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「竹包みに残っていたお米を、
空を見上げながら、

ちゅっと吸うようなものかしら恋って」
「わたし嫌になっちゃった」

「恋を追い掛けるのなら」
「この暑さの中」

「着物の裾をたくし上げて」
「ええ走るわ」

「途中で、昔に戻って走るかい」
「初恋を想って走るわ」

「じゃあ協力するよ」
「何に」

「恋にだよ」
「わたしもう、恋なんてものより、

好きな人のおへそに生えている毛を
つまんでみたい」

「そんなこと、このような所で、
大きな声で言うもんじゃない」

「じゃあ勝手にすれば」
「雪景色には、

どんな飲み物が合うと思う?」
「冷たい珈琲に、

さくらんぼを少し浸して」
「ちゅっと食べる」

「美味しいのかい」
「知らない」

「恋なんてものはねえ」
「ねえ、もうそれはいい」

「この時計遅れているから、
ねじを回してよ」

「何かこの後、予定があるのかい」
「ううん」

「じゃあ、このままで良いじゃない」
「良いかもしれない」

「このクッキーを二枚ずつ食べたら」
「帰ろうか」

「一枚だけ食べる」
「もう一枚は?」

「ハンカチに包んで」
「ポケットに入れて」

「バイバイと」
「さよならを言って別れた後」

「お互い」
「どこかのベンチで」

「食べよう」
「何を想って食べようか?」

「何でも良いんじゃない」
「じゃあ僕は、

クッキーを食べた後、
時計のねじを回すよ」

「じゃあわたしは、
クッキーを食べた後、

とにかく好きな
ひとことものに触れた季節、

わたし、
臆病なくらい自分を大切に思えた」。

良い文章を作れるように、 作るために、 大切に使わせて頂きたいと思います。