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ファイナルファンタジー14「蒼天のイシュガルド」のドラゴンの話

ファイナルファンタジー14、通称FF14は、インターネット上で多人数が同時にプレイする形式のMMOと呼ばれるゲームです。

このFF14というゲームは、ストーリーが素晴らしいということで高い評価を受けています。全体を貫く1本の基本ストーリーがあり、それを章として分割して提供していく形式でゲーム世界に反映していき、プレイヤーは各々自分のスタイルでそのゲームを楽しんでいく、というのが基本の遊び方です。

さて、私は長年ドラゴンという幻想生物を愛していることを表明して来た人間であります。そのため、FF14のなかでも特にドラゴンと人の物語である「蒼天のイシュガルド」の章に思い入れが深いのです。そこで、FF14「蒼天のイシュガルド」のドラゴンについてのエピソードについて、ちょっと深堀りしていきたいと思います。

ここから先はかなりのネタバレが含まれますので、まだ蒼天のイシュガルドまでエピソードが進んでいない、または今からゲームを始めたいという方は、なるべく避けていただけると幸いです。

まず、物語上の状況を説明すると、イシュガルドという人間の国とドラゴン族とは、千年に渡る永い戦いを続けていました。その泥沼のような戦いを終わらせるというのが、主人公たるプレイヤーとゲーム世界の仲間であるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)の目的となります。

実は、憎しみが憎しみを呼ぶ根深い戦いに至る以前、千年前には、イシュガルドの人々とドラゴン族が共に手を取り合い、ひとつの理想郷のような国を作っていました。しかし、ドラゴンの強大な力を畏れ、羨んだ人間の王が、だまし討ちによって七大天竜と呼ばれるドラゴンの一頭を殺し、力を奪います。

そもそもの争いの原因が人間側にあったことが途中で明かされるのです。そこから一気に善悪の逆転をプレイヤーは味わうことになります。

同時に、ドラゴンは何千年何万年ものときを生きる存在なので、千年前の裏切りによって愛する家族を殺された恨みを、昨日のことのように記憶していて、その憎しみが消えることはない、という絶望的な状況を示されるのです。

そのなかで、聖竜と呼ばれるフレースヴェルグと、人間とドラゴンの融和の時代が始まるきっかけとなったシヴァという人間の女性との愛のエピソードが語られ、最終的にはシヴァとの愛の記憶を持つフレースヴェルグが人を再び信じることを決意して味方してくれることとなります。

メインストーリー中において、シヴァとフレースヴェルグの間の深い愛情がなければ、千年戦争を終わらせることは出来なかっただろう、とプレイヤーは理解するのです。

ですが、実は、ドラゴンと人間との間の信頼の架け橋となったのは、シヴァだけではありません。

高地ドラヴァニアというフィールドに、不浄の三塔という聖竜の眷属が余生を過ごす場所があるのですが、そもそもは、ここにいる聖竜の眷属であるヴィゾーヴニルというドラゴンが、一人の人間の少女を助け、後にプレイヤー達に親身になってくれたことが、戦争を終わらせるきっかけとなったのです。

聖竜の眷属のドラゴンが千年戦争に関わることなく、人間に寛容に静かに暮らしている理由は、最初、彼らの長であるフレースヴェルグの意思によるもののように思われたのですが、この場所のサブクエストを進めると、決してそれだけの理由ではないことがわかって来ます。

特に、プレイヤーや人間という種族に優しく協力的なヴィゾーヴニルには、人間に好意を抱くに足る理由があったのです。

メインクエストのなかでもちらりと語られていますが、ヴィゾーヴニルには千年前に人間の騎士の友がいました。

サブクエで明かされたところによると、この騎士はかなりの変わり者で、ドラゴンが傷つくと、傷が癒えるまでじっと眠って過ごすという習性を痛々しいと感じ、なんとかドラゴンの傷の痛みを無くし、早く癒やすことが出来る薬を作れないかと、ドラゴン達の住処である不浄の三塔(当時は違う名前で呼ばれていました)の近くに粗末な庵まで建てて、研究に没頭し、とうとうドラゴンに効果のある傷薬を作り上げてしまったのです。

強大な力を持つドラゴンに対して、自分があなた達を守るというのが口癖だったようで、ヴィゾーヴニルはことあるごとに、おかしな人間がいたという体でその話をしてくれます。私はこの騎士から同士の匂いを感じました(笑)

ドラゴンと人間との千年戦争を終わらせたのは、事実だけを見ると、プレイヤーである英雄と、志ある人々の力なのですが、ドラゴンを心から愛したシヴァや、このドラゴン愛に溢れた騎士などとの幸福な記憶があったからこそ、人間を再び信じて共に生きようとドラゴン達が思ってくれたことが大きいでしょう。

裏切りと憎しみの記憶を消すことは出来ませんが、一方で、愛情と幸福の記憶もまた消えずに心に残り続ける。そのことを実感出来る、味わい深いエピソードでした。

このように、永遠に近い歳月を生きるドラゴンと、刹那のときを生きる人間との関係性を深く描いた「蒼天のイシュガルド」は、一人のドラゴン好きにとって、まさに魂ゆさぶられる体験をさせてくれた、得難い物語だったと言えるでしょう。

魂揺さぶられるという意味で言えば、FF14はこの後に続く章も凄まじいものがありますが、とりあえずドラゴン好きとしては、蒼天のイシュガルドで描かれたドラゴンと人の物語の感想を記しておきたいと思ったのでした。

PS.千年戦争終結後のエピソードとして、復興後の街で新たにドラゴンと人の交流が始まったりもします。子ども達の話などのサブクエエピソードなどからも、イシュガルドの未来では、これまでドラゴンを狩る騎士を意味していた竜騎士が、ドラゴンライダーとして語られるようになるのではないか?と予感させてくれるのです。

そして、2021年秋発売予定の最新章の予告トレーラーでは、まさにドラゴンに騎乗して戦う竜騎士が描かれていました!FF14はドラゴン好きにとってブラボーヽ(=´▽`=)ノなゲームなのです。

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