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農口尚彦氏が惚れた観音下には、美味しい地下水がある(追記あり)

人生初めての日本酒テイスティング
北陸新幹線の延伸にあわせ、新装された小松駅のお土産屋で購入したお酒との出会いから2か月後、このお酒のことをもっと知りたいと思い、醸造所に行くことにした。農口杜氏との出逢いは、その探求欲を深くし、私は観音下の水について調べて見たくなった。


一度飲めば、農口尚彦研究所に行きたくなる

「平成29年12月に石川県小松市観音下町に開業し、「酒作りの神様」の異名をもつ日本最高峰の醸造家の1人、農口尚彦が杜氏を務め、70年余年におよぶ酒造りの人生の集大成として、生涯最高の「魂の酒」造りに挑み続けています。」

農口尚彦研究所HPより引用

妻へ、テイスティングのプレゼント

日本酒が好きな妻へのプレゼントに醸造所でのテイスティングを申し込んだ。公式ホームページの「杜庵」から予約ができる。1週間後、ようやくその日がやって来た。
テイスティングの前にギャラリーと醸造場の見学があり、農口さんの杜氏としての歴史を楽しく案内してもらえた。能登町生まれの農口氏は今も故郷に住んでおられるそうで、仕込みの時期である冬の期間は研究所に寝泊まりして仕事をしていると聞き、いつでもそばにいることが必要なんだと感心した。

農口尚彦研究所に到着、テイスティングにはWEB予約が必要です!
清潔で科学的に洗練された醸造所

茶室テイスティングルーム「杜庵」で最高のひと時

テイスティングルームは茶席にもなっており、正方形の小さな部屋である。ガラス越しには観音下の自然を眺めることができる。コの字のカウンターには盃とおつまみが私たちを待っていた。
まずは、仕込み水に使う 霊峰白山の伏流水をいただく。《後になってこれが「やわらぎ」だと知った。》この観音下で、こんなに柔らかくおいしい地下水がいただけるのは不思議な感じがした。自分が選んだ2種類のお酒は、しぼりたての新酒と有機米の作品。残りの3種類は定番の「山廃」仕込みの「美山錦」「愛山」「五百万石」。そしてそれぞれお酒に合うように選ばれた肴たち。なんともいえない贅沢な気分である。

海外のお客さんとともにテイスティングルームにて
杜庵から見える観音下の山と田んぼ
仕込み水に使う 霊峰白山の伏流水は柔らかく優しい
お酒に合わせた肴たち、「白山堅とうふ醸し漬」など
私が選んだのは、ヌーボとオーガニック

いい気分になってると、農口尚彦さんがいきなり登場!

2~3種類目のお酒をいただいていると、なんの前ぶれもなく農口さんが登場。「お酒の批評をいただきたい、是非、このノートに感想を書いて欲しい。」とお願いされる。またどちらから来られたのかと聞かれ、名刺交換と簡単に自己紹介し、そのコメントもいただいた。本当に探求心と気遣いの人である、出会えて良かった感動である!

酒作りの神様 農口尚彦氏登場!

観音下の石が、おいしい地下水を生み出している!?

テイスティングが終わり、お土産のお酒を選び、外に出ると醸造所のすぐ向かいに、石切り場が眼に入る。また近くには尾小屋鉱山もあると観光マップに記載されている。自宅に戻ってから、気になって調べてみると、石の文化を広く浸透させ、加賀の経済を支えた地域であったことを知ることができた。そして、農口氏が新たな酒作りの場に決めたこの地には、「観音下石切り場の凝灰岩によって長い年月をかけて濾過された美味しい地下水がある。」という思いが強くなった。

観音下石切り場
大正初期から始まり、近年まで掘削が行われた浮石質凝灰岩の石切り場。特徴的な黄色を呈し、湿気に強くカビが生えにくい特徴が評価され、国会議事堂や甲子園ホテルなど、全国の近代建築に利用されています。市内各所でも多く見られる石材で、石蔵をはじめとして石塀や門、庭の石造彫刻物などに使用されています。
「珠玉と歩む物語」小松~時の流れの中で磨き上げた石の文化~」

こまつ観光ナビより https://www.komatsuguide.jp/feature/komatsu-stone  

尾小屋鉱山
江戸初期に発見された鉱山で、銅の他に金・鉛・亜鉛を産出。銅は明治から大正に生産量が増大し、日本有数の産出量を誇りました。昭和46年の閉山まで地域の基幹産業として支え、そのための鉄道も敷かれていました。坑道跡を整備したマインロードとそれに隣接して建設された尾小屋鉱山資料館では、鉱山の歴史や鉱山道具、そして様々な鉱物が展示されています。

こまつ観光ナビ https://www.komatsuguide.jp/feature/komatsu-stone  
向かいにある石切り場跡
小松市観音下町HPより  https://kanagaso.info/

【追記】観音下近郊の地下水について調べてみると

翌々日、もう少し水について色々調べてみたら、面白いことを見つけた。
小松市観音下町から北北東に直線距離で約8kmのところに、平成の名水100選「遣水観音山霊水」があり、下記の出典のように水質調査の結果、「電気伝導度、硬度共に非常に低く、著しい軟水であった。」と報告がある。
さらに調べていたら、まだあった!
もう一か所、農口尚彦研究所から南西に直線距離で7.3kmの場所に「観音水」という場所も見つけてしまった。

【要約】石川県の名水の水質調査 
田知本正夫(付属農業資源研究所・微生物資源研究室)
石川県の「名水」6点について理化学的、微生物学的性質を調べ、飲料水としての適性を明らかにした。県内「名水」の多くは飲料水としての基準値をクリアーしていたが、一部にCODの高い水や一般細菌数の多い水があり、煮沸の必要性が示唆された。環境汚染の指標となる硝酸濃度や重金属濃度はいずれも問題ないと考えられる。辰口町観音山の水は電気伝導度、硬度共に非常に低く、著しい軟水であった。名水ブームに伴って多くの人が「名水」を日常的に飲用していると考えられるが、「名水」は管理体制が曖昧な場合があり,水質チェック体制の整備が必要であろう。

石川農短大報(Bull,Ishikawa Agr.Coll.)31:1-3(2002)https://www.jstage.jst.go.jp/article/bulliac/31/0/31_KJ00000060049/_pdf/



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