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四季のふくらみ

あなたを静かに抱き寄せると、
少し斜めにあなたの体が近づいて、
最初に右の乳房が私の胸に当たる。

私の固い胸板に
その柔らかい膨らみが当たってつぶされて、
私はその感触に、
春の日だまりに包まれ咲く花を思わせる。

そしてあなたの背中に手を回し、
ぐいっとこちらに引き寄せると、
今度は左の乳房も私の胸に当たり、
私はその感触に、
夏の青空の下を気持ちよく飛ぶ鳥の気持ちになる。

しっかりと抱き合って、
あなたの二つの乳房が私の胸板につぶされ、
あなたの両腕が私の首元に絡み付くと、
今度はあなたの背中に回した両腕を、
下に降ろして行く。

右の掌が先にあなたの左の尻に触れてみると、
私はその感触に、
秋の涼やかな風に吹かれているような心地よさになる。

そして左の掌もあなたの右の尻を握り、
両方の掌であなたの尻を持ち上げれば、
私はその感触に、
冬の空に美しく輝く満月のように心が照らされる。


裸で抱き合うだけで二人の間には、
春夏秋冬の情緒が順番にめぐって行って、
花鳥風月の風情が艶やかに漂ってくる。

裸で抱き合う男と女こそ、
もっとも自然に近い姿だから、
四季の風情も、花鳥風月の風情も、
とっても良く似合うのだろう。

二つの乳房と二つの尻の膨らみは、
私を、雅びで淫らな詩人に変えてくれる。

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