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チーム「あときとた」上演!に立ち会って| 安達香澄

2/25(日)秋田市文化創造館のフリー・オープン・デイに行われたチーム「あときとた」公演。ダンサー、安達香澄さんによるレビューです。


チーム「あときとた」上演!に立ち会って
レビュー| 安達香澄 (ダンサー・振付家)


こっち どっち あっち? 

あちらこちらから登場しては消えるパフォーマーたちは歩く・走る・何かを叩く、とミルハス中ホールを自由に動き回り忙しい。

音・声・動きが呼応しているようでありながら個々に心地よくそれぞれ。
何をどうみたら良いの?と少々不安を感じるも感覚に委ねてみる。

Aokidさんの印象は無限の持久力と瞬発力、表現への好奇心が溢れる人。彼のディレクションのもと実験的ワークを約1年に渡り積み重ねてきたチームの信頼関係があたたかい空気感を作っていた。

パフォーマンス半ば、ギター片手にAokidからダンサー加賀谷葵さんへの言葉と動きのキャッチボールが始まる。

動きの伝達をテンポよく見て感じるワークショップのような時間「あ、なるほどー」とやはり感覚で捉える。2人の掛け合いは即興であると思うが説得力のあるパートだった。

次々と伝達する動き遊びでパフォーマーそれぞれの色が見えてくる。

時々、同時多発的に起こる自由な出来事でやや空間が散漫になると、早坂葉さんのラップが邪念のない直球の言葉で曖昧さをドーンと現実にひき戻す瞬間が心地よかった。

観客も舞台上へ誘導され、誰がパフォーマーで誰が観客なのかもよくわからない空間に戸惑いつつ、なんだか楽しくて面白い時間にフワッと身を委ね皆見事に巻き込まれていく。

数回お会いしてお話しした感じも含めて私の勝手な感想だが、Aokidさんは3D空間で実験的に出来事を配置し遊びながら、まだ見た事のない新しい地図のような物、または動きの楽譜のような物を描こうとしているよう。

そう考えるとなんだかワクワクしてくる。

秋田でのAokidさんの仕掛けと、まだ未完成のこの企画が、どのように今後発展していくのか引き続き目撃できたら素敵だ。

またもっとたくさんの人々が、この曖昧で面白い空間に立ち会いそれぞれが何かを感じて触発されたら良いなと思う。まだ未完・未開拓の自分自身と未来に向き合う試みの一つとして。


安達 香澄 (ダンサー・振付家)

1973年神奈川県生まれ。 
故柴内啓子現代舞踊研究所にてモダンダンスを学び、幼少~青春期を盛岡で過ごす。 日本女子体育大学卒業後、NYで生まれたポストモダンダンスに興味をもち文化庁派遣芸術家在外研修員(NY)としてTorisha Brown School にて研修、中馬芳子& The school of hard knocksにダンサーとして参加、アメリカ、アイルランドを始めサラエボ、エストニア、ロシアなど国内外の刺激的ツアーに参加。現在は東北を拠点にパフォーマンス集団ampersand[&] とダンスサーカスBAZARを立ち上げ、ダンス・ジャグリング・芝居など各分野で活躍するクリエーターたちが、緩やかな関係を保ちつつ互いの共同作業の中で感覚的に刺激する、新たな表現スタイルを目指す。

http://www.facebook.com/ampersand.jp
https://bazarcirque.tumblr.com/


チーム「あときとた」上演
日時|2月25日 (日)16:00〜 17:30
会場|あきた芸術劇場ミルハス 中ホール

【発表者】
Aokid(ディレクション) 
https://ninjaaokid16.wixsite.com/aokid
加賀谷 葵(アシスタントダンス)
https://www.aoikagaya.com/
秋山 卓登 
大村 香琳 
かがまり 
金澤 理理子 
小林 令子 
佐藤 みつこ 
つばさ 
にしかわ しょう子 
長谷部 美枝子 
早坂 葉

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