本当の姿はどれ?
今回は失業率と数字の使い方の話。
どこかに寄稿する際は、原稿を一度JICAエチオピア事務所に提出してチェックしてもらう必要がある。
先日私も、県の会報誌向けに自分の仕事内容を原稿にまとめてチェックしてもらった。
1箇所訂正依頼があったのは、こんな部分。
(仕事が足りないことが問題、という説明)
…長らく国勢調査がされていないので正確さは疑問ですが、地元の英字紙には人口約1億人に対し失業者数は約1,100万人だと書かれていました。
これ、パッと見たら失業率10%くらいかなって見える。
実際は?
世界銀行基準で1.81% (2018)
ILO基準で5.2% (2017)
Tradingeconomicsというところでは19.1% (2018)
これもパッと見だとなにを信じたらいいのって気分になる。
もちろん世銀とILOは「基準」という言葉を使ったように、失業率の出し方が違う。
世銀の失業率は、労働人口のなかで労働できる状態にあり且つ仕事を探している人の割合
ILOの失業率は労働人口のなかで働いていない人の割合
Tradingeconomicsは独自ソースらしいが定義が分からん。
話を冒頭の私が提出した原稿に戻す。あれは何が問題だったかというと、労働人口が明記されていないこと。
まずはエチオピアの人口ピラミッドをご覧下さい。サムネイルだけでも十分です↓
19歳以下が人口の半分。
それなのに失業を語るときに単純に人口と失業者数を比べたらダメだよね、ということ。
分野が違うとはいえ、論文用にリサーチしてたのにこのカラクリに気付かない自分ダメだろう…と反省。
新聞側は、むしろこの勘違いを誘うためにああいう書き方をしてるかもしれない。
数字は使い方次第で説得力も出せるしミスリードも出来るから、怖い。本当に気を付けたい。
原稿はILO基準で書き直した。なお参考までに、同基準で日本の失業率は2.8%です(2017)。
しかし、世銀とILOはどうやってこの失業率調べてるんだろう。
元の原稿にも入れてるんだけど、エチオピアは2007年から国勢調査をしていない。
元々は10年毎で、2017年にやる予定だったのだけど、「国勢調査用の電子機器が揃ってない」から延期されて、今年の4月にやる予定だったのも理由忘れたけど延期されて、今に至る。
配属先が「都市雇用促進事務所」の私。市の失業者数はどうやって把握してるの?と聞いたら、毎年全戸訪問して確認しているとのこと。
もうすぐその調査の時期ということで、実際に調査に行く地域オフィスの人たちに同行させて、とお願いしている。
調査の様子も追って書きたい。
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