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モンスターペイシェントの甘え

「モンスターペイシェント」という言葉を聞いたことがありますか?
病院で暴れる患者のことです。
実際暴力を振るえば、警察が入るのですが、言葉の暴力の場合は、警察が介入することはありません。
私が働く病院にも、ブラックリストに載ったモンスターペイシェントが何人かいます。

モンスターペイシェントには、非常に神経を使います。
モンスターペイシェントが受診する日は、朝から憂鬱です。
彼ら彼女らの存在は、我々の診療のやる気を削いでしまいます。
「医者という仕事が嫌だなぁ」という気にさせられるのです。

この本に、こんな一節がありました。

日本では企業、他人に対する依存心や過度な期待感が、知らず知らずのうちに社会の中で過剰なサービスを増やし、労働者の負担を重くしているのではないだろうか。過度な期待感は、「自分がお金を払うのだから、客として手厚いサービスを受けて当然だ」という甘えでもある。
日本で店員さんの丁寧なサービスを見ていると、こういう期待感を持つ客を怒らせたくないという恐れが感じられる。

ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか より引用

私は、病院の患者と医者の関係を想像してしまいました。

モンスターペイシェントは、過剰サービスを期待しているのだと思います。
そして、自分の期待通りの結果が得られないのは、医者のせいだという甘えた考えを持っているでしょう。

ここには、患者が上、医療者が下、という目に見えない構造があります。


日本人のおもてなしの精神は、世界に誇れるものですが、
「お金さえ払えば、満足のいくサービスを受けられて当たり前」という甘えた考えは改めなくてはならないと思います。
ドイツのように、サービス精神が低いのも寂しいですが、行き過ぎたサービスが、労働者を疲れさせていることも事実です。


患者も医療者も、まずはフラットな関係になってはじめて、良好な関係になれるのだと思います。

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