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オジン軍 白髪三連星のスマイルストリームアタック

何も三日坊主の私が、朝のウォーキングは何故か続いている。
街中歩き尽くし、更なるローケーションを求めて、今では山道を歩いている始末。

朝の森の空気、川の音、鳥の鳴き声、降り注ぐネイチャー感が私の心を穏やかにする。
『イケてる!完全に私はイケている!』
『まるでハリウッドスターのモーニングルーティン!』
その自己陶酔が単細胞の私を動かしているのだろうか。

しかしながら、自己陶酔も束の間、ある日の朝、私のハリウッドモーニングネイチャー感を揺るがす出来事が起きた。

朝は叔父様、叔母様も山道を歩いておられる、毎日の積み重ねからだろう、その健脚けんきゃくぶりには目を見張る、いち早く山頂まで辿り着き、私がノロノロ登っていると、ピョンピョンうさぎの様に山を下ってくる。  

そして万金まんきんの笑顔で『おはよ〜ございます〜』と挨拶をして通り過ぎて行く。

私も笑顔で挨拶するのだが、初対面の人にそんなに万金の笑顔で挨拶出来る人が、私は少し怖いのである。
『初対面で万金笑顔で近寄ってくる奴は気をつけろ!』と私のセンサー の針がビンビン働くのだ。

捻くれた性格のせいだと分かっていながら、もし迂闊に挨拶しよう物なら、、、、。

『おはよ〜ございますぅ〜』万金笑顔
『あ、おはようございます!!』
『ねえ!』
『この浄水器知ってるぅ〜』
『これ使って毎日お水飲むと痩せるのよぉ〜』
『ええ!いいですね!ちなみにお幾らです?』
『40万円よぉ〜』
『高っ!』
『って思うでしょ〜』
『でも私から買ったら半額の20万円!』
『今なら真珠のネックレスもついてるのよぉ〜』

『安い!』
『真珠のネックレスだけでも30万はしますよね』
『そうよぉ〜おばちゃん大赤字よぉ〜』
『じゃ2台買います!』

怖いのである。
私の性格の悪さは百も承知で、笑顔の奥の黒い真珠のネックレスが怖いのである。

だから最近は少し会釈をし万金挨拶をスルーしつつ登る事で、真珠のネックレスを回避する術を覚えたのだ。

しかしながら相手も強者、叔父様3人の編隊を組んで万金挨拶をしてくる、オジン軍白髪三連星しろいさんれんせいを送り込んできたのだ。

白髪三連星しろいさんれんせいは編隊を組み縦一列や横一列に不規則な動きをしながらフラフラ私に向かってくる。

『ヌル〜〜〜ン』『ユラ〜〜』『フラ〜〜リ』

『こ、こいつ早い!動きが読めない!』

あっという間に射程距離にはいり、先頭のオジンガイアが笑顔で向かって来る。 
『ヌルヌルヌルヌルゥゥ〜ニコニコニコッ〜』

私がとっさに会釈しようとすると、オジンは軌道を変えヒラリと私の後ろに、私が戸惑い体勢を整えようとすると、2番目のオジンオルテガがすかさず詰めて来る。
『ユラユラユラリン!ユラユラリン〜〜』

『ダメだ会釈が追いつかない!』

会釈を諦めそのままやり過ごそうとすると、2番目のオジンオルテガがまたヒラリと軌道をかえ、その後ろから待ち構えていたかの如く万金笑顔のオジンマッシュが現れた!!

『フラフラフラフラフラフラフラァ〜〜リ』

『おはようございまーーーす!』取ったぁ!スマイルストリームアタック

『ぎゃゃゃややぁぁあああああ!』

『やられた。。』 
『完全にやられてもた。。』

軽い会釈などではとうてい敵わない強敵。
皆様もお分かりだろうが、私はこの敗北から、しばしウォーキングを休む事にした。

フォーエヴァーハリウッドモーニングネイチャー感。 

(決して最近めっきり寒くなってきて、布団から出るのが嫌で怠けてる事を、叔父様の笑顔を理由にしてるのでは無いのです。)


【次週予告】赤ら顔の高速オジン現る!!の巻




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