見出し画像

ハイブリッド会議をうまくやるためのコツ

みなさん、こんにちは。ファシリテーターの青木マーキーです。家族会議から国際会議まで、ジャンルを問わずあらゆる会議のファシリテーションを仕事にしております。感染症の影響もあって、最近、オンライン会議のご依頼に加えて、ハイブリッド会議のファシリテーションを依頼されることが増えています。そう、

ハイブリッド会議=リアル会議+オンライン会議

ですね。リアルで何人か集まって、オンラインで何人かが集まってやる会議のことです。依頼主からは、けっこう気軽に「何人かは出社しているので、ハイブリッド会議で、やっていいですよね?」と言われることがあるんですが、個人的には「う−ん、ハイブリッドで出来ないこともないけど、、、参加型で一体感のある会議運営はけっこうむずいよ!」というのが正直な感想です。

ハイブリッド会議は何が難しい?

ハイブリッド会議は何が難しいかというと、「それぞれが違う土俵にいる」ということ。全員がオンライン参加だと「じゃあ、画面共有します」とやると、全員でスライドを見ることができます。が、リアル会議室にいる10人に、それを見せようと思うと、大きなスクリーンやモニターを用意しないといけません。

プロジェクター&スクリーンぐらい簡単よ!と思うかもしれないけど、もしも会議室に10人もいたら、その人たちの声を的確に拾うためにはそれなりの集音マイクが必要です。もちろんリアル会議室にいるのが数人だと1台のパソコンでなんとかなるし、4-5人だと価格の安いものもあるのですが、10人クラスになると、それなりに高性能なやつじゃないといけません。例えばこういうの。5万円クラス。

で、こういう優れたマイクを導入しても、リアル会議室に10人いたら「声は聞こえてくるが、誰が話しているか、わからない問題」が発生します。

そう、オンライン参加の人の表情は1つのカメラで1名の顔を写すので、よく見えるのですが、オンライン参加の側からリアル会議室を見ると1つのカメラで10人もいたら、誰が発言しているのかを把握するのは困難。

なので、最近は集音マイクだけじゃなくて、発言した人にカメラが向く機能がついた、フクロウのようなガジェットも発売されています。このフクロウくん(正式名称:ミーティング・オウル・プロ)は、利口な鳥・フクロウの名前を冠しているだけあって、抜群に優秀!だといいのですが、、、Amazonのレビューやyoutubeの使用動画を見ると、やや厳しめのお声も。CMの動画はけっこう面白いんだけどね。この俳優さん、好き。


こういう高価な機材(フクロウ君で9万円ぐらい)を用意して、ようやくお互いに「顔が見ることができて」「声が聞こえる」という状況をつくれたとして、、、ハイブリッド会議だと、その後の意見交換ツールにも制限が出てきます。

全員オンライン参加だと「じゃあ、チャットに意見を書いてください」とか「反応ボタンで賛否を表明して」とか「スプレッドシートにアイデアを書き込もう」「投票ツールを使うから、比較的近い選択肢をチョイスして」というタイプのツールを全員一斉に使えるのですが、ハイブリッドで、手ぶら参加の人がいるとなると、それらが使いにくくなってしまいます。

「それなら、全員がパソコンかスマホをもってくればいいじゃないか」ということになるのですが、同じ会議室から複数台数でオンライン会議にログインすると、必ずといっていいほど、ハウリングの問題が出てくる。そして、それらを解決するために各自がイヤフォンをつけて、、とかやっていると「え?それなら全員、オンライン参加でよくない? 私たち、なんで会議室に来てるんだっけ?」という感じになるわけです。あはは。

というわけで、ハイブリッド会議がいかに難しいか?を解説しましたが(汗)、それでもこれからの時代、頻度が増える会議様式なのは間違いないです。今回は、ちょっぴり難しいハイブリッド会議をうまく進めるコツを、解説してゆこうと思います。

ハイブリッド会議あるあるは?

まずは、よく聞くハイブリッド会議あるあるといえば、、、、

・お互いの声が聞こえない
・発言のタイミングが難しい 
・誰が話しているのか、わからない
・リアル参加者だけで盛り上がっている
・オンライン参加者の反応がつかみにくい
・やたら機材が増えるが、うまく使いこなせず振り回される

などですね。はい、悲惨です。他にもあるでしょうか? 

これらのあるあるを引き起こさないためのコツは以下の7つです。

コツ1:ダブル・ファシリテーター体制を
リアル会議を進行するファシリテーターが、オンライン参加者の表情やチャットにも目を通し続けるのは、極めて困難。青木将幸ファシリテーター事務所では「オンライン側のファシリテーター」と「リアル会議のファシリテーター」のダブル体制を提案することが多いです。加えて、ハイブリッド会議は使用する機材が増えるので、機材オペレーション・スタッフや全体を支える事務局スタッフがいるとなお安心ですね。複雑なハイブリッド会議こそ、チームワークで乗り越えましょう。

コツ2:なるべく名前を呼ぼう
「誰が話しているか、わからない問題」を解決するためには「今から発言する人が誰なのか?」を明示することが肝心です。全員がオンライン会議ツールに繋がっている場合、その人の顔の下に名前が表記されるのですが、ハイブリッドにはそれがありません。
そこで、ファシリテーターが「じゃあ、次は人事部の田中さん、どうぞ」と振ってから発言があると、オンライン側の人も「あ、今から田中さんの声を聞くんだな」ということが分かります。
人は、自分の名前を呼ばれると「あ、私もこの会議の大事な参加者の一人なんだ」と認識しやすいようです。とくにオンライン参加の人は発言のタイミングが難しいので、発言のきっかけをつくるためにも、なるべく名前を呼んで、促してみましょう。
また、発言者が手身近に「人事部、田中です。その件は、うちでも検討していて××という対応の方針です」などと、冒頭に自分の名前を言ってあげるのも親切ですね。

コツ3:ジェスチャーを豊富に
ハイブリッド会議は、複数のリアル参加者の様子を1つのカメラで写すことが多いので、各自のうなづき具合や、ノリノリなのかそうじゃないのかが、少し分かりにくいというデメリットがあります。
賛成や反対を示すときも、両腕を大きく○とか×にして、画面の向こうの人が「あ、この人は賛成なんだ」とわかりやすくしてあげることも時に必要です。
あるいは発言の前に手をあげてもらったり、カメラに向かって軽く手を振ってもらえたりすると、誰が言おうとしているのかを、皆が判別しやすくなります。

コツ4:顔が見える、声が聞こえる工夫を
お互いの表情を見ることができてこそ、会議は前に進みます。リアル会議室のカメラの台数を増やしたり、マイクがわりに発言者が使うデバイスを1台定めるなど、誰が、どんな顔をして発言しているのかがオンライン参加者にも見えるようにしてあげましょう。予算をかけられる場合は、先述の集音マイクやフクロウ君など、すぐれた機材を入れるのも一つの方法です。

コツ5:必ず接続テストを
多くのハイブリッド会議で、新しい機材をつなぐときに「いまいち声が遠い」「うまく写ってくれない」「ハウリングが起きる」などの問題が頻発します。参加者全員が揃うまえに、準備メンバーが接続テストをして、スムーズに始められるようにしましょう。よく見かける例としては「集音マイクはbluetooth接続だと弱くて声が通らなかったが、有線でつなぐとクリアになった」とか「複数台数でログインするとハウリングが起きたが、イヤフォンをさすことで防げた」「たくさんアプリが立ち上がった状態では調子悪かったけど再起動したらスッキリ動いた」といったものです。これらは会議の開始前に、接続テストをすることで事前に回避できること(ミーティングがはじまってから、オロオロするのは全員にとって時間の無駄)。この時、オンライン参加側からどう見えているか?を必ずチェックするようにしましょう。

先日行ったハイブリッド会議は、道後温泉にある大和屋本店という老舗旅館の会議室をメイン会場に、隣にあるカラオケルームをサブ会場にしました。僕はサブ会場のカラオケルームから、オンライン参加者へのファシリテーションを行ったのですが、メイン会場がどのように見えているかをチェックでき、徒歩10歩で即座に改善に迎えるので、スムーズでした。

写真:カラオケルーム

コツ6:今、何が起きているかを共有する
どれだけ手をつくしても、何かしらのトラブルがあるのがハイブリッド会議です。ただ、オンライン参加者からすると、リアル会場でどんな困難にぶちあたっているのか、様子はつかみにくいもの。リアル会場にいるメンバーから「今、館内放送が流れているので、一時的にミュートしています」とか「マイクの接続をしなおしているので少し待って下さい」などの状況説明をチャットなどを通じて、オンライン参加者に伝えるようにしましょう。
例えば、リアル会議メンバーだけで何か盛り上がったり、大爆笑になった時、なんの解説もないと、オンライン参加者は疎外感を感じます。「今、Aさんがコーラをこぼしてしまって、そのときの慌てぶりがおかしくて皆でもりあがってしまいました」などと伝えてあげると親切です。


コツ7:一緒に盛り上がれる工夫を取り入れよう
先日行った道後温泉でのハイブリッド会議では、オンライン・ファシリテーターは僕が引きうけ、リアル会議ファシリテーターはブランディング特化型ファシリテーター・いわしーに、そして機材まわりは、一般社団法人をかしや菊間マロという布陣でした。いずれも実践的な能力が高く、心強い布陣です。
そのとき、いわしーが「オンラインの参加者も、リアル会場にいる皆さんも、いっしょに盛り上がれるアイスブレイクをしよう」と提案してくれて、「たけのこニョッキ」という遊びをやりました。
「タケノコにょっき、にょっきっき 1にょっき、2によっき」と、タイミングをかぶらないように、大きくジェスチャーをして楽しむアイスブレイクです。これをやることで、オンラインの参加者も、リアル会場にいる参加者も一体感が生まれて、とてもよかったですね。「これは一緒に盛り上がれそうだ」と感じられることが大切ですね。
くわえて、いわしーが書いてくれたグラフィックや、菊間マロがやってくれた紙芝居プレゼン(KP法)のおかげで、皆で要点を確認したり、プロセスを振り返ることができて大助かりでした。こうやって、共通に見られる板書を写す、というのも一緒に盛り上がれるコツですね。

画像2

画像1

最後に、今回参加した皆さんに感想をきくと「ハイブリッド会議でもこんなに意見がでるんだ」とか「会議の進め方自体がとても勉強になった」「オンラインとリアル参加が混ざり合って企画チームみたいになれた」「こういう場にもっと他の分野の参加者も招きたい」といった声をきくことができました。会議の成果も上々だったとのこと。
一緒に場をつくってくれた、いわしー、マロ、ならびに大和屋本店のスタッフの皆さん、ありがとうございました!

画像4

というわけで、今回紹介した7つのコツをまとめるとこちらです。

ハイブリッド会議を成功に導く7つのコツ

コツ1:ファシリテーター・ダブル体制を
コツ2:なるべく名前を呼ぼう
コツ3:ジェスチャーを豊富に
コツ4:顔が見える、声が聞こえる工夫を
コツ5:必ず接続テストを
コツ6:今、何が起きているかを共有する
コツ7:一緒に盛り上がれる工夫を取り入れよう

いかがでしたでしょうか? 慣れないハイブリッド会議に苦労する方もいらっしゃるでしょうが、ぜひ参考にしていただければと思います。皆が参加できて、有意義なハイブリッド会議になりますように! 

そしてもし、プロのファシリテーターによる会議進行をご希望でしたら、以下のフォームまでお気軽にお問い合わせください。オンライン会議やハイブリッド会議に慣れたファシリテーターが、喜んでお手伝いにあがります。


■余談/ハイブリッド会議に適した宿が増えて欲しい


あ、余談ですが、今回泊まらせていただいた大和屋本店、朝ご飯がめちゃくちゃおいしかったな。これだけ美味しい朝ご飯がでたら会議の成果もあがるでしょう。食事が美味しくて、wifiがバリバリ強くて、メイン会場と遮音性のあるサブ会場があって、温泉もスタッフも気持ちがよい旅館なんて、そうそうないですよ。ずばりここはハイブリッド会議向きの宿です(また行きたいな)。
ワーケーションや、会議合宿などに活用できるお宿としてメモしておきましょう。大和屋さんみたいにハイブリッド会議がしやすいお宿が増えるとうれしいな。

画像5

画像6

画像7

それでは、みなさん。よい会議を! Have a good meeting!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?