「子供だからクリエイティブ」?
「子供は大人よりもクリエイティブだ。」
これはよく聞く文言だと思う。
でも子供だから皆クリエイティブかと言われたらそれは違うかもと思うようになった、というのが今回のnoteである。
考え始めたきっかけは今月頭に行った子供向けのワークショップ(WS)である。テーマは「仕事を知ろう、将来の仕事を考えよう」。
内容(しれっとトップ画変えました)↓
感想・考察↓
最初にWSをやろうとしたとき、私は「新しい職業を考えてみよう」をテーマにしようとした。協力してくれる図書館職員さんが「子供のクリエィティビティを伸ばしたい」と言っていたし、私も「子供はクリエイティブ」と思っていたから。
そこに待ったをかけたのは、先輩隊員である。
「出てこないと思うよ。」
その先輩隊員は、標準(mainstream)教育からドロップアウトしてしまった子達を支援する学校で活動したことがある。ある日お面を作って、子供に自由に絵を描いてもらおうとした。ところが。
「なに描いたらいいの?」
ここから進まないらしい。仕方なく「じゃあ花は?」というと真面目に花を描いて、
「次は?」
と聞いてくる。自分で考えて描くことをしないらしい。だから新しい職業も出てこないだろう、ということである。
何でだろう?子供は元々クリエイティブではないのか?日本の子供たちは「好きに描いて」と言われたら、思い思いにお姫様とか怪獣とか描くと思う。もしやこれにも文化的再生産の影響があって、絵本を読む機会が多いなどのインプットに左右されるのだろうか。いや待て、そもそも日本の子なら出来るというのも私の幻想かもしれない。
気になって仕方なかったので、同期の幼児教育隊員2人に聞いてみた。
うち1人は実際に日本とエチオピアの子供たちの想像力/創造力(クリエィティビティ)の違いを感じていたそうだ。絵本の影響はあると思う、と同意してくれた。
2人にエチオピアの幼稚園の絵本の読み聞かせとお絵描き(私が想像力/創造力に関係ありそうだと思った活動)について聞いたところ、こんな感じだった。
・絵本の読み聞かせは少ない。あってもそのあとにされる質問は「誰が出てきた?」などの正解がある質問。
・「自由に絵を描いて」と言っても決まったものしか描かない。あとは誰かのマネ。
・そもそも絵を描く時間は少ない。あっても先生の絵の模写か決まったテーマのものを描く。
さらには幼稚園なのに計算や文字の練習といった座学が多いのだそう。
日本の幼稚園教育ではどれくらい想像力/創造力を伸ばそうとするのかを確認し忘れたので単純比較はできないけれど、想像力/創造力を使ってアウトプットする機会が日本より少ないようだ。
アムハラ語の絵本も少ないし(そもそも本屋がとても少ない)、テレビ等も皆が持っているわけではないことから、想像/創造用の素材(=インプット)も日本の子達より少ないことが推測される。
まとめると、「子供はクリエイティブ」なのは「子供だからクリエイティブ」なだけではなく、そこに想像/創造用のインプットとアウトプットの練習があって「子供はクリエイティブ」になるのではないだろうか。
そう考えて今回はインプット=社会にある仕事を知ろう、に的を絞ったわけだった。
遠回りに見えても、クリエイティブの種を蒔けてたらいいな。
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