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なんで私はイギリスで日本語の銀河英雄伝説を観ているんだ。

イギリスに行く前から、日本のアニメや漫画が海外でも人気だという話は聞いていた。私は「ハマると(私が)面倒くさいことになる」と、あまり観たり読んだりしないほう。どう面倒くさいかというと、スラムダンクでは練習試合で号泣して翌日の自分の活動に支障が出るし、「最低限これは読んでおくか」と手を出したONE PIECEにまんまとハマって当時出ていた分のコミック全巻を大人買いしたりする。付き合いきれん。

そんなわけで、有名作品もほぼ読まないままイギリスにいった私は、そこで私より圧倒的に日本の漫画とアニメに詳しい友人たちに出会う。
その最たる人物が、キプロス出身のY氏。


Y氏は、私が滞在していた寮で同じ階のキッチンを共有するフラットメイト。同じ大学院で映画を専攻していた。あれはたしか初対面の時だったと思うが、初っ端から、私がちゃんと読んだ数少ない少女漫画「桜蘭高校ホスト部」の話で盛り上がった。ちなみに同時に仲良くなった、ドイツから来た別のフラットメイトも知っていた。ホスト部すごい。

それから2週間くらい経った週末の夜。私の部屋がノックされ、Y氏から「今からアニメ見るんだけど、一緒にどう?」と誘われた。寮にテレビないけど?と思いつつ面白そうだったのでついていったら、Y氏の部屋にSONYの46インチテレビがあった。持ち込んだのか。さすが映画専攻。

大学割引あるからピザ頼もうぜ、とピザやナゲットを準備して、気分が盛り上がってきたそこで再生されたのが、銀河英雄伝説(銀英伝)の日本語音声英語字幕。初めて見る画に時代を感じつつ、「なんで私はイギリスに来て日本語で日本のアニメを観てるんだ」と笑ってしまいそうにもなった。
なお初見の私には内容が難しかった。日本語なのに。


これ以降、私とY氏は主にキッチンで顔を合わせる度にアニメの話をするようになる。いや、Y氏が私に「今なんのアニメを観てるのか」を語るのを聞くようになる、の方が正確かもしれない。知らないアニメが多かったなか印象深かったのは、「ゲ、ゲ、ゲ~ってやつ」と言われて、それなら分かるわ鬼太郎ね私も観てたわ、と答えたら、最初期の白黒バージョンだった。あとから調べたら1968年放送なんで、私、産まれてもいなかった。なんでそんなの持ってるの。

Y氏の守備範囲はゲームにも及ぶらしく、当時日本人の同世代友人に聞いても誰一人として知らなかった『せがた三四郎』を知っていた。…ゲームソフトを知っているなら分かるが、なんで日本放映のセガサターンCMキャラクターまで知ってるんだ?

ある時は「Fullmetal Alchemistの邦題はなに?」と聞かれたので『鋼の錬金術師』を教えたところ、ものすごく発音しにくかったらしく、その後しばらく会うたびに「ハガネノレンキンジュツシ」と練習していた。言えるようになったころ、次はこれだろと思って『こちら葛飾区亀有公園前派出所』を教え込もうとしたら、「ふざけるな」と言われました。

前述の銀英伝、留学期間中に原作が再アニメ化されるというニュースを耳にした。これはY氏が喜ぶだろう、と話を振ったところ「もう知ってるよ。でも今回作画をする人は○○の作画をした人なんだけど、人物が少年ぽくなるから俺の好みじゃないんだ。」と淡々と語られ、自分のその手の知識のなさとY氏もなんでもいいわけじゃないんだな、ということを学んだのだった。


今回の結論。海外の人から日本の話を教えてもらうのはとてもおもしろいし、何かを熱烈に愛している人の調査・収集能力はすごい。


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