#お金について考える 映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』を観て

映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』を観てお金の大切さを強く感じた。なぜなら私も主人公のダニエル・ブレイクのように、将来お金に困る状態になるかもしれないからだ。

ダニエル・ブレイクはイングランド北東部に住む59歳の男性で、心臓が悪くなり仕事ができないので公的支援を受けようとする。しかし役所の手続きは複雑で時間がかかり進まない。医者から仕事を止められているのに、就職活動をしないと援助ができないから形だけの仕事探しをしろと,役人に指導される。そんな変なマニュアルがまかり通っている。役人は個々の人を見ておらず、助けを求めてくる者を順番に振り分けているに過ぎないのだ。

これまでダニエル・ブレイクは大工とし真面目に働き、税金もきちんと払ってきた。病気の妻を介護し看取り、子供はいないが、同じアパートの若者との交流もある。ひとりで好き勝手に生きてきたわけではない。それなのにいざ自分が困ったときに必要な支援を受けられない。知り合いは困っているなら云ってくれと声をかけてくれるが、お互い様の精神で助け合ったとしても限界がある。お金の援助を他人にしてもらうのは難しい。

ダニエル・ブレイクと知り合うシングルマザーは二人の子どもを抱えてもっと大変な状況に追い込まれている。「これで(やっと)子どもたちにフルーツを買ってあげられる」と話す母親の言葉を思い出すと涙が出る。お金さえあれば辛い目に合わずにすむのに、なぜ助けが来ないのだろう。
セイフティネットは細かく張り巡らせる必要があり、迅速に動かなければ大きく意味が失われる。その上でお金は有効に使われてほしいと切に願う。

世の中お金ばかりではないと云いたいけれど、現代の社会はお金で回っている。だからこそお金がないだけで惨めな思いや、人間としての尊厳を失わせる状態を生む社会は誰にとってもよくない。本当にお金が必要な人に必要なだけお金が渡るようにするのは、当たり前の事であると思う。それにはマニュアルに従うだけでなく、個々の対応が不可欠である。

映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』はイギリスの出来事だけれど、日本でも同じようなことが起きているのではないだろうか。私もハローワークでよい思いはしていない。

お金があれば悲しい思いをしないですむ道があるのにと、感じずにはいられない。

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