかよ。すごい。湯の川。
 ちゃんと石も積んでいました。

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 それから戻ってきて少しブラブラして宿にチェックイン。ヒマだった。予想以上に時間が余ってしまった。こんなことなら、川原湯温泉の滞在時間を増やすべきだった。でもそうすると昼食にありつけない可能性もあってしかたなかった。それも旅。
 晩ごはん何食べようかなと調べても6時すぎないと、どこもあいていない。でも宿にいてもしかたないし、5時前ぐらいにとりあえず外に出た。

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 なぜ人はライトアップしたがるのか。

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 この木の枠は昔、江戸の将軍に湯を運ぶ際に使われたとか。
 そんな感じの草津だった。あんまり個人的には盛り上がらなかった。
 晩御飯は、そば屋で、上州もち豚もつ煮、上州ブタの鉄板味噌カツ、生ビール(スーパードライ)、日本酒(秘幻 純米吟醸)をいただいた。(2882円)

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 それから、違うお店で、ハイネケンを飲んだ。バッファローウイングなるものとともに。写真はない。(1089円)

 それからホテルに帰って温泉に入って寝ましたとさ。明日に備えて。

1日目のルート

 2日目に続く。

(初日は上州しか行ってないね。信州をめぐる冒険とはいったい……。)

もっと本が読みたい。