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=LOVE『あの子コンプレックス』には楽譜の表拍と「あの子」の言及が極端に少ない

=LOVEの楽曲『あの子コンプレックス』では好きな人が他人に目移りする様子が描写されているが、目移りしている対象は歌詞に2回しか出てこない。

それはCメロの「Ahあの子コンプレックス」、ラストサビ「今日も欠けた月を満たすように優しくあの子に触れているのでしょうか?」の2か所。あの子、と恋のライバルというより既に自分が負けている相手に言及するのも歌い手は嫌なのだ。

曲の主体の心情は「冬までの粉雪は汚れた雨に変わってた」「沈む船は戻らない」「知らないバニラが香った時」という隠喩と好きな人の心移りに表れている。

「mucome」のピアノ楽譜を見るとBメロで初めて表拍が出てくる。「特別じゃないなら」の歌い出し「と」が四分音符で、でも「くべつ」は16分音符と付点八分音符だけで構成されていて、まだまだ感情が揺らいでいる。だが「冬までの粉雪は汚れた雨に変わってた」より気持ちが前向きで、意志が強くなる。

「まだ好きでごめんね」と謝りながら相手から離れるべき決断をしているような、それも決めかねているような微妙な気持ちを「特別じゃないなら・・・」で表現する。

1サビ「沈む船は戻らない」と2サビ「星も消えたこの夜に」は表拍で始まるが、「しずむふ」「ほしもき」の4音は16分音符。♩=89のゆったりテンポでも早口で相手の心が自分に向いていない悔しさや劣等感、虚しさが読み取れる。

「欠けた月を満たすように」「誰かに負けたわけじゃないって事」も最初は16分音符で歌う。16分音符には認めたくないけど「あなたの気持ちが私から離れていること」を言い切ってしまいたい心が込められている。

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