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No.517 属されない私

性別女、年齢20代、職業フリーライター、に属している、フリーライターのaoikaraです。これは所属というんだろうか。


最近、新型コロナウイルスの調査のために、厚生労働省からLINEが来る。厚生労働省とやりとりしてるすごい人みたいに書いちゃった、違う違う。LINE使ってる人みーんなに来るの。「調査するよ!協力してね!」ってやつね。

5月の初旬までに4回調査があったみたい。けっこう前だから記憶もおぼろげなんだけど、調査に答えるときに毎度思うことがある。

まず自分の属性から選択するんだけど、まず「職業」で何を選ぼうか、困る。これは他のアンケートでもよく困ってる。「会社員」「学生」「主婦」どれも違う。フリーランスって何を選んだらいいんだろう。「自営業」なのか。でも会社はなくて個人事業主でしかないから、ちょっと違う気もする。「自由業」があったら選んでるかな。それか「その他」。「その他」で詳細を書くなら「フリーライター」とか「フリーランス」とか書くけど、書く欄がなければ「その他」で終わり。選ぶ項目がない。

今回の調査ではなかったけど、業種を選ぶときとかも困る。「ライター」ってだいたいない。「情報系」とか言われてもITとか疎いし、ちょっと違う。だからまた「その他」になる。

で、「コロナ対策としてやっていることを選んでください」的な質問にいくつかの項目があって、「テレワーク」もあった。私は在宅ワーカーだから、そもそもずっとテレワークなんだよね。これを機会にってわけじゃない。だから、「コロナ対策としてやっているのか?」と聞かれると返答に困る。これもまた当てはまらない。

あと、「以前と比べて平日や休日に人と会う頻度は減ったか?」みたいなのも困った。パーセンテージで選ぶの。「人との接触を8割減らす」を実践しているかチェックしたかったのかなと思う。

休日はたまに一人ででかけたり人と会ったりするから、減ったのかなと思う。今年に入って遊ぶとかじゃなくてでかける用事があって、それに比べるとギリギリ8割減ったと思う。でも、いつもならそもそもの頻度が少ない。今までの休日だって家の中にずっといることの方が多くて、ほとんど外で遊ぶとかない。だから極端に減ったわけじゃない。

仕事をしている平日は、ずっと家で作業していて外に出ないから、そもそも全然人と会わない。今になってもそれは変わらない。今までも今も、ずっと人と会ってない。そもそも接触が少ない。

「人との接触を8割減らす」を達成すべく実践してるけど、そもそも1ヶ月だって片手で収まる範囲でしか人と会わない。だから個人的なパーセンテージを聞かれると、絶対数が少ないからたぶん8割は達成してないし、ちゃんとそうやって答えた。

でも、ずーっと外出てない。出るとしても人の少ない道を散歩するとか、本当にそれくらい。全然、人と会ってない。店にも行ってない。ずっとステイホーム。それでも私は「8割削減できない人」に属するのか、と思うとなんだかもやもやとしてしまった。文句を言いたいわけじゃなくて、仕方ないけど、気持ちとしてね。

結果的に、何の職業かよくわからない20代女性がそこそこ自粛してる、みたいな何のためにもならないデータを提出しているわけで…。「これ、役に立つのか?」ってめっちゃ思っちゃったよ。

実質たぶんめちゃくちゃ外出自粛してるのにね、データとしては表れないのよ。個人的にスマホで行動記録してるから、個人のデータとしてはめちゃくちゃ外出自粛してるってわかるけど。でも、それは国に伝えるわけじゃないからね。


そもそも社会っていうのが、活動する=外に出るって前提なんだよね。大多数の人が働くとか学校に行くとか遊びに行くとかで、外に出るから当たり前なんだけど。

私はずっと家にいて、ずっと家で仕事して、活動する=家にいるなんだよね。っていうのが1から10までアンケートの属性の中にはないってことで、前提として社会には「ないもの」ってされると、自分の存在の輪郭がぼやけて、ちょっと寂しさがある。

ポジティブに考えれば、私ってそれだけレアだってことだよね。いえーい。家にいても経済を動かすための何らかの研究材料になれるかも!なんてことはないだろうけど。

属するところがないという居場所のなさによる悲しさと、でも貴重だという価値の重さでアイデンティティーや自尊心は満たされるから、偏ったものを天秤に掛けて、ちょうど均衡を保っているみたいな。

「こういう人はこういう傾向がある」ってのはデータとしてわかりやすいけど、多様性の今はどこまで“こういう”枠組みができるのかな、と思ったり。私は性別や年齢では所属するところがあるけど、それだって多様な枠組みもあるわけで。

だからいろんなデータを見るときには、「データでは見えていないものがある」って思っておかないなと感じる。多様になったデータに興味がある。データはどう多様になっていくんだろう。未来に期待。


2020年5月19日(火)

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