エウレカセブン__ワールズエンドガーデンpng

ワールズ・エンド・ガーデン

27歳の夏から秋に変わる頃、僕は料理人をやめた。鹿児島の1Kの部屋で一人、体も頭も動かず近くのレンタルビデオ屋で大量に借りたDVDをみて過ごしていた。
その中に「エウレカセブン 」があった。
エウレカセブン って今考えるとストリート的なものやテクノ音楽や過去の映画やアニメといったサブカルチャーの表面的なものを持ってきてわかりやすいストーリーに焼き直した、結構ステレオタイプな作品だなと思うのだけれど、その時の僕には逆に裏切らない感じがとても心地よくエモくて食い入るように見たのを覚えている。(シリーズ構成の佐藤大さんが「王道が大切だ、定番は全部やろう」とインタビューに語っているので狙っているんだと思う)

※エウレカセブン について詳しくはこちらをどうぞ


神回と言われる26話「モーニンググロリー」、48話「バレエメカニック」とかも当然好きなのだけれど、僕が一番好きなのは25話の「ワールズ・エンド・ガーデン」だったりする。
話の内容は簡単に書くとゲッコーステイトから家出をしたレントン(主人公)が再びエウレカ(ヒロイン)に会うために戻っている途中に疲労で疲れつき、そこで棄てられた街で絶望病の妻と2人で暮らすウィルに助けられ、ウィルとの交流でエウレカに会う決意を強めるという話だ。
レントンとウィルが語り合うシーンがある。ウィルの声を担当したのは古川登志夫さんだ。会話の内容もまぁいいのだけれど、古川登志夫さんのやさしい語りかけでそれまで僕の中に溜まっていた色々な思いがダムが決壊したように溢れてきて涙が止まらなかった。誰も頼れる人もいなく、仕事はうまくいかないことで自己評価が低下しさらに失敗を繰り返す無限ループの中、もう精神的にズタボロだった。そんな僕にとってウィルの語りかけは優しすぎた。
僕の中の古川さんは諸星アタル、ピッコロでもなくウィルになった瞬間だった。

エウレカセブン は今でも好きな作品である。人生で一番辛い時に僕を引き上げてくれた作品だ。今でも「NIJI」や「秘密基地」を聴くと当時のことを思い出すのである。かなり私的な作品の感想で参考にはならないと思うが、一度はみても損はないと思う。

アイデアの試作や自助具の制作、動画制作に使わせていただきます。世の中が全ての人に過ごしやすくなればと思います。