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気血水(津液)の話③

「気」って何?


「気」が付く言葉をどれくらい思いつきますか?
気力、やる気、勇気、根気、本気、弱気、陽気など・・たくさんありますが、どれも気持ちから湧き上がる行動のようなイメージがあります。
身体の活力になる存在が「気」と捉えると分かりやすいです。
「血」は身体にとって重要な栄養や酸素です。
血が体内をうまく循環できない状態を瘀血と表しますが、循環できない原因の一つに「気」が少なくて血を押し出したり循環する力が足りないのです。
つまり血を巡らせる力が「気」です。気が足りていない状態を「気虚」といいます。ということは気虚は瘀血の原因になります。
また、気が充分にあっても身体のどこかで滞ってしまうことを「気滞」といいます。

気の働きは5つ
「推動作用」「温煦作用」「防御作用」「気化作用」「固摂作用」

推動作用は、押し出す、前に進める意味があります。
血液循環や新陳代謝などを促進する働きです。気が少ないと血を動かすことが出来なくなり瘀血になります。

温煦作用は、身体を温める働きです。
気がしっかり足りていれば体温は正常です。温煦作用の低下は単なる手足の冷えだけでなく、胃腸の冷えは消化不良や下痢、女性であれば生理痛や生理不順などの原因にもなります。

防御作用は、免疫力そのものです。
身体に悪いことをもたらすものを「邪」と呼び、外から入ってくる邪を「外邪」と呼びます。外邪はいわゆる感染症です。外部からウィルスなどの邪が入らないように身体を守る働きです。カゼをひきやすい、皮膚が弱いなどの症状は防御作用が弱っています。

気化作用は、代謝です。
血・水の生成や代謝、尿や汗などの生成や代謝などのコントロールをします。尿が出ない、汗が出ないなどは気化作用が弱くなっています。

固摂作用は、血や汗や尿などが必要以上に漏れないようにすることです。
また内臓の位置を保ちます。胃下垂や頻尿などは固摂作用が弱くなっています。

気虚とは

五つの働きのいくつかが弱くなっている状態が気虚です。
気は食べたものからできます。当然ながら、食欲不振や消化不良では気は足りません。胃腸の働きがしっかりしている方が気は満ちます。
胃腸の弱い人はかぜを引きやすく、疲れやすかったりしますが
気の防御作用や温煦作用が低下しています。
過労で疲労困憊している状態は一時的な気虚、闘病中や病後も気虚、
老化による体力不足や筋力低下や頻尿や冷えなども気虚です。
老化は、食欲や食べる量は若いころに比べると低下し、冷えやすく、様々な臓器の働きが低下するのは仕方のないことで、気虚になります。
しかし気虚の仕組みを理解し生活の工夫をすることで、老化は遅らせることができます。
過労の場合の一時的な気虚は休息することで良くなるので早めに休みます。

気滞とは

気は足りているのですが、正常な働きが滞っている状態です。
喉のつかえ感、胸部や腹部の膨満感、頭痛、めまいなど身体の様々な部位で
気の運行障害が起こり、張った痛みや刺すような痛みなど痛みも様々です。
現代社会ではストレスが主な原因です。
内傷七情といって「怒・喜・思・悲・憂・驚・恐」という感情の行き過ぎが原因になることもあります。
六淫と呼ばれる6つの病気の原因である「風邪・暑邪・熱邪・湿邪・燥邪・寒邪」も気滞を生みます。
「肝」は気滞になりやすい臓です。ストレスは気滞を生みやすいので肝を労わるためにはストレスは要注意です。

気陥とは

さらに気虚が進行して、内臓下垂と気分の落ち込みがあります。
固摂作用が落ち込んだ症状です。

気逆とは

気滞が更に進行して気の流れが下降すべき部位が逆行します。
しゃっくり、げっぷ、頭痛、咳など上部に症状が表れます。
気滞が長期間に及ぶと「気は陽」なので上部に滞りやすくなります(気逆)。「肝」の気滞が長引くと熱を生じて不眠(目がさえて眠れない)、
強い頭痛やイライラ怒りっぽいなどの症状があります。

気のトラブルは血と水のトラブルの原因にもなります

気のトラブルを放置していると血や水のトラブルにもつながります。
「気虚血虚」「気滞瘀血」など、1つの証でなくなることがあります。
どんな病気も早期発見、早期治療と言うように、ちょっとした不調のうちに
気血水弁証を使って食事や生活の見直しに役立ててみてください。






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