「頑丈な建物や地下に避難してください。」

Jアラートを初めて、自分のiphoneから聞いた。

聞いて、そして、一体私はどうすればよかったのか、いまだにわからない。

「頑丈な建物や地下に避難してください。」

結果的に、私はパジャマで布団の上に寝転がっていた。夫はシャワーを浴びに寝室を出て行った。頭の中では、今、何かがここに落ちてきたら、「え?」と言っている間に子どもたちもろとも吹き飛んでしまうという想像をしながら、かといって子どもたちの上に覆い被さったりすることもなく、朝食の準備をしなければと思っていた。

なんか、こういう日常と一緒に戦争は始まってしまうのではないか、とぼんやり思う。日常と戦争の境界って、このぐらい曖昧なもので、だからこそ、「え?」と言っている間に、すでに戦争のなかに日常があるような状況になってしまうのではないか、と。

『この世界の片隅に』で描かれていたように、戦争のなかにあってもささやかでも幸せな日常を続ける主人公の健やかさは、それとはうらはらにいつでも戦争のさなかに生きているのだというリアリティで真っ黒く塗りつぶされる。そういう瞬間が、数えきれないほどあったはずだとあの映画は語っていた。

結果的に今回のことでは、ミサイルの直接的な被害はなかった。でも、「え?」と言っている、この間に、すでに私は戦争の中を生きさせられているのではないかというもやもやが、なかなか晴れない。

「頑丈な建物や地下に避難してください。」

今日のJアラートを聞いて、とっさに県庁の地下駐車場へ避難しようとした人の話。
県庁の地下駐車場に着き、閉ざされた地下駐車場の入り口で「Jアラートが鳴ったので」というと、「7:30まで開きません」と言われたという。

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