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学生時代に学生起業家にカモられそうになった話、または広告と詐欺について

ネットの副業広告で少し気になるのがあったんだけど、調べてみたらどうも怪しげな口コミがある。

そうして一度怪しく思うと色々と怪しく見えてくる。

ウェブサイトはあったんだけど、それも怪しい。他の口コミも見てみると、どうやら副業のネット広告には詐欺だとかそんなんが結構多いらしい。

そういえば、学生時代に詐欺られそうになった経験があったな、と思い出した。

学生起業家の男たち

学生時代、学生団体なんかを立ち上げて他大の学生と知り合いまくってキャンパスライフを満喫していた。

そんな頃に知り合った学生起業家Aが、知り合って間もなく、ある人を紹介したい、と連絡してきた。

なんで紹介するのか、とかその目的もよく聞かないまま紹介された男Bと連絡を取り合って、二人で居酒屋に飲みに行った。

Bはヒョロっとしていて長い前髪をダラっと垂らしていて、少し老けた感じの男だった。

居酒屋では互いに何者なのかを延々と話した。

Bも学生起業家で、数人の従業員を抱える会社の社長だとのこと。これまで交換してきた名刺を見せてきて、これが僕の誇りですね、とか言っていた。

それで、新宿のタワマンに住んでるとか、将来は孫正義のようにお金を使って社会貢献をする社長になりたいとか、云々。

そもそも、社会貢献するために金儲けしたいって、「?」って感じだったけど。

居酒屋を出るときにおごりますよと言われたんだけど、出してもらう理由もなかったので、割り勘にしてもらった。

そしたら偉いですね、とか言われたけど、この感じはさすが学生社長様だな。

タワマンの男たち

それからまた数日後、Bからまた会おうといわれ、カフェで会った。

そこで話をしていたら、ある面白い人がいるといわれた。その人は、為替で儲ける方法を学ぶ場所を提供している?だかなんだかの人らしくて、その方法を自分も学んだとかなんとか、へぇ~とか特に何も思わずに話を聞いていた。

そしたらBが今からその人に会いに行こうか、とか言うもんで、こういうの流行っているのかとか疑問に思いつつ、面白い人なら話聞いてみるかと思い、結局ついていった。

当時は人とのつながりこそすべてと思っていて、面白い人がいるなら会って話を聞きたい、と安直に考えていた。

それでついていったんだけど、そこで連れていかれたのはタワマンの一室で、中に入るとすぐの部屋で何やらそこで学んでいるらしき男と、そいつにレクチャーするらしき男が二人で話をしている。

奥の一室に案内されると男Cがいた。

Cと名刺交換した。そのときは子どもと遊ぶ活動を企画する学生中心の団体の名刺を渡したら、ボランティアですか、偉いですねとか言われた。

それで、こちらから少し自己紹介をしたような気もするけど、その後は主にCが話していた。

話を聞いていると、どうやらおれをこの起業塾のようなところに入会させたいらしいことが分かってきた。

しかもその入会費などが諸々込みで40万円だという。

驚いたことに、ここで踏ん切りがつかない奴は負け犬だ、みたいに言ってくる。こちらを煽っている。

さすがにこちらも煽られて顔が熱くなった。

そんな金はないといい返すと、学生ローンを借りればいいとか言い始める。

いやいや、明らかに詐欺やん、と思ったけど、まだここで踏み出せないならあなたもダメですね、みたいにいう。

そもそも、おれはCという人間について知りに来たんだがな、とも思ったけど、まあとりあえずその場ではうまく煽られていたんだと思う。

隣に座っていたBはそれまで黙っていたものの、突然、「そしたら学生ローン組み行こうか」と言ってきた。

うわーこいつもグルなのかよ!とか思って、とりあえず熱くなったのも冷め切らないままに一通りの誘いを断って部屋を出た。

Bも一緒に出た。帰り際にエレベーターの中でBが言うには、僕も怪しいと思ったんですけどね、悔しくて学生ローン借りましたよ、とか言っていた。

その日はそれで終わったんだけど、後日またBから人を紹介したいとメールが来た。

さすがに変だなと思い、その人がどんな人なのか、勧誘の類の人ではないか、と聞いたところ、Bの態度が一変して、あなたみたいな人は社会に出ても何もできない、とかいろいろと罵倒されるメールが来て、やりとりは終わった。

罵倒メールは人を傷つける目的で書かれているような内容で、非常にショックを受けたけど、今思い返して調べてみるとあれはかなり典型的な投資詐欺で、学生にローンを組ませるのもその手口らしい。

執拗に煽られたにもかかわらず騙されなかった自分が、今となっては誇らしく思える。

広告の欺瞞

Bは今では社員数十人を抱える会社の社長になっているらしい。名前を調べるとあの前髪がダラっとなったままのヒョロっとした男の写真が出てきた。

一つの組織のトップが、以前は詐欺行為に加担しようとしていた、ということには割と金儲けの象徴的な一面が見て取れる気がする。

というのは、そもそも広告みたいなものが特にそうだけど、商売にはだましの要素が潜んでいる。

まあこれあんま批判してもしょうがないとも思うけど、たとえば広告についていえば「あなた、これほしいですよね」って感覚を植え付けるところがある。

つまり、本当は必要もないのに、必要なんですってね。それはひとつのだましのロジックで、そうやってニーズのないところにニーズを生むというのは資本主義に極めてありふれているし、それをうまい使いこなして会社のトップになる人もいるんだろうな。

つまるところ、詐欺は広告的に始まるということで、その決定的な違いは詐欺の場合はその支払われた金に対応するものを提供しないということ。

しかし、そもそも支払われた金額に見合った商品って存在するんだろうか。

翻って考えれば、広告に対して消費者はそもそも警戒しなくちゃいけないし、特にインスタとかグーグルとかに出てくる広告って、テレビ広告よりも当然かなり安価に出せるだろうから怪しい。

広告ってそれ自体はコンテンツが楽しめるものもあるけど、そういう楽しみが無料で提供されるってところにはやはり不気味さがある。

単なる資本主義批判になって終わりそうやな。まあそういうことだけど。とにかく学生ローンを迫る学生起業家には警戒した方がいい。