青木マーキー

ミーティング・ファシリテーター。家族会議から国際会議まであらゆる話し合いの進行をお引き…

青木マーキー

ミーティング・ファシリテーター。家族会議から国際会議まであらゆる話し合いの進行をお引き受けします。淡路島在住、48才。趣味は落語、散歩、山伏修行。 www.aokiworks.net

マガジン

  • ファシリテーション 一日一話

    仙台に出張するときに飛行機が遅延して、そのおかげで書き始めた「ファシリテーション」の連載です。会議ファシリテーターとして全国各地にでかけ家族会議から国際会議まで、様々な分野の話し合いを進行する上で感じたことを綴ります

最近の記事

100年後の未来を見据えて  /ファシリテーション一日一話

この3日ほど、南方熊楠をテーマにした旅に出かけていた。熊野ゆかりの偉人が暮らした家を訪ね、ミュージアムをたっぷり巡り、彼が研究した森を歩き、お墓参りをした。南方熊楠が生きた時代は、明治・大正・昭和と激変する日本。若い頃にアメリカやイギリスに渡った彼は、市井の博物学者・民俗学者として知られ、粘菌研究なども行った。明治末期、政府の「神社合祀」政策が協力に進められると、これに怒る。数ある神社を統合・整理し、その森を伐採する動きは、実のところ日露戦争でかさんだ戦費を補うためという理由

    • 対話とは何か? /ファシリテーション一日一話

      まーぼー、こと古瀬正也さんが開催した「対話についての理解を深める会」に参加した。といっても、夜9時からの開催だったので開始5分で寝落ちして、アーカイブ視聴に切り替えた。夜は苦手なのだ。まーぼーは、多読家で、かなりの本を読む。難解な本にもチャレンジするタイプで、僕が「これ難しくて読みにくいなぁ、けど読みたいな」と思った本は、大抵読んでいる。で、彼に教わるとなんとかガイドを得ることができ、読み進められたりする。新幹線移動の時間をみつけて、アーカイブ動画を視聴した。 パウロ=フレ

      • 法螺貝合宿やります@淡路島 10月19-20日 〜法螺吹きになれる2日間〜参加歓迎

        ヴオーンと鳴らすと、山が呼応する みなさん、こんにちは。淡路島在住のファシリテーター、青木マーキーです。趣味は落語・散歩・素潜り・山伏修行です。え、山伏? そう山伏です。 10年ほど前からやっている山伏修行はとくに面白く、法螺貝を持って山を歩いたり、遙拝したり、滝行したり。言葉少なく自然と向き合う時間に自分自身が整ってゆくのを感じます。どんなに困難な会議ファシリテーションの仕事があっても、心揺れずに進行できるのは、山伏修行のおかげといって過言ではありません。 このあいだ

        • どんな舟に見えますか? /ファシリテーション一日一話

          あるNPOの会議進行をお引き受けした時のこと。15年かけて育ててきた組織も、そろそろ転換期。設立者がバリバリに働ける年齢から逆算しても、ここ5-10年で、組織を転換させる必要のあるタイミングに見えました。 みんなで絵を描いて話そう そこで今回は舟にたとえるワークを取り入れることにしました。「皆さんが参加するこの団体は、舟にたとえると、どんな感じでしょうか?」と問いかけ、全員に絵を描いてもらうのです。すると、15人いた参加者が、それぞれに筆を進めます。なかには、楽しそうなカ

        100年後の未来を見据えて  /ファシリテーション一日一話

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        • ファシリテーション 一日一話
          13本

        記事

          身体感覚を研ぎ澄ます /ファシリテーション一日一話

          瞑想やマインドフルネスの実践家であり研究者の藤野正寛さんのお話しをオンラインで伺った。ファシリテーターとして手がけている仕事のうち、今の段階だと1-2割がオンラインの仕事になる。オンラインだとどうしても限界がある、と思っていたのは単なる僕の思い込みで「おぉ!ここまでいけるんだ」と驚愕した。森の案内人・三浦豊さんといっしょに4年間開催してきた「みんなの森のサロン」でのひとコマ。 レーズンひと粒を用意してください オンラインのセッションが始まる前に、藤野さんからこんな声がかか

          身体感覚を研ぎ澄ます /ファシリテーション一日一話

          会議で話が長い人には、どう対応したらいいのか? /ファシリテーション一日一話

          昨日はある地域の中間支援組織からご依頼のあったファシリテーション講座の打合せ。地域活動や市民活動を進める上で、どのように会議進行をするかは、日々の悩みだ。この組織では毎年夏にファシリテーション講座を開催しているようで、参加者からよく出る質問のひとつが、表題の「話が長い人対策」とのこと。 この質問、古今東西・組織の種類も問わず、よく出る質問だ。年長者を重んじる日本や東アジア特有なのかなと思いきや、ベトナム人や、ケニア人、アメリカ人にも同じ質問をされたことがある。「うちの集落の

          会議で話が長い人には、どう対応したらいいのか? /ファシリテーション一日一話

          人物を旅する /ファシリテーション一日一話 10

          旅をするのが好きだ。全国各地に出かけていって会議のファシリテーションをするのが本職なのは、どこへ移動するのも全く苦にならないからだと思う。むしろ好き。仕事の時は一人で移動することが多い。初めて行く土地のことを調べたり、宿をとったり、交通経路を探るのは、もはや喜びでもある。 一人で旅するだけでなく、集団での旅を企画するのも、昔から好きだった。学生のころから、環境問題のスタディツアーなどを企画して、アメリカにいったりフィリピンに行ったりしてきた。テーマを決め、行程を組み、旅の仲

          人物を旅する /ファシリテーション一日一話 10

          ファシリテーターは図書館にも来て頂けますか? /ファシリテーション一日一話 9

          子どものころから校長室が好きだった。どこか異質なものを抱えた僕は、あまり同世代と話が合わず、どちらかというと年配の先生と仲良くなるのが常だった。校長先生がオープンな人柄のときは、僕のような学生が顔を出しても、喜んで迎えいれてくれた。校長室には変な彫刻とか、誰か偉い人の書とか、難しそうな本が並んでいて、ソファも立派で好きだった。校長室で論語や仏教や社会問題の話をして盛り上がる、そんな感じの子ども時代を経た僕は、いまだに校長室が好きだ。 娘や息子が世話になった小学校でPTAの役

          ファシリテーターは図書館にも来て頂けますか? /ファシリテーション一日一話 9

          歯を食いしばりなさい  /ファシリテーション一日一話 8

          亡くなった母はとても厳しい人で、彼女に「そこに座りなさい、歯を食いしばりなさい」と言われた時は覚悟を決めたものだった。正座して相対し静かな時が流れる。じっと睨まれて、「今、なぜ怒られているかわかるか」という問答があって、ことの核心までいたったところで、バチンと平手打ちが飛んでくる。今になってみると、当時小学生の自分が何をやらかして叱られたかのかは、さっぱり覚えてないのだが、そうやって平手打ちされた記憶はよく残っている。ちなみにこれは同級生たちもよく知っていて、ここは叱るべきタ

          歯を食いしばりなさい  /ファシリテーション一日一話 8

          あり方が変容するとき /ファシリテーション一日一話 7

          『シリーズ学びとビーイング4 学び続ける教師のあり方とは?』という本が届いた。教師のあり方について書いてくれと編集部から言われ、教員免許も持ってない自分が何を書けるか、としばし悩んだ。そこで、大好きな3人の教師の教室のしつらえ方について紹介させていただいた。あり方は空間にも現れる。国語、図工、技術という三つの科目の教師がつくった教室は、いずれも「あり方」の手本のように僕には思えた。よい手本を見ると、自身のあり方を変えてみたくなる。 献本をざっと読んでみて、いくつも心に残る言

          あり方が変容するとき /ファシリテーション一日一話 7

          聴けてない /ファシリテーション一日一話 6

          我が家の桜が見頃になったので、七輪で焼き鳥を楽しんだ。家族だけではもったいないと思って、近隣の友人に声をかけたら、ぶらりと来てくれた。持参いただいた日本酒を堪能して、うとうとしたころに、彼が人生を語りはじめた。自分が中高生のころあまり勉強ができなかったこと、そのせいで周りからひどく馬鹿にされたこと。社会人になってから自分の得意分野を見つけ、そこを深掘りすることで、周りから頼られるようになったこと。日々の仕事との向き合い方や、若手を育てる喜びなど、たんと語ってくれた。どの話もと

          聴けてない /ファシリテーション一日一話 6

          これが最後の仕事だ /ファシリテーション 一日一話 5

          僕が社会人一年生をやっていたころに、一から仕事の基礎を教えて下さった師匠は、こんなことを教えてくださった。 「人は、いつ死ぬかわからない。不慮の交通事故や急病で、ある日突然いなくなってしまうことだってある。だから今、手がけている案件が、青木将幸の最後の仕事だった、と言われていいように、全力を尽くしておきましょう」と。あの頃はまだ20代だったので、ちょっとピンと来てなかったが、年を重ねるにつれ、この意味が分かるようになってきた。まだまだこれから、と思っていた世代の家族・友人の

          これが最後の仕事だ /ファシリテーション 一日一話 5

          休憩をケチるな  /ファシリテーション一日一話 4

          長時間の会議やワークショップに、休憩はつきものだ。お昼休みやトイレ休憩、おやつ休憩の時間には、実に豊かなものが流れている。観察をしているとよくわかるのだが、われわれファシリテーターが頑張って発言を促し、工夫を凝らして進行している時間より、休憩時間のほうが参加者同士のびのびと交流していたり、コミュニケーションが活発に起きていたりもする。ちょっと力んだファシリテーターの前では出せない本音や感想が交わされているシーンに出くわすと「僕は何を頑張っていたんだろう」と愕然とすることもある

          休憩をケチるな  /ファシリテーション一日一話 4

          中野民夫の歌と対話のワークショップin淡路島 〜困難な時代を前向きに、少しは人や社会の役に立って元気に生きるには?〜満席

          みなさん、こんにちは。淡路島在住のファシリテーター、青木マーキーです。春になると体を動かしやすくて、気持ちいいですね。今朝も早朝から、近所の山に入って、鳥のさえずりを聞いたり、野生のタラの芽を探したりしていました。 ファシリテーターの中野民夫さんとオンラインで打合せをしました。僕が若いころから影響を受けているファシリテーターの先輩で、彼の働き方、生き方、著作に刺激を頂いて20年近くになります。とくに印象に残っている著作はこちら。 ファシリテーション元年 ちょっと昔の話に

          中野民夫の歌と対話のワークショップin淡路島 〜困難な時代を前向きに、少しは人や社会の役に立って元気に生きるには?〜満席

          立ち姿を見せる /ファシリテーション一日一話 3

          昨日、仙台に集った仲間たちと体験したアイスブレイクのなかには、じーんと感じるもの、印象に残るもの、僕自身にとって学び深い体験となったものが、いくつもあった。心から感謝したい。みなさん、大切なことを教えてくださり、ありがとう。 特に「ハイタッチ・バリエーション」というアイスブレイクを教えていただいたのは、よい体験となった。 アイスブレイク:ハイタッチ・バリエーションの手順 1,二人ひと組を組んで向き合う  2,一本指でハイタッチをしてみる。小さな声でイエーイ  3,二本指

          立ち姿を見せる /ファシリテーション一日一話 3

          アイスブレイクは本当に必要か /ファシリテーション 一日一話 その2

          著作に「アイスブレイク・ベスト50」というのがあって、おかげさまでこれが10刷りを迎えた。1冊の本が増刷を重ねるのは、誠に喜ばしいことだ。今回の仙台の仕事は、この増刷をきっかけに、久しぶりに「アイスブレイク100連発!」をやってもいいかな、と思って投稿したSNSがきっかけで実現した。これらの投稿を見つけてすぐさま企画し、場をつくり満席を超える参加者を集めてくださった仙台の柔軟な主催者に感謝したい。 さて、あと数時間後にアイスブレイクをテーマにしたワークショップが始まるのだが

          アイスブレイクは本当に必要か /ファシリテーション 一日一話 その2