【暮しの養生手帳2021 9月23日 秋分】
二十四節気に合わせてその時にお伝えしたい「やすむ」「たべる」「うごく」の小さなコツをお伝えしていくマガジンです。
【二十四節気 秋分】
暑さ寒さも彼岸まで、は古くから言われてるし、
何回やっても9月は夏、はジェーン・スーさんの名言なわけですが、
今年の9月の残暑はここ数年と違う感じがありました。まずは雨が多かったし、確かに昼間の気温は上がるのだけど、朝夕が涼しいので「残暑きびしい」という感じとはちょっと違ったように思います。
急な朝晩の気温の低下で、冷えを訴える方がけっこうありました。20℃くらいはあるので「寒い」というほどでもないはずなのだけど、急にくると寒く感じるよね。
それに、一日のうちでの、もしくは数日のうちでの気温差が大きいので、体が混乱しています。
交感神経(緊張感のあるときに強く働く)(言い回しがむずかしい)が優位になると、末梢…体の端っこの方の血管がぎゅっと縮まって流れが悪くなるので、お仕事などで緊張、ストレスが高いと手先足先が冷たくなりやすいです。それに加えて、この気温差、特に急に肌寒くなったことでも体が緊張してしまって、ますます冷えを感じる、ということもあります。
あたためること[保温][加温]も大事ですが、[産熱]=動いて熱を作ること、そして動いて末梢の血流をよくすること、もこの時期からおすすめしていきたいです。
【やすむ】
眠れてますか?
うまく眠れない、眠りが浅い、という方、ここにきて増えてる感じです(当院調べ)。
気温も下がって、天気的にはよくなっているんだけど、やっぱりストレスが累積しているという印象。そして、運動不足。
新型コロナのあれやこれやが始まってから1年半くらいになりますが、ストレスの質が変わって、「こわい」よりも「いらだち」「人間関係のもやもや」になってきています。こわいよりもそっちの方が眠りにはよくない感じ。気が立ってしまうから。
そもそもいま日本で生きて働いていると、体を動かすのが足りてなくて、目と頭をすごく使ってる人の方が多いです。私のような体を使う仕事でさえ、それ以外の時間でこうしてパソコンを見たり、気晴らしに(そして害になるほど)スマートフォンを見たりしてしまうので、体の疲れが足りない感じがします。
新型コロナでイライラもやもやするのには「あまり情報を入れすぎない」以外にはあまりやれることがないので、運動する方からアプローチして、たっぷりぐっすり寝たいところ!気温差で疲れてますからね。
【たべる】
暦の上で秋になって、東洋医学系のコラムとか読むと、
「秋は乾燥の季節なので、肺を潤すものを食べましょう。梨とか」
という感じの記事が上がってきます。古典によるとそういうこと。
それはそれでよしとして、ほんとに今日、いま、乾燥してますか、っていうのと、今の自分は水気が足りないですか、余ってないですか、というのは、観察してみてください。
旬のものを食べておくとたいていは外さないですが、その前提として、日常の食事、今の自分の状態がが「ふつう」から大きくずれていない、というのがあります。日常で甘いものや炭水化物を多めに摂っていて、雨も多い台風も来てる、というタイミングで「旬だし、梨〜!栗〜!」とかやってしまうと、むくんだり、おなか調子悪くなったり、鼻水出たり、します!
【うごく】
眠るために動く、という観点からいくと、すごく激しい運動でなくてもいいこともあります。
緊張がほぐれて、頭と目にいっていたエネルギーが体の下の方や、手先足先のはしっこの方まで流れたら、眠りやすくなります。
そのために勧めたい運動としては、「振り回す系」(ラジオ体操もここに入れられます)、「呼吸を深くする系」(特に吐くための時間がしっかり取れるゆっくりしたもの)、「その他巡らせる系」(散歩、スキップ、ダンスなど)。
秋冬に向かっては汗をだくだくにかいてやるものをこれから始めるのはおすすめしませんが(これまでにやっている人は続けたらいいけど保温しっかり!)、上記のものは日常にどうにかして紛れ込ませて、体の中のあれこれを巡らせたり、体の中心の熱をすみずみに届けるということをやっておくと、ストレスや緊張が強い人は眠りやすくなるし、これから冷える季節に向かっても準備になります。
え〜っと、何しようかな…
って考えて今日は見つからないしきっと明日も見つからないから「何もやらない」ではなくて、見つからない人はラジオ体操やってください。
あとはなかやまきんに君か、まりなさんか、あといっぱいあるのでB-lifeさんとかどうでしょう。3分でもいいので、生活に滑り込ませる、もしくはねじこむのが大事です。
【ゆにさんの養生手帖】
私はだいぶ元気になってきました。
鍼灸院の仕事を楽しく全部やって、その他の朝や夕方にも楽しい気分でいろんな新しいことを考えたり、実際に手を付けてやってみたり、できています。
厳しい天気(しかも私が苦手な湿気とアレルギー系)の間、しぶとく休む、よく噛んで食べる、なんとしても動く、をじわじわやってきたのが効いてきたことと、もう一つは自分がストレスを感じているということに気づいたことが勝因です。
私は暮らし系と呼ばれるジャンルの本や雑誌が好きで読みまくってきているし、昔から家庭科全般が好きで、「家」が好きなのです。
だけどこの1年、店の町家は別のグループとシェアになり(1階にボランティアグループが入ってます)、住まいは両親と同居になっていて、「自分の部屋」がなくなっていたのです。「私と息子の部屋」と「私の職場」はあったけど。
自分で家賃払って好きに過ごせる家、が大好きなのに、それを失っていたこと、が、自分にストレスを与えていたんだなあ、ということに気づいて、店の一室を整えて「自分の部屋」を作りました。
そのことでずいぶん、気持ちがスッキリして、ほんとうに「なんかしんどい」が減りました。ストレス、やはり侮れない…わかってたけど体感すると違いますね。
ストレスに気づくのが遅くなったのは、「いい面もとても多くあった」からです。
2歳半から3歳半のややこしい、そして有り余るパワーのある息子を、彼の祖母である母と一緒に家事、お世話を分担しながら仕事をできたことは本当に助けになったし(子の父ちゃんとは別居なのです。仲良しだけど)、店も家もシェアにしてもらったことで経済的に余裕も生まれました。両親と同居して、自分のことだけ考えていた人生の帳尻を合わせている感じもあったし。
けどやっぱり、「いい面がある」というのと「しんどい面がある」というのは別に考えないとならないし、できたらいい面をそのままに、しんどい面を少しずつ変化させていきたい。
そういうことも、もちろん、深い意味で「養生」。
その変化を作るアクションを起こすためにも、寝て、食べて、動いて。
いつも今の自分をよく見て、動き続けたいです。
この1年で気づくと息子もずいぶん話が通じるようになりました。1年間毎朝毎朝同じメニューで作り続けた朝食も、ほとんど寝ててもできるようになりました。
京都で、2018年生まれの怪力男児を育てつつ鍼灸院をやっている私、の日記。