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まいにち

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つまらぬものですが(つまらなくはない)
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ひろいキッチンだけが夢だった

どうしても居場所が必要だった。実家は居ごこちがあまりよくなくって、自分だけの、自分のためのキッチンが欲しくてたまらなかった。 それで、いまの家に住みはじめたのが20歳。 誕生日を飛び越えたとたん、印鑑を押してお金を払えばなんでもできてしまった。成人式には出なかったけれど、成人であることをなにより実感した瞬間である。貯金していたお金をぜんぶはたいて家出した時、いまよりもっと自由だったと思う。 (これは鍵を受けとって部屋の掃除をしにいった日。ひとりで雑巾がけをしたり。と

なんでもない夜に

べつになんてこったない、ありふれた夜だ。 だいだい色のテーブルライトだけが天井を照らしている。化粧を落とす気力無くそのままベッドに横たわっていて、足もとには猫。 聞こえるのは、おもての車道をゆくトラックの音と、扇風機が風をゆらす音。それからやっぱり、ぷすーぷすーという猫のいびきも。 いつもどおりの夜である。 わたしは最近、なんでもない。ほんとうになんでもないのだ。 昔みたいにひどくたかぶることはないし、消えてしまいたくなるほど自棄になることもない。あったとしても、大

じぶんの嫌いなところを好きになる必要は無いけれどそんなこと忘れるくらいには生きつづけていたい

20190826 ◯ 「じぶんの嫌いなところを好きになれるよう、日々正しく生きていきましょう」と、誰かが言ったような気がする。 じぶんの嫌いなところはあるだろうか。わたしにはあるし、あなたにもある。愚問。生きていれば、誰だって。 何不自由なく見えるあの子にも、きらきらと輝いて生きているように見える大人にも、じぶんを嫌う部分はきっとあって、しかし、そうは見させないなにかがある。それはとても強みだ。 嫌いなところ。わたしには、いくつかのはっきりとしたものと、とくべつに意

中央線さんぽ日記

毎日投稿はおやすみしないけれど、 いつもいつも文章かく仕事をしているし、 好きな人と過ごす週末を大切にしたいので たまにはnoteの投稿も息抜きしてみます。どきどき noteをはじめる前、すこしだけ、はてなブログをやっていたことがあって そこからおきにいりの記事をもってきました。 息抜きと称して、ちょっと昔のさんぽ日記をどうぞ。 だいぶ、のんびりしています。 忙しない1週間のはじまりに、 すこしの癒しになればとおもいます。 ps. いつも、いいねやコメントありがとう

ちょっとの勇気がほしいのに

20190802 ○ 日付を最初に書くとき、あ〜〜今日も生きたんだよなと実感しているわたしです。生きれてよかったです。 さて あとちょっとの勇気がほしい。 ほんとうに、ちょっとだけ足りない。 どういうことかというと、行ったことのない喫茶店へきがるに足を運んでみたり、SNSでみたあたらしい古書店に本を買いに行ったり、同じ場にいるしらない人に話しかけてみたり、そういう勇気。 おおまかな勇気はあるのに、そういうこまかい勇気がほしい。どうしようかと悩んでいるあいだに過ぎて

もやもやを安易に吐かないつよさ

20190801 ◯ ざんねんだけど、わたしもあなたとおなじ人間だから、 ひょんなことで苛つくことがある。 朝から苛ついてしまった日なんて、最悪だ。 あたまの先からやる気が失せてくんだよ。 手足もだらーんとしちゃってさ。 体調が万全じゃないのにあやかって、 仕事も休んでしまおうかとまでおもった。 胸くそがわるい。 苛ついているとき、わたしはたいてい傷ついている。 傷ついてなにかがあふれる。とまらない。 そう、ちょうどそれは、生卵の黄身。 あんなにしっかりとふく

これからをゆく弟へ

20190731 ◯ 血のつながった弟がひとりいる。 しかし、わたしと弟は確実にことなっていて、真逆で、とてもかたよってしまっている。 もっかいごちゃまぜにして、きれいに分割したらつぎこそちょうどいいかんじになるような気もするけれど、産まれてしまったからにはもうどうしようもなく、このこころとからだでふたりとも生きてきた。 弟とわたしはとてもなかよしだ。 それは、いっしょの家に住んだり、いっしょのごはんを食べたり、いっしょのおやに育てられていないからだとおもう。こん

ひるねといって この夜のてっぺんまで ねてしまう

収まるべきところへ

20190729 わたしが京都に住む男の子だったら、「今日の夜、鴨川沿いをさんぽしようよ」なんてちょうどいい理由をつけて、会いにいくのにな。 5月の下書きに残っていた。 ◯ 最近、すっかり生活と仕事に呑まれてしまった日々だけれど、無性に、京都へ行きたくてうずうずしている。仕事に集中できなくなってしまった午後なんかは特に。5月の誕生日にあわせた10日間、京都で満たされたはずだったが、それはただのつもりで、蓄えておけるような感覚でも無いと知る。 いつもだったら、夜行バス

【長編】 夏の空気を吸い込むたびに(2)

20190728 長編エッセイ、つづきです。ふたつめ。 ※ 題名てきとうにつけちゃってたので変えました ▼ ひとつめはこちら

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【長編】 夏の空気を吸い込むたびに(1)

20190726 夏の空気を吸い込むたびに、すこしずつ、すこしずつ綴っていました。携帯のメモにのこした駄文を、おなおしして、ここに載せます。小説とでもおもってください。 センシティブなので、人を選ぶと思うので、なので、ごめんなさい、この話には価値をつけさせてください。どうか、ことばひとつひとつ、大事に読んでほしい。 3つにわけて、来週までにこそっと完結します。 あまり恋愛の話してこなかったんですが、物好きさんはどうぞ、ご検討ください。

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振袖を着なかったわたしへ

20190724 ◯ なるべく うれしいこととか、きれいなもの、やさしい言葉をつまみだしてここに置いていきたいと思っている。でも ◯ なんでこんな、息してるだけで、つかれてしまうんだろう。つかれることにも、正直つかれてきた。21歳フリーター、考えなくてはいけないことが多すぎる。 いや、まだ、自分で決めたことはいいのだ。好きでこの状況に落とし込んでいるのだから簡単に納得することができる。ノーリスクでなにかを得ようなんて甘ったれているし、だから日々、考えて、行動している

必要なことを選んで食べる

20190722 選びたい。 じぶんの血肉になるものは、なんであれ、なるべく選んでいたい。 必要なことはまず、手にとり嗅ぐったりして、決めたい。そうやって選んだじぶんにとって確かなものを、ゆっくり咀嚼したい。酸いも甘いも嚙み分けて、いろんな味を知っていたい。それなのに 「ねえ食べた?食べ終わったよね?じゃあ次はこれ、ほらほら早く。あっ見て見て、今度はこんなのも。ね?まだいっぱいあるんだから、とっとと飲み込んで。」 おなかいっぱい。もはや暴力だ。 ある出来事が起きるた