嘘でもいいから?
どんなに狂おしく淫らに愛しても、
どんなに激しく抱いてあげても、
どんなに乱れさせて、汗まみれにさせても、
ことが終わり、
余韻のひとときの時間が流れて、
再び服を着て帰り仕度を始めれば、
それまでの姿がまるで嘘のように、
あなたはみるみるうちに元の姿に戻っていく。
すべて準備が整い、私の前に立つあなたは、
私が乱暴に剥ぎ取った服も、
乱れに乱れた髪の毛も、
満開の桜のように紅潮した肌も、
まるで嘘のように、綺麗に整えられ、
私に見せる笑顔も、いつもの笑顔に戻っている。
ほんの少し前の情交がまるで嘘のように。
しかし、その中身は嘘ではない。
見た目は私があなたを抱く前の姿に戻ったとはいえ、
私はその服の下の真実の裸体を知り、
淫らな真実の内面も知り、
そして、あなたの心と体に
私のしるしをたくさん残している。
その証拠に
あなたが私を見る目は
先ほどまでのベッドの中と同じで、
その目がまた私に会いたい、
私に抱かれたいと言っている。
今宵、あなたは
一人横になる布団の中で、思うだろう。
嘘でもいいから、
私のところに来て、私を抱いてと。
ほら、また嘘をつく。
本当は本当に来てほしいと思うはず。
恋に落ちた男と女の間では、
嘘と真実の境界が、
曖昧になること。
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