いつか、きみと・3-4

それに、報酬なんてずっと使わずにいたから、こんなうれしい使い方もあるんだなぁ…ってわかったこともうれしい。

今はまだ、本格的に仕事を受けていないけれど、カリキュラムを受けながらでもできる仕事をたまに受注している。

報酬が欲しいというよりも、仕事をしてみたいとか、自分がどれくらいできるのか試してみたくて仕事を受けてみた。

あとは、誕生日や記念日に両親からプレゼントのリクエストを聞かれて、とくになにか【物】が必要じゃないときにお金をもらうこともある。

お金が数字として管理され始めた頃も、反対派の人たちが大勢いたと習ったけれど、なにが問題なのかわたしにはさっぱりわからない。

大切なのは、共通の認識でお金が使えることであって、物理的な存在や形にこだわる必要なんて少しもないのに…。

手伝いたい!って、ムリを言って毎日彼の家に押しかけているけれど、わたしには【地図】っていうものがよくわからないから、1人では【配達】ができない。

タワーの中や駅や【国で管理】しているところは、ウオッチでマップが見れるからわかるけれど、【個人の家】は【国の管理外】だからウオッチのマップは使えない。

レンは、彼が使っていたらしい、小型の機械を使って配達先を調べているけれど、その機械は1つしかない。

あとは、【地図】って呼んでいる【紙】の【本】みたいなものを使っている。

【紙】は知っているし、使うこともときどきあるけれど、【紙】贅沢に使った【本】は今回初めて見て、触った。

昔は【紙】をたくさん使っていたみたいだけど、今はあまり使われていない。

そういえば…。
レンが届けてくれた、彼のメモも紙だったなぁ。

彼からもらったメモは、あの日からずっとポケットに入れたまま。
ポケットをそっとおさえた。

「お腹いっぱいになったし、配達を続けようか!」

「ルナは、カリキュラムは大丈夫なの?」

レンからそんな言葉を聞くとは思わなくて、言葉がつまる。


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