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父の付き添いで行った病院の屋上庭園

朝8時半に受付をして、採血検査、診療、治療を終えたのは14時半、待ち時間が長かったなあ。病気を治療するには体力がいるとつくづく感じた。元気な私でも待合の椅子はしんどい。主治医に体力がある人がする治療だと言われたので父の体力を信じるしかない。

本を持ってきたのに読む気にならず、壁にある病院見取り図を眺めていると屋上庭園があった。入院していた6階から見下ろした場所だ。どうやっていくのだろうと思っていたから見つけられてうれしい。

4階の庭園は予想どおり小さかった。入り口で全体を見渡せた。庭園内には車いすのお年寄りとおしゃべりするスタッフさんふたりと、本を読んでいる患者さんらしき女性だけだった。待合が患者でいっぱいだったのでのびのびする。咲いている花も緑もない。葉の少なくなった枝が立ち並んでいた。近づいて見たい景色はなかったが、せっかくなので奥まで入った。

ふと足元の影に気付く。枝や葉っぱの影が美しかった。影はくっきり濃くなったり薄くなったり、見上げると白い雲が太陽を隠しかけていた。今日の空は明るい。

不思議だと思う。うつむいていた私が空を見るきっかけは影だった。影が太陽を気付かせる。父が病気になり私はもっと優しい人でありたいと思うようになった。

夜8時半にまた同じ病院の戻り救急センターで看てもらい、10時半に点滴を終える。家に到着したのは11時過ぎていた。すごく疲れたけど無事だったので長い1日ではなかった。

庭園の春が楽しみだ。

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