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ライブ会場に送る資料について

ライブをするにあたって、会場側からバンドに関する資料を求められると思うのですが、今回はその資料に関するお話、特に音響目線からのお話です。

何回か出演を重ねてホームになりつつある会場に毎回資料を送る必要はないですが、初めての会場にお世話になる場合は、どんな曲をどんな編成でどんな配置で演奏しているのかを知ってもらうために、資料は事前に送った方がいいと思います。
何も資料送らずに当日リハーサルの直前に「こんな感じでこうして、あとコレを使いたいんですけど…」と伝えた場合でもきちんと対応はして下さると思いますが、予め準備が必要なものなのに用意されていなければそこから準備が始まり、対バンのリハーサルがいくつか終わっていた場合は、下手をするとその前後の段取りそのものに影響を及ぼし、転換に時間がかかり、結果自分達のリハーサル時間なんなら場合によっては本番の時間すら削られていく可能性もあります。
ちょっと大袈裟に感じるかも知れませんが、コレ一つで30分時間が押したりすることも全然ありますので、当日スムーズに気持ちよくライブをするためにも資料の作成を強くオススメします。
またホームであっても編成や立ち位置が変わった時や、今までになかった機材を追加導入する場合等は、やはり新しい資料を送っておきましょう。

音響周りの資料でいえば、まずはステージに関する資料です。自分のバンドが何人編成で、どんな立ち位置で、どの機材を持ち込むかがわかるもの、所謂ステージセット図ですね。
詳しければ詳しいほどいいですが、たまに細かく色々描いてあるのに欲しい情報があまりない図面が届く事があります(笑)。
では何を記載するべきか…要するに何を準備して、何を片付けておけばいいかが分かるものが望ましいです。持ち込む機材、そして会場にお借りしたい機材、そしてそれをステージのどこに置いて使いたいのか分かりやすく記入してください。主にギターベースのアンプ関係とドラム周りです。つまりステージセットの置物系ですね。(逆にサオ(ギター・ベース本体)の種類やペダルボードの内訳等は記載なくても特に問題ないです)
アンプでいえばヘッドだけ持ち込むのか、それともキャビネットも持ち込むのか。ドラムでいえばスネア・バスドラ以外に使うタムの数や特殊な持ち込みがあるかないか。次の項目でも詳しく触れますが、同期音源やイヤーモニター、他に使ってるバンドがいないような特殊な楽器・機材がある場合は特に明記しておきましょう
ボーカルマイク等自前のマイクを持ち込む場合は、持ち込むマイクのメーカーや型番等の詳細も書いてあるとPAさん的には非常に助かると思います。ボーカルマイク繋がりだとボーカルエフェクターを持ち込む場合も忘れずに記しておきましょう。ボーカルエフェクターは設定次第でかなり音が変わる上に、PAに直接影響するので、マイクの持ち込みありなし関わらず記載しておきましょう。
あとマイクや楽器のワイヤレスものですが、電波的な問題でモノによっては使えない会場もありますのでこれも事前に相談が必要です。記載漏れのないようにしましょう。

ステージセットの他にPAさんが知りたいのは回線数です。
回線とは、PAさんがバンドの音をどうやって集音してミックスするかを考え、ミキサーのチャンネルを割り振りしてプランニングしたチャンネル数やその詳細の事で、バンドのセットに関することではありますが基本的にはPAさんの管轄です。
その日の全出演バンドのセット図を見ながら、スムーズに進行できるよう回線を考えマイクを準備したりケーブル這わせたりするわけです。
(専属のPAさんが付いて周るバンドにはPAさんから回線表というものが予め届くので一目瞭然なのですが、回線表はバンドが自分達で用意するモノでもないので、特にこだわりのない場合はPAさんにお任せでOKです)
ただ持ち込む機材によっては思いっきりこの回線に影響するものがあって、それが先程記したドラム周りのタム類の数、そして同期音源であり、イヤモニであり、中々他に使ってる人が居ない楽器類です。要するに楽器が増えればその分集音するものも増え、使うチャンネルも増えるということです。
昨今ドラムに関しては大体1タム1フロア2タム1フロアの2パターンが主流ですが、稀に3タムの人やロートタム、キャノンタムの追加があったり、曲によってサブスネアを使うなんてことも見受けられますので、忘れずに記載しておきましょう。
あとよくあるのは、同期音源やイヤーモニターを使うアーティストの場合で、モノラルで使用するのかステレオで使用するのか、またはマルチアウトでそれ以上に複数回線が必要なのか、この辺がPAさんにとって非常に重要なポイントなんですが、以外と明記されていないことが多いです。
キーボード、ドラムパッド、最近増えてきたギターをアンプシミュレーターからラインで出力する場合等も同様です。モノラルで大丈夫ならモノラル、ステレオで出したい場合はステレオ、特にこだわらないならお任せでと必ず明記しましょう。
あとアンプに2本マイクを立てて欲しいとか、こだわりのPA要望があるならそれもセット図に記載しておくといいでしょう。

あるあるな話ですが、たまにリハの直前に突然
「あ!そうだ今日コレ使いたいんですけど!ま、でも1曲だけなんで!お願いします!」
みたいな事を言ってくる人もいますが、1曲だろうが全曲だろうが使うのならその分の回線は準備が必要なのでそれは免罪符にはなりません(笑)。忘れずに記しておきましょう。
あるあるついでにもう一つ、セット図にはイヤモニの持ち込みが書いてないのに当日持っていらっしゃって、慌てて準備しながら資料見返したら別紙のモニター要望書の端っこに
※イヤモニ使用します
…と一言書いてあったりすることがあります(笑)。見落としてたのは自分ですし、もうこれはただの愚痴になってしまいますが、できたらセット図に記載してあげてください(笑)。

そして、照明オペレーターさんにとってはとても重要な資料ですが、PA的にもあると嬉しいのが当日のセットリスト(曲目表)と音源資料です。
いただいた音源と当日のライブの音が同じ音になるわけではありませんが、実際どんな曲を演奏する人達なのか知っていた方が当日のミックスに対するイメージが湧きます。たとえちゃんとしたレコーディングをした音源じゃなくても、どんな曲かわかる内容ならそれでも大丈夫かと自分は思います。
あと「3曲目のAメロのボーカルにディレイ」とか、部分的な決めエフェクトのご要望がある場合はやはり事前に資料をいただけてた方が準備も出来るので非常に助かります。

そして資料を送るタイミングですが、早い分には問題ないかと思いますが、遅い場合、例えば前日の夜中や当日の朝送ったところで図面類やリスト類はまだしも、音資料は時間を作ってもらえずに聴いてもらえないかも知れません。
演者側も会場側もお互いとても忙しい日々を過ごしてるとは思いますが、余裕を持って送っていただけると自分はとても助かります。

とまあ色々書いてきましたが、たとえ事前に資料を送ってあっても会場の都合でどうにもならず、要望が通らない場合もあります。その辺も含めて会場と事前に相談できるように資料を送っておきましょう。

また何か思いついたら追加で記載しますが、ひとまずこの辺で、ではまた!

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