いつか、きみと・3-5

「だ、大丈夫だよ。帰ってからちゃんと進めてるよ」

「疲れて帰って、カリキュラムをやるなんて、大丈夫じゃないよ」

時々、子どもらしからぬことをいう。

「明日は休んで欲しいんだけど…」

「イヤ!!」

レンが話し終わるか終わらないかのタイミングで、さえぎるように飛び出した自分の声におどろいた。

手が震えるのは、寒さのせいじゃない。

「…ルナ?」

震えてるのは手だけじゃなくて、ひざも肩も、まるで自分の身体じゃないみたいにガタガタ震えてとまらない。

レンの手が、わたしの背中をなでる。

「…ごめんね。
大丈夫。大丈夫だから。」

「…」

「明日もお願いね。」

身体が震えてコントロールがきかなくて、もちろん声なんて出せなくて、必死でうなずくのが精いっぱいだ。

小さな子どもをあやすみたいに、レンが背中をトントンしてくれて、少しずつ震えがおさまる。

震えがおさまりはじめたら、今度は恥ずかしさで顔も身体も熱くなるのがわかる。

…わたし、どうしちゃったの?

自分で自分がコントロールできないみたいな居心地の悪さと、恥ずかしいキモチで身体が丸ごと沸騰したみたいに熱くなった。

そして、熱い涙がこぼれおちた。

「…あれ?」


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