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あとどれくらい

いきなりですが。
人は、いつかその命を終える。
命の長さは最初から決まっているとも、途中でどうとでもなるとも言われ。
それでも、終えてしまえば、それは不可逆。
指折り数えても、絶対に元に戻ってはくれない。

仲間の訃報に触れました。
とても面白いその人は、どうしても手の届かないところに旅立ってしまった。

親子ほど年の離れた仲間でした。
実際に、彼の娘さんは私と同い年。
それもあり、とても可愛がってもらいました。
酔っ払うとただの酔いどれ親父。
それでも若くして資格を取り、自分でしっかり稼ぎ口を作って、
地域への貢献もし続け、さらに本も出し。
そして戯曲を学ぶ場に自ら赴き、皆で机を並べて頭を巡らせ。
緻密な取材と筆力で、ものすごく綿密で壮大な物語を書き上げる、
仲間内でも有数の才能の持ち主でした。

豪快で、それでも繊細で。
そして本当に面白い親父さんでした。
こんなことを書く日が来るなんて信じられない。
まだ最後の著書、読めてなくてごめんなさい。
感想、送れないままになってしまった。

いくつになっても好奇心を忘れず、探究心を持ち続ける、
そんな生き方にちょっと憧れて。
これからまだまだ、当たり前に交流が続くと思ってた。

私は、あとどれくらい生きられるんだろう。
もう終わりは決まっているのかもしれないけれど。
それならばなおさら、きちんと生きていかないと。
向こうで会った時に、恥ずかしくないように。

あとどれくらい、そんなことを意識しないまま生きられればいいのに。
あとどれくらい、それを考えていたと思うと胸が詰まるけど。
今は少しだけ、ゆっくり休んで。
そしてまたその先でも、尽きないその興味を突き詰めて、
楽しくその才能を爆発させて欲しい、なんて。

いつも残される方は突然で、焼き直しのような月並みの言葉ばかり並べて、
本当に無力で、滑稽なほどだけれど。

関わった人たちの心に、温かいものを残して行く人。
そんな人と出会えて、本当に良かった。
同じ時代に生きて、人生が交差して、確かに受け取った温かいもの。
忘れずにいます。
ありがとう。ありがとうございました。
安らかに。

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