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Jacob Collierを観てきた。

Jacob Collierの来日公演を観にZepp DiverCity(TOKYO)へ。


Jacob Collierと言えば、あのYouTubeでの超絶多重録音の映像が有名だが、最初に自身が彼に強く興味を抱いたきっかけは、言葉通りのその音楽的な才能だった。


本人のSNS投稿にも見受けられるように、現存する世の中の楽器全てをプロレベルで演奏出来るのでは、と思うくらいに楽器に精通していて、多分持ち合わせている絶対音感も駆使することで、リズムとメロディとハーモニーのアンサンブルを正確に複雑に、何よりも豊かに表現出来てしまう唯一の音楽家ではないだろうか。

先日のライブでも、ボーカル・ドラム・パーカッション・ピアノ・ベース・アコースティックギターを、自ら入れ替え立ち変え演奏するために舞台上を縦横無尽に駆け回っていたのがとても印象的だった。


それだけでも驚愕に値するのだけど、彼のまたさらに良いところ(というよりも、最も優れた部分と言っていいかも知れない)が、性格、つまりは人間性だ。

上にもあるような、彼の(ライブ後の出待ち?)ファンとの会話を聴いていると、20代にも関わらず、その成熟した人生観に裏付けされたポジティブな思考に、言葉に、励まされたりもしてしまう。

昨日ライブでも、演奏を1曲終えるごとにオーディエンスに向かって手を合わせ、「ありがとうございます🙏」と感謝の言葉を口にしていた。そこから伝わる彼の優しさがライブ観賞の後味にひとつまみもふたつまみも至福感を与えてくれる気もする。


…と、散々持ち上げたJacob Collierだが、正直なところ、"好き"なアーティストというよりは、畏敬の念を持つアーティストと言った方がいいかも知れない。

実は唯一、彼の歌声があまり好みではなかった。こればっかりは好みの問題なので、どうしようにも仕様がない。


では、なぜそんな彼のライブにいきたいと思ったかと言うと、このオーディエンス・アンサンブルを体感したかったのがおそらく大きい。

とにかく、圧巻。こんなことができちゃうんだと、初めてこの映像を観た時に心底感動したし、改めてJacob Collierの、人と音楽とを仲良く結び付けてくれるような思想というか、そういうのがライブ・パフォーマンスに現れているように思える。


こちらのアンサンブル、実際にどうやってオーディエンスをコントロールしているのか、参加してみて分かったのが意外にもシンプルで遊び心のある仕組みだった。

昨日のライブでは、アンコールがThe Beatlesの"Blackbird"(これまた凄まじいキーボード弾き語り!?!?!)だったのだが、要は楽曲を演奏することでキー(調)をオーディエンスに植え付け、そのキーの音階を利用し、彼の指示で音高を上げ下げさせていたようだった。

もっと言えば、現代人は生まれながらに西洋音楽に耳が慣れているので、例えば、ト長調の楽曲を聴くと自然と三和音(ソ、シ、レ)やアイオニアン・スケール(ドレミファソラシド的な音階)が頭の中に流れていたりする。そこを利用したのだと思う。

ここでJacobが面白いのは、そこまで明確な指示を与えずにジェスチャーだけでオーディエンスのコーラスをコントロールしようとしているところだ。人によって違った音をイメージし発したりするかも知れないのを、敢えて大衆に委ねることで偶然性をも引き起こそうとしているのではないだろうか。


…改めて、なんて素晴らしい音楽家なんでしょう。


そして、ライブに参加して初めて分かったのが、彼は声がかなり大きめで、もしかしたらマイク乗りが良いからか、歌がとにかくストレートに飛んできた。声の大きさというのは、ボーカリストにとってはすごく大事な表現要素の一つだと思っていて、その大きさに比例して言葉にできないものが益々伝わるものなんだと、自身は思う。

だから、あまり声質が好きではない、という思いも、ライブ終演後にはどこかに吹っ飛んでいた。

そういえばライブを観て、そこまで好きではなかった曲が好きになったりとか、ライブってそういう嬉しい変化ももたらしてくれるものだったなと、ふと思い出したりもした。


ということで、次に来日する時はJacobの曲をがっつり心と体に沁み込ませてからライブ参戦したいと思っております。

いや〜〜〜〜〜〜〜〜、、、すごかった。


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