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一線を超えた関係

男と女が初めて体を許し合うことを、
一線を越えるという。

男に口説かれ自らの体を男に許すどうかを逡巡し、
その一線の手前で立ち止まる女。

その時のその線は、
糸のように細く切れそうなのか、
荒縄のように太く容易には切れないのか。

ほんの少し足をあげるだけで超えられるのか、
高飛びの棒のように目よりも高く立ちふさがっているのか。

女の心理でその線はいかようにでも変り、
越えようとしたのに、
吊るされた線の上に乗り、
綱渡りのようにゆらゆらとしてしまうこともあるだろう。

どちらに落ちるか自分でもわからないままに。

しかし、その線を乗り越えてしまったら、
その線は違う役割を担って、
男と女のためになる。

乗り越えた後の線は、
蛇のようにうねうねと動きだし、
男と女が裸になって体を重ねたときから、
見えない細い糸になって、
二人の体を縛り付ける。

そして情事を終えて、
晴れて二人肉体関係になった時、
その糸はたくましい頑丈な縄となり、
二人の心をしっかりと結んで
離れられないようにしてくれる。

一線を越えた男と女は、
その超えた糸が二人を繋ぐ絆となる。

だから切れないように、ほどけないように、
初めて一線を越えたときの悦びを、
お互いに忘れないでいよう。

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