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ある少女の、記憶。

橙色に照らされた眩しい店内には、スイミングスクールにあるロッカーよりもずっと小さな部屋が沢山並んでいました。一つ一つに名前が書かれていましたが、何が書いてあるのかはわかりませんでした。
お父さんもお母さんも、小さなコップを持っています。私の手に丁度いいくらいの大きさで、お父さんには小さすぎるほどです。
お母さんが金色のお金を入れて、ボタンを押すと小さな部屋の上から水が出てきてコップに入りました。お父さんもお母さんも、別々のロッカーにお金を入れて、そこから出てくるお水を美味しそうに飲みました。
私もボタンを押したかったけれど、お父さんに抱かれていて手が届きませんでした。
お父さんの喉は、いつもよりも忙しそうに動きました。
上へ、下へ繰り返し動く丸い喉仏を見ていると、我慢できなくなって、そっと触ると、お父さんは恥ずかしそうに私を覗き込んで笑いました。

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新潟 ぽんしゅ館
“喉鼓”

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