審査員としての視点とアドバイス(6250字)

最近、ありがたいことに審査員をさせていただくことが多く、そこで感じたことについて、いくつかに分けて記述しようと思います。


■音源審査のポイント■


 オンラインで応募できるイベントがとても多くなりました。
これによって、距離面のハードルから、機材面・技術面のハードルへ移行したと感じます。

まずはみなさんが知りたさそうなことです。

1.良い音源は審査に影響するのか

それなりに影響すると考えます。

・影響する側の意見
やはり聴き手も人間であるが故、聴きやすい音源は上手に聞こえてしまいます。特にコンプレッサー・EQなどを”上手に使うと”子音がはっきり聞こえたり、しっかり歌っているように聞こえます。また、整音してあると、ステージで歌っている想像がしやすいです。

 ・影響しない側の意見
いろいろな音源を聴いているので、経験則から録音環境が悪くてもある程度は類推できます。また、上手なグループは音声処理を行わなくても上手に聞こえます。

たとえばあおい大好きho-op

ベーパーのみミキサー通していますが、生声でも十分に迫力が伝わりますね。


・結論

するかしないかで言ったら、したほうが良いでしょう。
音圧で勝負しない系のグループは、やはり全員アナログ処理・デジタル処理どちらも使ったほうがどうしても有利です。
ゆえに、コンプレッサーやEQなどの簡単な調音(ミキシング)はしておくことをおすすめします。(ミキサー内蔵のコンプレッサーはしょぼく、デジタル処理とはいい難いので、DAWを使ったほうがいいです。)
これは修正ではなく整音ですので、修正を禁止する大会でも問題ないでしょう。
通るための技術力というものも大切です。しっとりした曲なら、リバーブも遠慮なく使ったほうがいいと思います。


2.修正した音源は見抜ける?見抜けない?

見抜ける場合と見抜けない場合があります。

・見抜けるという意見
いわゆる不気味の壁という話に近いですが、

直しすぎて正確になりすぎている
→「こんなにピッタリはまりまくることはない」

フォルマントの飛びがある
→「ケロってると言われる、フォルマントの流れが不自然」

いびつな音楽になっている
→「この歌唱力でこんなにピッチorリズムが正確に歌えるはずがない」

という視点が気づくポイントとなります。

ピッチ感orリズム感の要素が、その要素以外の実力と乖離しているとバレやすいです。

 ・見抜けないという意見
直しすぎていないとぶっちゃけわかりません。あとは歌唱力がある人だと、音楽がいびつにならないのでわかりません。 

・結論
程よく直すことが重要です。

3.修正したら、点数への影響は?アンフェアだと思うのか?

違和感があったら影響します。違和感が少なかったら影響しません。
(違和感があるとピッチ感orリズム感以外のネガティブ要素が浮き彫りになります)
音源を修正することはアンフェアだとは思いません。
自分がなにかにエントリーするとしたら、必ずと言っていいほど直しちゃうでしょう。
(修正禁止のイベントは、整音だけに留めましょう。倫理的に。)


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