見出し画像

戯曲『えもっちゃん!僕も男だ』 / レジュメ

7058文字・160min

★5月末迄に仕上げる(応募作)。

■元ネタ=①+②
(仮)テーマ
演劇的とは?(演技の皮をかぶる人間の本性)



■メインプロット ☞《僕》の 妄想で仮想殺人や仮想テロ「ファイトクラブ」《僕》と《桜井晴人》と《えもっちゃん》は同一人物。《僕》はせん妄状態。
■サブプロット ☞ 芝居(稽古)で濡れ場(オチはラブドールだった)
サブプロットで使われる『架空の戯曲』=《僕》が『妄想で作り上げた戯曲』をひとつ作る。

・戯曲のセリフはギャグ漫画のタッチで。うる星やつらのノリだ。正統派の戯曲ではつかこうへいの「蒲田行進曲」の掛け合い(パロディとして魅せてもいい)のような勢いで。
・キャラの背景の深掘り(キャラの履歴書を作る)
《桜井晴人》《僕》の環境・年齢・生まれ・育ち・職業・性格・コンプレックス(卑屈さ)・心の傷・外見・服装・IQ・夢・収入などを客観的に深掘りする。根源的な欲望(愛への飢え?)=蒲田行進曲のヤス(農民、バカ、無知、卑屈さ)
《えもっちゃん》は憧れ=僕の王様
■暗示はぜんぶ具体的な装置・小道具にする。
・冒頭のえもっちゃんのバイクでの登場シーンは大勢(コロス)とともに登場する。
例)☞ ラストシーンでの《僕》桜井晴人の《愛》《蒼井七海》は、空っぽになっていた部屋にあった『ラブドール(ダッチワイフ)』になっていた。具体的な装置・小道具として登場させる。
・失踪すれば ☞ 追跡する(ストーリーの山場を作る)
・失踪で夢オチは△(具体的に観客に答えを提示すること・ラストは再考)
・小説化できるように曖昧な表現はしない。
・ファイトクラブの小道具、石けんショップ(爆薬の材料)
「家庭にあるどんなものからでも爆弾ができるんだぜ」
・無言だとみなが僕を重症だと気遣う。
・桜井晴人は実は大学に受かってなかった ☞ 妄想状態で三年間、大学生活を過ごす男の物語。
・居酒屋で二人(えもっちゃんと僕)の共通の話をする。
・外国の戦争の話とかを軸に、物語のプロットを広げる。桜井晴人のアパートが火事☞乞食ように廃屋に住む。(自分で付け火、廃屋に住み着く)
「部屋のことなんか忘れちまえ!」
「ソマリアやロシアではドンパチで毎日何千人と人が死んで、日本はどうだ? 寝っ転がってYouTubeだぜ」
「素直に言いたいことを言えよ!」
「そう素直にいえば良いんだ!」
「誰を演技で騙したいんだ?」
「社会で何の役にも立たないクズのおれたちは舞台の上では強者だ」
上記のセリフは自分で書いてみておかしいと気づいた。
「舞台でなく社会で演じる」こととはいったい何だ?

☞虫や動物でいう「擬態」じゃないか?
☞演じる・騙す行為。
☞モノマネがなぜあれほど人気があるのか?

調べたが、どこにも書いてない。
個人の感想は「自分にできないすごさ」なぜ面白いかはわからない。

・泥酔している蒼井七海のシーン
・家が火事だった。警察から電話がある。
「おれがやったと告白してやれ!」
僕はえもっちゃん(妄想の自分)に言われる。
・蒼井七海が僕(桜井晴人)を誘惑するシーン。
・ダメな男に惚れるタイプの女、蒼井七海(キャラ構成)
「痛みから逃げるな!」
・スタニスラフスキー・システム
「役を生きる芸術」にもとづく。この原則では俳優にとって「役を生きる」演じるたびに役の人物と同様の感情を体験する。
・アクターズメソッド
特色は、役作りの上で演技者の実生活での体験や、役の人物の内面心理を重視する点にある。
・コロス(演劇)を冒頭(バイクで登場シーン)に持ってくる。
コロス:観客に対して、鑑賞の助けとなる劇の背景や要約を伝え、劇のテーマについて注釈し、観客がどう劇に反応するのが理想的かを教える。 また、劇中の一般大衆の代弁をすることもある。 多くの古代ギリシア劇の中で、コロスは登場人物が劇中語れなかったこと(恐怖、秘密など)を代弁する。
・二人だけの会話のときに誰も口を挟まない(妄想のため)。
・三人以上の稽古場であればどう見えるか? どのように周りは思うか?
・老人ホームから食事を盗む蒼井七海(実はこんな泥棒生活をしているシーン)
・殴られる演技のシーン(人間が演技することがテーマ)1:18
・脅す演技のシーン
第二部
・演劇革命集団_1:30
・劇団は演技で街中に事件を起こす。街を乱す集団に。
・「美しいものに灰を」
・バイクで交通事故。演技できない。
「あがくな!」
「あきらめろ!」
第三部
えもっちゃんの消失
追跡すると、全国に演劇テロ集団の支部がある。
ラストは死の演技をして、そこが首吊り現場になる。
☞小説的で面白くない。

■創作過程のチェックシート


✅❶「あらすじ的な掌編小説」を書く(時の流れがわかりやすい)
✅❷テーマ、モチーフ、設定(今回は下記の三つ)を持ってくる。
✅❸❶を解体する。
 ❹自分の思い浮かんだシーンをとにかく入れこんでいく。
 ❺辻褄が合わないシーンを繋げる(そのための新たなシーンを足していく=岡田斗司夫ゼミにて)
 ❻初稿完成
 ❼時間の流れ・キャラの性格の矛盾の修正(推敲)
 ❽誤字脱字衍字チェック
 ❾三週間、寝かせる。
 ➓最終チェックをして応募

 ■応募原稿は百枚(上演時間は九十分の作品)
 ■劇作家協会新人戯曲賞

■応募受付期間 (下記は去年もの)


● 2022年6月1日(水)〜7月1日(金・消印有効) 受付は終了しました
 ** 7月1日消印を厳守のこと。7月2日以降の消印の作品は選考外とします。
応募規定
● 1人 1作品
● 2021年7月1日から2022年6月30日までに、日本語で書かれた作品で、書籍あるいは雑誌に未発表のもの
● 上演済み作品も応募可
● 同作品の、同時期の他の戯曲賞との重複応募は不可
● 過去に他の戯曲賞の佳作以上を受賞した作品は、手直しをしていても不可
● 互いの了解が取れていれば共同執筆作も応募可
● 原作のあるものの脚色は不可
他の戯曲・小説・映画・CM・歌詞などの一部を使用する場合は、作品名と使用箇所を明記し、著作権処理が必要な場合は応募者の責任と費用負担で行なうこと。替え歌など、著作物を改変しての使用は特に留意して処理すること。

■物語のシーン(伏線)転換の事件。
⑴冒頭、大学の合格発表日。男(えもっちゃん)の登場シーン
(二人の出会い)えもっちゃんはバイクでド派手に颯爽と。
⑵居酒屋で桜井が一目惚れ。蒼井七海の登場シーン。

脚本の書き方

戯曲とは、舞台上で観客を前にして、俳優が演じる劇的内容(→物語の展開)を、登場人物の対話・独白(→台詞)を主とし、演出・演技・舞台の指定(→ト書き)を補助的に加えて、記したものをいう。 演劇という手法で物語が立ち上がるための、最初の基本的構成要素が”戯曲”である。

登場人物


劇団《舞台王国》
・桜井晴人(20・田舎者・元引き籠り・童貞・記念受験で受かった)
・えもっちゃん(20・アメリカ帰りの役者・演出)
・蒼井七海(21・ミスキャンパス:幼児虐待の過去・実は家計が厳しくソープ嬢)◉蒼井は稽古場で幼児虐待経験の悲鳴をあげる。女優に目覚める。
えもっちゃん
「それだよ! その悲鳴がおまえ蒼井七海という人間なんだよ! 女優蒼井七海そのものなんだよ!」
桜井に触れる蒼井
「あん!」
えもっちゃん
「お前、そのセリフ。エロいな」
蒼井
「いえ、あの、そういうふうに言ったんじゃないんです」
えもっちゃん
「ソープ嬢でもやってんじゃねえのか?」
蒼井は桜井に胸を見せるようにしなだれ掛かる。桜井は硬直する。
「ドキッ」
えもっちゃん
「ソコだよ。そういうところを出すんだよ。それが女優、蒼井七海なんだよ!」
などなど(幼児の虐待のシーン・セリフの挿入・ギャグにてソープランドシーンの挿入など)
・劇団員A
・劇団員B

ライバル劇団《Q》(サブプロットの脇役たち)
・猫又又吉(19・劇作家・演出:新進気鋭の映像作家・ホモセクシュアル)
・虎尾アリス(19・看板女優・自分がイギリスの公爵の令嬢と思いこんでいる田舎娘)
・龍洞三(21・看板男優・美男子・パチンコ業界大手の御曹司・ホモセクシュアル)

あらすじ

一幕 合格発表の日


主人公の桜井晴人は純朴で内気な田舎青年だ。記念受験をした大学に受かってしまう。そこに、えもっちゃんが現れる。桜井はえもっちゃんに居酒屋に誘われて罵倒される。その言葉はすべて正鵠を射ていた。完全に薫陶された桜井はえもっちゃんと劇団舞台王国を旗揚げする。

えもっちゃん
「お前は、あの女に一目惚れしている! それなのに、お前は、幼稚園のころからずっと二番手ばかりに手を出そうとしている。さらに言えば、二番手に声をかけることすらできない! 蚤の心臓だ! 結局のところ、きみは、人生で何も手に入れることができずに終えるんだ! お前にはいつも手を伸ばして手に入れられるものしか手を伸ばさない腑抜けだ! そんな腑抜けはいまここで死ね! 」

桜井晴人
「ぼくはそんなえもっちゃんに誘われて、二人で劇団を立ちあげることになったわけです。えもっちゃんは脚本と演出を手がけ、僕は制作を担当することになった」


一幕 二場 《僕》は劇団員を集める

事件!

蒼井七海との出会い(居酒屋で会ったあの美女だ!)。
蒼井七海は居酒屋店員をやっている。


一幕 三場 劇団《Q》の登場


二幕 舞台王国の稽古(劇中劇・えもっちゃんの演出)


○稽古場。 稽古初日。
えもっちゃんは


制作のはずだった桜井は役者をやらされる。えもっちゃんの稽古では桜井は大学のミスキャンパスの蒼井七海との激しいキスシーンや濡れ場を演じさせられる。

三幕 稽古シーン(作者が知る柄本明のエピソード挿入など)


時はおなじく。猫又又吉率いる劇団《Q》は演劇フェスの優勝を虎視眈々と狙う。だが演劇フェスの主催者は今大会の初の試みとして劇団から役者のシャッフルを行うと発表をする。劇団舞台王国の『蒲田行進曲』のダブル主演はなんと猫又又吉と桜井晴人になる。


四幕 劇中劇・えもっちゃんの演出パロディ


蒼井七海は稽古場から逃げだす。晴人は七海を追って夜の公園へ。すると逆告白され蒼井は桜井晴人の女になる。それから桜井晴人は次第に自信をつけていく。服装は都会的に。演技は大胆になる。演出意図よりも桜井のアドリブのほうが観客は喜ぶ。次第に桜井晴人の行動は大胆不敵になっていく。自意識や他人への態度は尊大化してゆく。

バイクにまたがる桜井晴人
「七海、ドライブに行こうぜ!」
桜井晴人と蒼井はバイクでニケツする
「あそこにホテルが、入ろうぜ!」

稽古シーンは劇中劇として「蒲田行進曲」を。えもっちゃん(柄本明が劇団員に演出をつけるというパロディ)

ここで「ボギー俺も男だ」のパロディ挿入

えもっちゃん
「では、ここに柄本明本人に登場してもらい、当時のヤスを再現してもらいましょう」

・Aパターン
 本当に柄本明がヤスを演じる。
・Bパターン
 上手から柄本明(あるいはその代役)が現れてハリセンでえもっちゃんの頭をぶったたく。
・Cパターン
「柄本明は風邪のようです。と観客にそう伝えておけと言われまして」

五幕 劇団は凋落して、破滅へ


蒼井は本当に妊娠してしまう。稽古にて、
蒼井七海
「ハルちゃん。わたし妊娠しちゃった」
桜井晴人は蒼井の腹を蹴飛ばす
「おま、リアル小夏かッ!」

  音響(ドカッ)

蒼井七海
「ハルちゃんだめ、お腹だけは蹴らないで!」
桜井晴人
「うるせえ!」

  音響(ドカッ)

蒼井七海
「令和のイケメンだらけの時代にそんな演技をしちゃダメじゃない!」
桜井晴人
「うるせえ!」
 
  音響(ドカッ)

六幕 えもっちゃんと七海の消失


大学三年になった春。
合格発表の日。新入生の勧誘をする日だ。
《僕》はえもっちゃんの部屋を訪ねる。もぬけの殻だった。空っぽの部屋の壁に、えもっちゃんと《僕》と蒼井七海のスリーショットの油絵が一枚、飾られてある。

桜井は泣き崩れる。今まで桜井の肉体をみなぎらせていた《力》が抜けていった。ポケットにささるスマホが震えた。でる。深海雫の声だ。

「桜井晴人クン。合格発表が始まったわ。ほら急がないと。あなたの求めている人が門から出てきちゃうわよ」
深海雫の声はいう。

《僕》は自分を愛する人が隣にいた現実を知って膝から崩れる。

「勧誘したら、最後は私に声をかけさせてね」
電話を切れた。

脱衣所に、あの日、えもっちゃんと出会ったサングラスと服とパンタロンが畳んであった。その横にラブドール(ダッチワイフ)が転がっていた。
桜井はえもっちゃんの服に着替えてラブドール(ダッチワイフ)を抱きしめて泣き崩れる。

「おれはアメリカ帰りなんだ」

鏡の前で桜井は泣きながらえもっちゃんと出会った最初のセリフを演じてみる。
《僕》桜井晴人は二年前のえもっちゃんとおなじ服装に着替えて学校の門へと駆けていく。

一幕とおなじ、えもっちゃんの登場シーン

溶暗

終劇



元ネタは下記

上記の《稔と僕と狭山静香(深海雫の絵)の解体が下記

下記はプロット沼(深海雫の絵)の解体


出会い(劇団の発足)

春(四月)
・場面:某早稲田大学の校門前。
・人並みに揉まれる主人公。現場の体験を台詞に
・門の前:ビラ配りに声をかけられる(シーン)
・男は大きなサングラスに風になびく真っ赤なスカーフにスマイルのTシャツに緑色のパンタロン姿、いわゆるヒッピーファッション。その姿は周りから浮いている。
・男(えもっちゃん)に居酒屋に誘われる(シーン)
・えもっちゃんの言葉でぼく(桜井晴人)は薫陶される(シーン)。
・えもっちゃんはアメリカの大学で演劇を学んで帰ってきた(居酒屋シーン)。
・ぼく(桜井晴人)は演劇などは素人だ(セリフ)。
・居酒屋のシーン。二人の(決定的な自信(内面)やファッション(外見)の格差、スターの銀四郎と大部屋俳優のヤスの関係を暗示させる)
・えもっちゃんのセリフ「おい、お前、どの女がタイプなんだ? 小上がりに座るあのブスがタイプか? 」
・「これだ! この人だ! えもっちゃんこそがぼくが求めていた理想の人間だ!」えもっちゃんに薫陶される桜井晴人。

五月。
稽古場のシーン:芝居の演目は《蒲田行進曲》(稽古自体が蒲田行進曲を演じているかのようなハイテンション演劇パロディ)
・演出のえもっちゃんは稽古場で怒りや感情を露わにする。
・えもっちゃんが女優に稽古をつけている(パワハラ、モラハラ、セクハラを暗示させる)。
・ぼくは稽古場に差し入れに登場する。セクハラ現場を目撃する。
・生まれや性格をなじるえもっちゃん。女優は耐えきれずに部屋を出ていく。
◉えもっちゃんからの指令☞「蒼井七海を劇団に勧誘せよ」
・蒼井七海を勧誘するシーン
・早稲田祭「ミスキャンパス会場」のシーン(呆気なくスカウト成功)
・えもっちゃんからの別の指令「劇団員を集めよ!静香を際立たせるブスを呼んでこい!」
☞深海雫を誘うシーン。
・第二学生食堂:深海雫はぼくの肖像画を熱心に描くシーン。
・「もっとだ!蒼井七海を際立たせる脇役を集めろ!」ぼくは他の劇団のオーディションをまわってスカウトする役目に。

七月。
劇団員はそろった。蒼井七海と声優志望の松井翔太(劇団員A)と落語研究会の歌代勇也(劇団員B)だ。それと深海雫に声をかけた。深海雫は快諾した。《僕》は脚本に応じて役者をすることになった。

劇団(桜井晴人)の成長

・蒲田行進曲の稽古のシーン:
・えもっちゃんの演出の横暴。怒りを露わにして演出をする。えもっちゃんは蒼井七海と激しくなじる。
・「もう付き合っていられない!」蒼井七海は稽古場から逃げだす。
・だれも引き留めようとしない。
・えもっちゃんは《僕》を焚き付ける。
・《僕》は蒼井七海のあとを追いかける。

公園で僕は狭山静香に追いつく。


すると彼女は振りむき僕を抱きしめた。蒼井七海は僕を誘惑する。劇団に入ったのも僕と付き合いたかったからだと逆告白をする。僕は蒼井七海の真意はわからない。唇を寄せてくる蒼井七海。そこで僕は誘惑に負けて、蒼井七海とキスをしてしまう。

僕は生まれて十八年ずっと引きこもりだ。もちろん童貞だ。蒼井七海と唇が触れ合った瞬間、僕の体の芯を覆っていた硬い殻が割れた。殻の中からドロッとした腐った液体が溢れでた。

ぼく(桜井晴人)の変容。

秋。
蒼井七海は従順な女だった。僕は学校のミスキャンパスである狭山静香と付き合い始めて急に大胆な行動ができるようになった。
僕は劇団でいつしか主演を演じるようになった。劇団の公演はえもっちゃんの作・演出を狭山静香と僕の主演で評判を博した。僕はえもっちゃんに激しくぶつかった。僕のいう通りにやると観客は湧いた。動員数は増えて劇団は大きく成長してゆく。

えもっちゃんと七海の消失


大学三年になった春。

新入生の勧誘をしようと僕はえもっちゃんの部屋を訪れる。だが、部屋は空っぽだった。空っぽの部屋の壁に、えもっちゃんと僕と蒼井七海のスリーショットの油絵が一枚飾られてあった。

僕は泣き崩れた。今まで僕の肉体をみなぎらせていた力が抜けていった。ポケットにささるスマホが震えた。でると、深海雫の声だった。

「えもっちゃん。合格発表が始まったわ。ほら急がないと。あなたの求めている人が門から出てきちゃうわよ」
深海雫はいった。

僕(桜井晴人)は自分を愛する人が隣にいた現実を知って膝から崩れる。

脱衣所に、あの日、えもっちゃんと出会った服とパンタロンが畳んであった。その上に大きなサングラスがあった。
「勧誘したら、最後は私に声をかけさせてね」
そう深海雫はいって電話を切った。

「おれはアメリカ帰りなんだ」
鏡の前で僕はえもっちゃんと出会った最初のセリフを演じてみる。
桜井晴人は二年前のえもっちゃんとおなじ服装に着替えて学校の門へと駆けていった。

一幕とおなじ、えもっちゃんの登場シーン

溶暗

終劇







この記事が参加している募集

スキしてみて

よろしければサポートおねがいします サポーターにはnoteにて還元をいたします