変な夢ばっかみる。



青天というには雲が多くて、
もくもくとひとりを貪っている。

鴉が勝手に啼いていて、
私はただやかましいなと目を伏せる。
勝手なことを言うな。全く。

鳥居の上に座ってみれば、
狛犬がわんと啼く。
ああ、ごめんごめん。
確かにここは私のテリトリーじゃあなかったね。
ところで何故私は稲荷に会ったことがないのか。
嫌われているのか。全く。

さて、私の周囲には、
やかましい鴉と
可愛らしい狛犬と
羨めしい人間しかいなかった。

いや、そんなことはないか。
いや、覚えているのはそれだけ。

何も覚えていないと言ったら怒られるだろうか。
しかし覚えていないものは仕方がない。
ただ、風鈴がちりんと啼いて、
風が涼やかに気持ちが良くて、
誰の家とも知れない畳に寝転んで、
転寝をしていたような。

瞼越しに視界が暗んで、
なんだと薄っすら目を開く。
青色の瞳で。

『いつまで寝てんだお前』

やかましい。
やることもないのだから勝手にさせろ。
どっか行け。私はお前が嫌いだ。
だから、名前は呼ぶな。

『おい、碧』






ふと目を覚まし、
ふと目を覚ました時ってなんだか妙に焦るから、
勢いよく時計を見たら日曜日で、
ああ、なんだ。よかった。
と思うと共に、
日曜日を無駄にしてしまった後悔に苛まれる。
全くもう。充実した休日は何処へ。

ふと、なんだか少しイラっとした。
なんだかイラっとした気がした。
厄介だ。
素敵な休日なるものを見せてみろ。
全くもう、私が一体何をしたというのだ。
責任者に問いただす必要がある。責任者はどこか。



なんだか馬鹿馬鹿しくなってきて、
もう一度寝転んだ。
しかし私は立ち上がってもいない。
視界に映る晴れの空は
なんともまあ青天とは言い難い、
生クリームのような青空であった。

「私はもっと青い方が好きだ」

とひとり呟く。ひとりでに呟く。

さてはて私は、今日もひとりである。

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