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2024/4/19

 愚かな人間なので早めに日記を書くことにした。気温が20℃を超えて、生きていることがまだましになってきた。また居候として家事をこなすことで利他的な性質が顕著に表れ、生きることがなんとか出来ている。相変わらず朝4時に目が覚めるけれど、隣に人間がいる温もりに安心してぼうっとしていられるのだ。
 通院ではどうやって話そう。寝れないけれど安心感はあるんだ。ひとりだったら虚脱感から抗鬱剤をのんでしまうけれど、それがなくてほっとしているんだ。
 そしてその束の間の安心が恐ろしいのだ。
 永遠なんて存在しない。人の心は移りゆくし、なんせまだ付き合って一ヶ月も経過していないのだ。なんと悍ましい状態なんだ。私はもう、恋人の温もりを染み渡る程に浴びてしまったというのに。胃袋も掴まれて、完全に懐いてしまったのだ。立派なイエネコである。
 どうにかして繋ぎ止めたい。好かれる人間でいたい。手放したくない価値ある人間でいたい。ほらまた、私は自分のことを価値でしか推し量ることができなくなってしまう。
 思考が泥沼に陥りそうになった時、恋人が自分は私のものだ、と寝ぼけた声で言った。清々しいまでの恭順。所有欲が満たされて、その後今だけかもなんてまた後ろ向きな考えになってしまうけれどその時は確かに胸がきゅうと、暖かく締め付けられたのだ。
 どうせあなたがいなくても私はのうのうと人生を生きるけれど、いなくなったらどうしたらいいのか、そんなことばかり考えてしまう。きっとこれを恋と呼ぶのだ。

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